暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 中学編 23 「聖夜のひと時」
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 12月25日。世間で言うところのクリスマスだ。
 私の両親が営んでいる翠屋という店は、このへんではそれなりに有名であり常連客も多いため、毎年大いに繁盛する。だがそれは言い換えれば忙しいということだ。
 これまではフェイトちゃん達とパーティーを行ったりしていたが、私も中学生になった。今までのように甘えてばかりにも行かないと思った。無論、他にも理由はある。
 私と違って……お兄ちゃんには忍さんという素敵な恋人もいるわけで、クリスマスとか特別な日はふたりっきりで過ごしたいだろうし。普段お世話になっているわけだから、こういうときくらいは恩を返さないといけないよね。
 そのような想いから今年は店の手伝いをすることにした。来年も可能ならしたいところだけど、魔導師としての仕事が入る可能性もある。半社会人とも言えるような立場としては、仕事を優先させてしまう可能性が大だ。まあこれは今考えても仕方がないんだろうけど。

「ふぅ……」
「ずいぶんとお疲れのようですね」

 隣から聞こえた落ち着いた声の主は、知人には私のそっくりさんとして知られているシュテルだ。ちょうど着替えを終えたようでメガネを掛けようとしている。
 なぜシュテルがここにいるかというと……情けない話ではあるが、私ひとりではお兄ちゃん達の分の仕事を処理しきれないからだ。
 本当はショウくんだけだったんだけど……ショウくんがシュテルを助っ人として呼んだんだよね。
 シュテルは今までに翠屋の仕事を手伝ったことがなかったし、あまり感情が顔に出るほうがじゃないから心配だった。だが午前中はたどたどしいところもあったのだが、午後にはほぼ完璧な接客をこなすようになり……。
 もしかすると……私よりも仕事ができてたんじゃないかな。
 いやいや、そんなことはないよね。だって私は昔から手伝ってたし……けど久しぶりだったから何度かミスをしたというか、危なっかしいところがあったと言いますか。でもお皿を割ったり、注文を間違ったりはしてないわけで。

「……何を百面相しているのですか?」
「え、いや、別に何でもないよ!」
「そうですか」

 ……え、それだけ?
 何だか反応が薄くないかな。普段なら言葉は発しなくても引いたような仕草をしたり、冷たい視線を向けてくるのに。
 あっでも、何だかいつもよりも声に元気がなかったかも。平気そうな顔をしているけど、シュテルも疲れてるのかな。ううん、疲れて当たり前だよね。ただでさえクリスマスで忙しかったわけだし、初めての手伝いだったんだから。

「えっと、最初に言うべきだったんだろうけどお疲れ様。今日はありがとうね」
「そちらこそお疲れ様です。別に感謝の言葉はいりませんよ。手伝うことを決めたのは自分の意思ですし、最近研究ばかりで体が鈍っていましたから」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ