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駄目親父としっかり娘の珍道中
第78話 コンテニューは計画的に
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走った視線が突き刺さる。相当なまでに殺気立ってること山の如しであった。
 声を掛けたであろう男はそんな顔をする二人、と言うよりも神楽の方をまじまじと眺め、さも悲しげに首を左右に振った後に悲しそうに、とても悲しそうに一言呟きだした。もう、本当に悲しそうに。

「いけませんねぇ、年頃の女の子がそんな血走った眼をしちゃうなんて。折角の可愛い顔が台無しですよぉ」
「また変態発言ですかぁ? いい加減にして下さいよ先輩」
「変態じゃありません。フェミニストですってば。何度言ったら分かるんですかあなたは」

 殺気立ってる二人を止めようとする声の他にもう一人別の声が聞こえてきた。先ほどは男の声で今度は女の声であった。その女はと言えば、変態と罵られた男をまるで蔑むかの様に睨みつけていた。鋭い眼光で氷の様に冷たい視線を飛ばす。世の中の男性陣にとってはご褒美と言われる場面であろうが、生憎この男には何ら嬉しく感じてはいない。
 だってこの男にとってこの女は好みじゃないのだから。

「だ、誰だか知らんが……助かった。後少しでまた1面からやり直す所だった」
「いえいえ、こんなご時世ですからお互い力を合わせないといけませんからねぇ」
「確かに、こんな殺伐とした時代こそ人と人とが互いに力を合わせて行くべきだ。どうだろう、共に攘夷の優しさを世に広めようではないか」
「素晴らしいですねぇ。では一緒にフェミニストの優しさを世に広めましょうぞ」

 すっかり意気投合しあう桂と優しき心を持つ男。互いに仲良く肩を叩きながら全く噛み合ってない会話を楽しんでいたりする。
 そもそも攘夷にもフェミニストにも優しさは必要ないようにも思われるのだが。
 そんな全く噛み合わない会話を目の前で見せられてる新八、神楽、そして男と共にやってきた女。

「何? 何であんな全く噛み合ってない会話であんなに仲良くなれるの?」
「所詮ヅラはヅラアル。どうせ頭ん中までヅラかぶってるから仕方ないアルよ」
「先輩も先輩っすねぇ。相変わらず頭ん中変態でロリコンで凝り固まってるだけみたいっすよ。マジで気持ち悪いっすわ」

 すっかりこっちでもある意味で意気投合しちゃってたりする。だが、喧嘩の仲裁が入ったお陰で二人の沸騰しまくりだった脳は熱が冷めだし、次第に冷静な判断が取れるようになっていく。
 熱々の料理が時間を置いて冷めていくような感じで沸騰していた頭がようやくクールダウンし、色々と考える余裕が出てきた。その時点で二人はある重要な事に気づく。


 ……此処って、敵地じゃなかったっけ? ……と。

「って! あんたら一体誰ですか!?」
「そうネ! さっきまで頭熱々おでん状態だったから気づかなかったけど、お前ら誰よ!?」

 今更な発言であった。敵地に不法侵入しといて敵に
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