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101番目の舶ィ語
第五話。異界の迷い家
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ここは夢の中なんだな、とはっきり解るのはあの『神隠し』の時に体験しているからだろう。
今俺がいる場所。そこは見覚えのある和室。
そう、初めて鳴央ちゃんと出会ったあの場所だった。

「なんだかここで会うのも久しぶりですね」

俺が冷静に今いる場所がどこなのか、思案していると、そんな声が聞こえて。
目の前を見るとそこにはもじもじと頬を染めて正座している鳴央ちゃんがいた。

「え、あれ? 鳴央ちゃん……だよな?」

「はい。お待ちしていました、モンジさん。その……貴方が眠るのを」

照れたように俯くその姿は大変可愛らしいのだが。ヒス持ちの俺からすればこのまま彼女の姿を見続けるのは精神上よろしくないので、俺が何故ここにいるのかを尋ねることにする。

「えっと……つまり、俺は今眠っていて、鳴央ちゃんの『ロアの世界』に入った、っていう認識でいいのか?」

「はい。ここは私のロアの能力の一つ『異界の迷い家(テイルナノーグ)』という場所です」

異界の迷い家?

「眠っている相手をこちらの夢の中に引き込んだり、眠っている相手の夢の中に出たり、眠っている人の夢を覗いたりすることが出来る能力です」

「そんなことが出来るのか??」

凄いなぁ、神隠し。

「私はこうやって、色んな人の夢に触れていたので……その、結構色々な知識があったりするんです。長年、『神隠し』をやっていましたから」

そう言ってどこか申し訳なさそうな顔をする鳴央ちゃん。
彼女がそんな表情を浮かべるのは罪の意識があるからだろう。
相手を夢の中に連れてきたり、夢に出るのはまだしも、相手の夢を覗き見るのは確かに気が引ける行為だからな。とはいえ、その能力はかなり重要な情報源になるのは確かだ。
ただ、気になることがある。

「やっぱり、『神隠し』を退治しよう、なんてロアもいたのか?」

強力な能力を持つが故に、強敵だから手を出さない方がいいと言われていたロア、『神隠し』。
俺が何とか出来たのも、それが『音央』と『鳴央ちゃん』だったからで、まったく知らない相手だったらどうにか出来たか解らない。一之江やキリカの反応からすると消える確率の方が高かったのかもしれない。

「は、はい……。大抵は詞乃ちゃんがなんとかしてくれたんですけど」

朱井詞乃。『神隠し』と同時に発生していた『人喰い村』のロアか。
語尾上がりの口調が特徴的な、迷い込んできた人を食べまくる『村』の化身のようなロア。
その詞乃と鳴央ちゃんは名付け親と、隠れ蓑という関係であり。ある意味協力関係にあったわけなので、詞乃が鳴央ちゃんを守っていたという言葉には納得出来る。
人懐っこい口調と笑顔で相手を油断させ、死人に相手を襲わせて殺害する。
そういった存在だった彼女は今はキリカ
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