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101番目の舶ィ語
第六話。千夜一夜夢物語@告げられた予兆
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あるアリサにそう告げられると、かつてセーラらに告げられた『死相』を思い出す。

『もうすぐ、死ぬ』

もうすぐ、ということは直ぐに死ぬわけではない。死ぬまでに何かしらの予兆や要因。きっかけがあるということ。
つまり、回避することができるということ。

理亜もその可能性に気づいたのか、あるいは無意識なのか。
理亜は「もうすぐ死ぬということに対して、反応を考えてみました。怒って問いただす、焦って問いただす、怖がりながら問いただす、の三択で」などと言い、アリサの「結局、どれを選ぶんだ?」との質問にあろうことか、「第四の選択肢」を提示した。

『どれも結果は同じなら、普通に問いただす』と。

「ははは! 面白いな、お前! 三択まで用意しておいて結局どれも選ばないのかよ!」

どこかで聞いたことのある言葉を放つと、アリサは楽しそうに笑いながら、顔を覗き込んできた。
そして、かつて俺にも言ったように意味深な言葉を告げる。

「うん、素質があるのかもしれないな、お前さん」

「素質、ですか?」

「ああ、私が探していた女なのかもしれない」

アリサはそう告げると、おもむろに理亜に手を伸ばした。
理亜のからだは自然な仕草で、サッと回避する。

「一体、何を……」

と理亜が言いかけた瞬間、俺の視界がぐるりと変化した。
理亜の体が、大きく回転したのだ。
理亜の体に意識がある俺から見てもその回避行動は異常だった。

「へえ、やっぱりな」

カツン、と地面に小石が落ちる音を聞こえる。
理亜の体を通して俺は、ヒステリアモードの視力によって今起きた出来事を瞬時に把握することが出来た。
アリサは理亜に向けて手にしていた小石を投げつけていたのだ。

「自身が認めた者でなければ触れることすら許さない。人であろうと物であろうと。そんな才能、聖女か女神くらいしか持ってないものだぜ?」

「咄嗟に体が避けてしまうだけです。多分、潔癖症なもので」

「そう、最初はきっと『触られたら嫌だ』くらいだったんだろうな。だけど、それが次第に自分の才能として昇華され、やがては『どんな不浄なものも触れること(あた)わらない』のレベルまで達した。立派に聖女か女神だよ」

アリサの口から告げられた言葉に、俺も理亜も唖然としてしまう。
聖女、女神。
そんないかにもファンタジックな言葉も、目の前の少女から告げられると信憑性がある気がしてしまう。アリサの外見的なものもそう思わせる要因かもしれないが……。
それにしても、女神かぁ。
前世でもそうだったが、俺は非現実的な存在と縁があり、そういったものから逃げられないらしい。

「ますます、私のパートナーに相応しい」

ニヤッと笑うアリサを見て俺は理解した。やはり、彼
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