暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《2》〜パラドックス・プレイヤー〜
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。もっと強くなる。

「うおっ!?」

 少女らしかぬ叫びをあげて、ハクが吹き飛んでいく。ついにそのHPバーが削れた。

「いたたた……うっへぇ、一撃で一割近く吹っ飛んだぞ。さすがの紙装甲だな俺も……じゃぁ、反撃とするか」

 その、宣言の直後。

 バァン!! という炸裂音と共に、地面がめくれた。

「いっ!?」
「やっほー」

 一瞬にして、リオンの目の前にハクが姿を現す。その槍は、()()()()()()()のエフェクトライトを纏っていて――――

「――――《アラブル・ネメシス・ブロッサム》」

 斬、という音と共に、リオンの体が切り裂かれる。ざざざざざ、と斬撃は続いて行き、計40回近くのインパクトがリオンを襲った。

 満タン(オールグリーン)だったはずのHPバーが、いきなりレッドゾーンに突入する。

「な……」
「どうよ。《神話剣》《妖魔槍》複合ソードスキルの威力」

 ――――《神話剣》と、《妖魔槍》の複合、だと……!?

 にわかには信じがたい。

 《神話剣》はセモンのユニークスキルだ。彼女のモノではない――――

「……ま、さか……」

 その可能性に思い至った時、リオンは戦慄した。

 なぜだ。なぜ、そんなことが起きている――――?

 
 この少女の正体は――――

「……あ、やっべ……時間切れだ」

 その時。

 リオンは、ハクの体が半透明になっていることに気が付いた。

「うへー……複合ソードスキル使ったのが間違いだったかなぁ……うーん、二十分は持つって言ってたのに……晶也の?吐き……ま、いっか」
 
 顰め面から、あっけらかんとした笑顔へ。七面相を見せた謎の少女は、こちらを見て笑った。

「また会おうぜ。次は決着つけような」

 それは、綺麗な笑顔だった。

 直後、【回線切断(Disconnection)】という表記が出現し、ハクの姿がぶつり、と消滅する。

 【Forth―Battle:Winner is Lion!!】

 リオンの勝利を告げるメッセージが表示される。

 だが。

「何だよ……」

 リオンの胸中は、何ともいえない違和感で、満たされていた。

 それは俗に、『不完全燃焼』と呼ばれる、戦闘狂の兆候だった。
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