暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico6優しくない世界〜The Fate of Rusylion〜
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随分な骨董品が見つかったものですね。あ、ちなみに私は関与していませんよ」

リアンシェルトは頬杖をついた姿勢を取り、そう言って俺を真っ直ぐ見詰めた。落ち着いていた感情がまた乱れそうになるのを自覚した。グッと握り拳を作り「アムティスが戦闘行動を取り、俺の家族や友人、航空隊員を撃墜した・・・!」続ける。

「そうですか。それはまた運が悪かったですね」

「っ!・・・起動したばかりのおかげか本来の出力が出せなかったようだ、フィレスが無事なのが良い証拠だ」

アムティスの攻撃力はもっと高い。指先から放たれる砲撃、ラージョ・デ・シエロの直撃を受けてすぐに戦場に戻れるわけがない。フィレスがピンピンしているところを見ると、最大出力が出せていないということだ。

「良かったですね。知り合いが亡くならなくて」

「・・・そして! 最後の最後! 家族たちを襲った爆風! アレはシュヴァリエルの轟風暴波だ! 俺に放つならともかく、普通の局員に放ちやがった! 魔力付加していないからただの爆風だったが、一歩間違えば大殺戮だ!! ふざけるなっ! 狙うなら俺だけにしろ、襲うなら俺だけにしろ、殺すなら俺だけにしろっ!!」

バァン!とデスクに両手を叩きつけてリアンシェルトを睨みつける。そして「目的は何なんだ! こんな回りくどい真似をして! サッサと俺を殺しに来ればいいだろう!!」魔力付加した左拳を振り上げ、リアンシェルトの右頬を殴った。しかしリアンシェルトの首はピクリとも動くことはなく、「ぅぐ・・・!」俺の左拳にダメージが返って来た。

「他のエグリゴリの動向など知りません。各々が好きに活動しています。人間に関わるのも単なる気まぐれに過ぎません。現状に飽きて、殺す気になったらあなたを殺しに来るでしょう。それまではどうぞお好きに過ごしてください、神器王。全ては、時が来れば、ですよ」

俺に殴られた、腫れるどころか赤くもなっていない右頬を小さく撫でながらリアンシェルトはそう言い放った。俺の今の生活は、“堕天使エグリゴリ”の気まぐれの中で得られているものなのだ、と。そして話はこれで終わりだと言うようにリアンシェルトが仕事を始めた。

「・・・俺は負けない。お前たちの為にも、俺の為にも、家族や友、仲間の為にも・・・! 失礼します、リアンシェルト准将」

一礼し、踵を返して執務室を後にしようとしたら、「再誕神話に関する資料は全てこちらに移しました。まだ知られたくないでしょう? あなたの正体を」リアンシェルトがそう言った。振り返ると、あの娘は自分の背後にある本棚に指を差していた。アムティスの装甲には型式番号や名前が記されているのは知っている。万が一、それを見た局員が調査すれば、俺やステアの名も記された再誕神話に行き着くだろう。確かにそれはまだ遠慮したい。


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