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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百二 巫女の予言
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術】及び【魔幻・此処非の術】といった幻惑系の術を幾重にも仕掛けておくよう指示したナルトは、敵が動き出すまでその場で待機するよう白と君麻呂に告げた。
また、砦付近の結界はある程度のチャクラを持つ者ならば通り抜けられるようわざと綻びを入れておくよう前以て指図しておく。

【魍魎】は遺跡周辺の幻術も結界も巫女の命令によるものだと思い込んで、術者もまた巫女の傍にいると考えていたのだが、実際は術者たる白と君麻呂は黄泉否【魍魎】及び四人衆をずっと見張っていたのである。
案の定巫女の館へ向かった四人衆を追った白と君麻呂は、そこでようやくナルトと再会できたのだった。


崩壊した【土回廊】。

館の前庭の惨状を前にして、ナルトは眼を細めた。徐々に溶けゆく氷の柱を見上げ、次いで砕けた岩の破片を拾い上げる。シズクの火遁によって滑らかな硝子のようになっているソレを指先でくるくる回しながら、ナルトは感嘆の声を漏らした。

「なるほど、連携か…。炉の中の火は送風で火勢を強めれば鉄をも溶かせる。同様に、土で動きを封じ、その中へ送った火を風で煽れば、炎の威力が高まるというわけだ」
「迂闊でした…。この【土回廊】から脱け出すのに、思った以上にチャクラを用いてしまって…」
悔やむ白と君麻呂に、ナルトは苦笑を返した。

「相手はお互いのチャクラ特性を熟知し、且つタイミングを合わせるのが上手かった。かなり息の合う間柄のようだね……白と君麻呂も協力すればきっと、」
「「それはお断りです」」
「………………………」
息の合った返事に、ナルトは空を仰いだ。













謁見の間。

早朝の襲撃の余韻も冷めやらぬものの、なんとか事態を収拾した足穂がナルト・白・君麻呂を広い表座敷へ招き入れる。

改めて鬼の国の巫女と対面したナルト。上げられた御簾の向こう側で、厳かな佇まいで座る紫苑を、ナルトは不躾にならない程度に見つめた。

強力な巫術を持つ偉大な巫女にしては、華奢でか細い印象を受け、ナルトは秘かに眉を顰める。ややあって、巫女の傍らに控えた足穂が口上を述べた。

「鬼の国の巫女…紫苑様であらせられます」
畏まった物言いで告げる足穂に応え、ナルトは会釈を返した。
「紫苑様の護衛を引き受けさせて頂きました、うずまきナルトと申します」

同じく目礼した白と君麻呂に視線を走らせてから、ナルトは謁見の間の奥で鎮座する紫苑を真っ直ぐ見据えた。
その強い視線を受け、それまで感情が抜けたように呆けた表情をしていた紫苑の顔色が一瞬変わる。
その唇が静かに震えた。



「うずまきナルト…お前は―――死ぬぞ」

彼女の胸に挿された鈴が、ちりんと鳴った。

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