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うみねこのなく頃に散《虚無》
第一の晩 (2)
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。その際、同じく真里亞を探す楼座と会い、最後に見たという薔薇庭園での捜索が始まった。
 数分後、白い傘をさす真里亞を見つける事が出来た。

 真里亞曰く、傘はベアトリーチェから借りた物であるらしい。嬉しそうに話す姿を見ながら、戦人も朱志香も譲治も楼座も、本気にはしなかった。



 夕食が済み、食後のお茶を楽しむ皆を凍りつかせたのは、真里亞が取り出した1枚の封筒。それには《片翼の鷲》が描かれ、当主の指輪の封蝋が押されていた。
 誰が尋ねても、真里亞は「ベアトリーチェに貰った」と答えた。いくら聞いても埒があかない、と秀吉の提案で手紙の内容を読み聞かせてもらうことになった。


「じゃあ読むね、うー!

『拝啓、右代宮家の皆々様方。
 私、右代宮家 顧問錬金術師を務めますベアトリーチェと申します。長年、契約の下 右代宮家に仕えて参りましたが、先刻 金蔵様より契約の終了を受け、これを受理致しました。
 よって契約に従い右代宮家の財産や家督は全て回収させていただきます。右代宮家の全財産は私の物となるのです。
 ですが、金蔵様は皆様にもチャンスをお与えになりました。内容は以下の通りです。

【契約条項】
 六軒島のどこかにある隠し黄金を探し当てた者を次期当主と認め、ベアトリーチェは財産を回収する権利のを失う。

 隠し黄金の在処は、我が肖像画の碑文にて記してあります。
 では、今宵がいい思考論争の夜になることを祈って。

追伸
 明日、客人を招いておりますので手厚い歓迎をお願い致します。

《黄金のベアトリーチェ》』......」


 スラスラと文章を読み上げた真里亞が満足気に顔を上げた。
 誰かが噴き出したのをきっかけに、その場にいる全員が笑い声を上げた。手紙の内容と、それを信じる真里亞の幼さを嘲笑う。


「手の込んだイタズラだな。誰が思いついたんだ? どうせ、戦人なんだろ?」

「何言ってんだよ親父。俺たちは真里亞を探すまでずっと3人でゲストハウスに居たんだぜ? 親父たちの誰かじゃねえのか?」

「馬鹿言え。こちらとちゃ、兄弟仲良く話し合いの真っ最中だったぜ。親族じゃないとなると...使用人の誰かじゃねえのかい?」


 名乗り出る者はいない。全員が顔を見合わせて、首を傾げる。


「......え?」

「お、おいおい。全員違うって言うつもりかよ」

「もしかして...じい様、とか? ......なあ、真里亞。俺にもその手紙をみせてくれよ」


 この場に居る者じゃないとすると、残っているのは未だに書斎から出て来ていない金蔵のみ。
 真里亞は、大好きなベアトリーチェから貰った手紙を快く戦人に渡す。その内容が変わるわけもなく、金蔵の筆跡かどうかを確認したいと
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