暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第112話 ユイの心
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 皆は、何処かで信じていたんだ。


――あの男は規格外、でも背中は見失わない。……目指すべき理想像だからな。
――凄イヨネ。正にミスターインポッシブルだヨ。今は白銀ノ勇者カナ?
――……本当、うちの団長とどっちが上なんだろう?わたしが決闘しても1分もつかな……?
――さーすが私のリュウキ君っ!
――戦闘狂のバカタレの癖に結婚なんて、羨ましけしからん事を……。
――ほんっと、無茶苦茶よねー。キリトと言いあいつと言い……。可愛い所ある癖にねー。それに比例するんだから。


 その男関係では、様々な声が出てくる。その殆どが、強さを絶賛するものばかりだ。

 だから、敵がどれだけ強大であっても、たとえ、どんな苦境であったとしても。必ず道を切り開いてくれる。必ず、無事に戻ってきてくれる。

 ……それは、妄信染みた期待だったのかもしれない。



 だからこそ……、彼を たった1人で戦わしてしまうと言う愚行を、皆が犯してしまったんだ。



「………」

 眼前に広がる光景に、キリトは声も出なかった。
 自分の動体視力で確かにみた。リュウキは、自身の敏捷値(AGI)筋力値(STR)の全てを最高潮で技を撃ち放った。 それは、突き技。あのグリームアイズ戦で一度だけ見た切っ先から鍔元付近にまで突き刺す《レイジング・ドライブ》。

 それを放った瞬間、まるで世界がブレた。

 キリトはこの感覚は初めてではない。あの時もそうだった。自分は動けないのに、相手は動けると言う理不尽極まりない現象だった。

 ブレた世界、リュウキの渾身の突きがまるで、スローモーションの様で、あの死神は僅かな動き、最小限の動きだけで、それを躱し……、その巨大な鎌を無慈悲に振り下ろした。リュウキもただ黙ってやられる訳はなく、その自身だけスローな世界に置いても、まるで、未来を先読みすらしているが如き動きで、極長剣で防御の構えをとった。

 基本的に、発動したソードスキルをキャンセルする事は出来ない。

 だが、リュウキはそれを体現し、致命傷だけは避けた。そう、致命傷……だけは。

「……リュウキくんっっ!!!」

 その一撃の重さで、倒れ伏すリュウキを見て思わず駆け出すレイナ。

 彼の生命値は、防御をした筈なのに、イエローゾーン。
 ……いや ギリギリ、レッドに行かない程度のHPでしかない。その上、あの鎌による攻撃には一時行動不能の効果もあるのだろうか、リュウキは片膝をついて動けないでいたのだ。

 その間、凡そ2秒程の時間だった。


「ぐ…ぁ……」

 脳髄の奥にまで、鈍く響いてくるその激痛。
 死が近づいているのだろうと言う事を実感させられる程の一撃だった。このままあの死神に憑か
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