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英雄は誰がために立つ
Life16 追い詰められたゼノヴィア
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の想念こそが英霊足らしめる要因ですので、実際の人の歴史上の人物であろうと、空想上の物語の人物であろうと、その両方が入り交じった存在であろうと確かな信仰心と知名度さえあれば英霊達の集約される『世界』の外にあるであろう『英霊の座』に祭り上げられるのです」
 「補足を入れるなら過去だけじゃなく、現在・未来もあるんだが、そんなの見た事なかったからな。事実上は過去だけの様なモノだったさ」
「そんな存在がいたのですか・・・」

リアスはグレイフィアの説明に興味と驚きを示した。

「しかし、どういう事だ?『英霊の座』に対するアクセス権は悉くに破壊されたはずだぞ?」
「悉く破壊されたはず、ですか?」

アーシアがおうむ返しのように聞く。

「ああ。お前らも知ってるだろうが、悪徳に極まった人間の悪行もろともに洗い流すためにっていう“大洪水”ってあったろ?あれは色々原因やら理由があるんだが、そのうちのひとつが『聖杯戦争』を悉く殲滅するためでもあったんだよ」
「聖杯戦争・・・・・・ってなんすか?」
「ん?そういやぁ、知らねぇんだったか」

自身の迂闊さにアザゼルは頭をかいた。
存在すら抹消された儀式と技術を悪魔に転生したての一誠は勿論、1世紀も生きていないリアス達のような若者が知っているはずもなかった事に。
しかし、ならばなぜ藤村士郎が知り得ていたのかと言う疑問は残るが、今それを追求してもまた話の腰を折ってしまう可能性もあるので自制して説明し出した。

万物の願望を叶えるとされるが、願い許されるのはただ一組のため故、それを求め奪い合う魔法使い達の殺し合い。
万物の願望器たる聖杯を求める七人の魔法使い(マスター)と、彼らに召喚されて契約して七つのクラス、つまりセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、アサシン、キャスター、バーサーカーに当てはめられた英霊達がサーヴァントと呼称される、7騎になり覇権を競う。

「―――ってのが聖杯戦争なんだよ。とは言っても、召喚される英霊は年月が積み重なっている信仰心と知名度により強弱も変化するから、昔は英霊なんてさほど強くもなくて聖杯戦争に参加したと言う証程度でしかなかったんだ。それに当時は、物理法則が不安定な神代の魔法使い達の方が上だったんだよ。――――これ以上の細かい詳細は省くが、この悪行を悉く殲滅するために“大洪水”が起きた理由のひとつなんだよ」
「大洪水が起きた理由は理解できるが、一つおかしな点があるぞ。聖杯はこの世にただ一つだけのはずだ。それにも拘わらず、悉く殲滅するっていうのはそういう事だ?」

ゼノヴィアは元教会の戦士でもあったので、当然の疑問をアザゼルにぶつける。

「確かに本物(・・)の聖杯は一つだけだが、別に聖杯を模した偽物でも構わねぇん
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