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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第110話 おでん……温めますか?
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 蒼い――。雲ひとつ存在しない蒼穹(そら)に高く舞い上がったボールが、ゆっくりと前進して来たセンターのグローブへと納まった。
 その瞬間――

「やりましね、皆さん。決勝ですよ!」

 三塁側に陣取った一年六組の応援席。その野暮ったい学校指定のコートやジャンバー姿の女の子たちに囲まれた中で、一人目立ちまくって居るチアガールがぴょんぴょんと飛び跳ねながらそう言った。
 それと同時に発生する喧騒。フライが打ち上がった瞬間の、息を呑むかのような静寂など一瞬の内に吹き飛ばされた瞬間。それが、丁度彼女が言葉を発した瞬間だったのかも知れない。
 ただ、その歓声や喧騒に付けられた色が七分三分で黄色い――かなり華やいだ色が多いのは、この一年六組のチームに付けられた色が、そう言う類の色で有るからなのだろうか。

 男子は一匹狼的な連中が多いのか、もしくは、この女子のみが集まったベンチ横には流石に入り込み難いのか。まぁ、おそらくは後者の方が理由なのでしょうが、クラスのメンバーの内で応援に来ているのは一部のみ、と言う体たらくと成って居た。



 十二月九日より開始される――この試験の採点と、ついでに二学期の成績を付ける為に始められた真冬の球技大会。時期が時期だけに一、二年生だけで行われるこの大会は、サッカー・野球・バスケ・バレー・卓球の中から好きな競技にエントリー出来る仕組みで、更に言うと一クラスに一チームと限られている訳でもなく、バスケやバレーに二チーム以上エントリーするクラスも有れば、代わりに野球には一チームもエントリーしないと言うクラスもあると言う、何と言うか、非常に縛りのヌルイ学校行事と成って居た。

 其処で野球にエントリーした我らが涼宮ハルヒ率いるSOS団のチームなのですが……。
 当初、クラスの誰も応援に来る事もなく一回戦。結果は当然のように三回コールド勝ち。
 尚、これも当然のように特別ルール。一、二回戦は五回まで。準決勝からは七回。そして、決勝戦は九イニングを戦う事と成るのだが……。それまでに十点差以上離された場合は最速で三回。三回以降の回ならば、十点差が付いた段階か、その裏の攻撃が終了した時点でゲームセットとなる。
 まぁ、何にせよ、ダラダラと長時間、寒い中で打順を待つ必要もないのでこれは非常に有り難いルールなのだが。

 ……それで話を戻すと。
 少なくともリトルリーグの優勝チームのエース。もしくは中学野球の平均的なエースが投じる程度の速球。具体的に言うと、シューっと言う音を発する非常に回転の良い、勢いのあるストレートを投じるハルヒを簡単に打ち崩せる進学校の生徒など存在する事もなく――
 更に練習段階で判って居た事なのですが、内野の守備は最低でも鍛えられた高校野球クラス。おそらく、この北高校の野球部でなら間違い
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