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ロード・オブ・白御前
踏み外した歴史編
第3話 ただ一人の求め方
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してほしくないから  」

 頬とはいえ想い人からのキスにぽけーっとしてしまった光実だったが、舞の最後の台詞で我に返った。

「僕はもう世界を滅ぼしたりなんてしません。舞さんが大事に想うものを壊したりなんて……っ」

 すると舞は光実の額に自身の額を重ねた。
 次の瞬間、目に“今”“ここ”ではない光景が投影された。



 ――都市を余す所なく覆い尽くす、ヘルヘイムの植物。

 ――ヒトはおらず、インベスだけになった街。

 ――その頂点に、一人だけ生き残った“人間”として立つ、光実自身。



「  これが  あたしがミッチを選んだ未来  あたしに選ばれた人は  古い世界を滅ぼすことでしか  生き延びられないの  」
「こんなのって……」

 人間は光実しかいない世界。貴虎(あに)碧沙(いもうと)も、慕っている紘汰も裕也も、チームメイトも、誰も光実の周りにいない、ひとりぼっちの世界。
 こんな世界で呉島光実は生きていけない。

「 ごめんね  でも応えたいと想ったのは本当だから  それだけは信じて  」

 舞の姿が金の微粒子になって崩れていく。

「舞さん? 舞さん待って、舞さん!」

 伸ばした光実の手をすり抜け、舞は完全に消えた。
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