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藤崎京之介怪異譚
case.6 「闇からの呼び声」
U 12.6.PM1:44
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介。お前には本質を見極め、根源を断ってほしいのだ。」
「本質…ですか?それは数百年前に亡くなった、あの領主と関係が?」
「そうだ。私達では、それを断つことは困難だからな。」
 叔父のその言葉に、俺は引っ掛かりを感じた。宣仁叔父は俺なんか及ばない程の実力がある。それにも関わらず、俺をわざわざ日本から引っ張り出して手伝わせることはなかったはずなのだ。そこには、何か意図的な理由があって然るべきなのだ…。
「叔父様。どうして私をここへ呼んだのですか?オルガニストや指揮ならアウグスト伯父様お一人で充分だった筈ですし、悪魔払いでしたら貴方がいる。真の目的は何なんですか?」
 俺がそう問うと、叔父も父も黙してしまった。その沈黙で、俺は何かが分かったような気がした。だが、それは未だ霧掛かっているみたいにはっきりとはせず、いわば勘のようなものだった。
 ただ一つ言えることは、この状況を父と宣仁叔父、そしてアウグスト伯父の三人では抑え切れない…それだけは理解出来た。

 これから起きることは何か?それは俺に深く関わることになるだろう。数百年も前の記憶が現代に禍を齎すなんて…他人が聞いたら馬鹿にして笑い出すことだろう。
 しかし、これは現実にある禍だ。誰かが犠牲になるかも知れず、それが誰かさえ分からない。年が明ける迄に決着をつけなければ、一体この町に何が起こるのか…?古文書には様々な事柄が記されているが、果たしてどこまで信用して良いのかさえ俺には分からないのだ…。
 窓から外を見ると、傾きかけた陽射しの中に小鳥が遊んでいた。こうしてると平和そのものなのに…この胸騒ぎ何なのだろう?ただ、今は神に祈るしかない。何事も無いように…誰も傷付かないように…。

 紅い夕陽に照された部屋の中…そう思った。





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