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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
黒守黎慈とフェンサー(3) ─譲れないモノ─
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るが、もし特定クラスの型に嵌っていたらこれほどマルチに能力を発揮はしなかっただろう。

「とはいえ単純な防御能力も異常だから苦戦したわ。だからやっぱり、真っ当な戦闘では敵わない。
 まず第一案としては、手段は問わずとにかくマスターであるイリヤスフィールを殺すことが簡単で効果的ね」
「…………一番現実的で合理的なのは分かるけど、なぁ」
「令呪を放棄させるのも、バーサーカーとの契約を破棄させるのも絶対に無理よ。あのマスターが聖杯戦争を諦めるのは、バーサーカーが倒された場合以外有り得ないわ」

 反論したい気持ちもあるが、概ね正論だ。

 聖杯戦争に参加すると決めた時点で、相応の覚悟を以て望んでいる。
 それは俺も当然として、凛や士郎も、それこそイリヤスフィールもそうであるはずだ。
 彼、彼女らに付き従うサーヴァントは言わずもがな、聖杯に懸ける望みがあるからこそ現界しているのだ。

 基本的にサーヴァントを失った場合を除いて、マスター側に降伏を促すのは意味を成さない。
 どちらかが圧倒的優位に立つほどの実力差があるときのみ、令呪を強制的に棄てさせる選択肢を突きつけられる。
 俺と慎二のように────一度目は棄てさせ、二度目に慎二をこの手にかけたが、他のマスターはそうはいかない。

 令呪を差し出すこと、サーヴァントを失うことはマスターにとって死と同義だ。
 それでもマスターが死ねばサーヴァントは存在維持が不可能になるのだから、基本的にマスターの命の方に重きを置くが、そのあたりの判断は各自によって違うだろう。

 可能かどうかを置いておけば第一案が一番簡単ではあるが………………

「他にも案はあるんだろ。それも言ってくれよ」
「……第一案は不服ってことね。それじゃ第二案、これは普通に考えれば出てくる攻略法、他マスターとの協力よ。敵の敵は味方、利害が一致していれば協力に応じる誰かは必ず居る」
「そりゃそうだな。実際に最初の夜に襲われたときは、三組のマスターとサーヴァントが共闘したんだし。一人ふざけた真似したヤツがいたけど!」

 アーチャーの"全部まとめて消えちまえ爆撃"は未だ許しがたい蛮行である。

 彼は彼の合理に従って行動を起こしたのは認めるが、まずマスターの凛の意向を無視しているのと、不意打ちされたのが気に食わないという点が一番大きい。
 というよりアレを簡単に許せるほどの豪放さは俺にはまだない。将来的にああいうことも笑って流せる大人物になりたいものである。

 絶対に許さないけど。

「でもそれは凛と士郎がやってるしな、若干蚊帳の外の俺らが組めるような他のペアは望めないんじゃないか?」
「ええ、そこで第三案。まあ本命はコレっていうか妙手だけど、他の誰かと戦って消耗するのを待つ。もしもバーサー
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