第6章 ローゼンリッターとして 〜アルレスハイム星域会戦 前篇〜
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宇宙歴792年1月28日ハイネセンを出撃した「アルレスハイム迎撃艦隊」はワープ航法を用いて7日間でアルレスハイム星域に到達した。
シャトル搭乗前にニコールに泣かれてしまった。
それも人前で。
何回も必ず生きて帰ってきてと言われ、無茶しちゃだめよ とも言われた。
でも今回の作戦は無茶をしなくてはいけない。
迎撃作戦なので艦隊が入り混じる混戦状態になることはあまり期待できない。
であるが上に、侵入、拘束、離脱は最悪でも20分以内の完了が求められた。
でも、そんなのことは言えないし今回の作戦自体機密性の高いものであったので必ず生きて帰ると一言言って別れた。
目標の戦艦「オーデッツ」はいわゆる「高速戦艦」に分類されるもので、巡航艦並みの速度と機動性を持ち合わせる。その代り近接防御兵器を一切排除し対艦ビームまたはミサイルが攻撃兵器として備えられており、対艦載機用の対空砲、防空ミサイルは皆無である。
強襲揚陸作戦をする上では最高の状態である。
しかし、帝国軍の分艦隊旗艦級の戦艦にはワルキューレ1個空戦飛行中隊分の防空戦闘艇が配備されている。これは、われわれにとって脅威であった。
捕獲された高速戦艦を用いた強襲揚陸演習はあまりやったことはないが、内部構造は通常の戦艦と同じなので、目をつぶってでも艦橋までたどり着ける。
しかし、その間には当然ながら敵守備兵がいることは言うまでもない。
通常であれば、戦艦には常備陸戦隊は搭乗していないが帝国軍の戦艦乗りは全員が擲弾装甲兵としての訓練を受けているため、最悪でも1個大隊程度の迎撃部隊が即席ながらできるわけだ。
その上、分隊旗艦ともなると専属の防御擲弾装甲兵なんて1個中隊はいそうだ。
しかも、帝国軍は貴族が士官である場合が多いのでいわゆる「貴族としての美学」とかいうものを重んじることがあり捕虜になるよりは死を選ぶということを体系化するらしい。
これにより、同盟軍は過去何百人もの兵士を失ってきた。
今回も十分に考えられた。
何回もの作戦会議、兵棋演習をして作戦を頭にすりこむ。
なんとしてもこの作戦で全員で生き残って目標を達成してハイネセンへ帰還する。
アルレスハイム星域に侵入してから、3日目。
強行偵察機の情報でアルレスハイム星域第7小惑星群周辺で帝国軍補給線集団を確認というものが入ってきた。
これに対して同盟軍を全力を挙げて迎撃、撃破に向かう。
当然ローゼンリッターにも出撃準備命令が下った。
強襲揚陸艦「コバックZ号」の中で
自分の率いる中隊員の前で
「とにかく第1目標は生き残ること。やっこさんの捕獲は第2目標。以上だ。」
自分の経験から出撃前にいろいろと言われても覚えていないのが常識であった。
シンプルが一番いい。
「解散!」
敬礼を返して、解散する
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