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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第18話 血縁
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導隊は希望入隊制ではない、アグレッサー部隊であるため操縦技量が高いことは大前提だがそれに加え教導隊員が認めた衛士が一本釣りのような形で打診が行われる。
 それは特殊な素養、戦術の組み立てや相手へのコーチング能力、理路整然と戦術と戦技を分析し相手に改善点を教える能力を必要とされるからだ。
 つまり、集団と個人その両方で非常に高い技量を持つ衛士として認められたという事だ―――年齢を見れば唯依の一つ下。訓練兵時代からその片鱗を見せていたのだろう。

 紛う事なき傑物だ

「あいつは……ジュニアサッカーを熱心にやっていてな、特に個人での練習はもとより、全体でどう動くべきかを熱心に考えてた―――教導向きの資質は元からあったんだ。」
「忠亮さん……」

 忠亮の苦い声色から唯依は彼が弟が兵士となることを望んでいないという事を悟る。

「でもあいつは……将来、サッカーのコーチに成りたいって言っていた―――なのに…!」

 食いしばる彼、そういえば彼が斑鳩家へと養子入りする際に彼の弟とその恋人を徴兵免除にするという取引があったのを思い出す。
 そうだ―――彼は守りたかったのだ、末の弟の夢を。富士教導隊と帝都守備隊は12、14師団の様に佐渡賀に貼り付けで防衛を行っている訳では無い。
 が、BETAの地下侵攻の危険がある以上、常にその命は危険に晒されている。そして、彼らが実戦を行う事があるとしたら、不意の奇襲か圧倒的な物量による大規模侵攻。

 その際の戦場は住民の避難と指揮系統の混乱であの京都を彷彿とさせる地獄となることは間違いない。
 また、避難民の輸送によりリソースを食われ補給もままならない筈だ。
 前線に比べ損耗率は低いが、実戦となれば全滅はほぼ必至の部隊―――それが帝都守備隊と富士教導隊だ。

 尤も、軍属となった時点で何処に居ようと常に死の危険はある―――悔しいのだ彼は、自らの血を分けた弟にその道を志願させるに至った現実と、それを招いた無力の一翼であった自分の不甲斐なさが。

「……やはり御兄弟なのでしょうね。きっと自分の守りたいモノを守るために自分が戦うべき道へと進んだんだと思います。」
「確かに、俺とあいつは根っこの部分が似ているとよく言われたなぁ……」

 唯依の言葉に嬉しい様な悲しい様な微妙な表情をとる忠亮だった。

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