暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第二十二話
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 ……いくらゴチャゴチャしてるからって、はぐれないわよ、子供じゃあるまいし……
ブツブツと言う私に、「分かったよ、リズ。行こう」などとのたまうショウキと共に、人がすし詰めになっている商店街へ歩きだした。

「……相変わらず、人でゴチャゴチャしてるところだ……」

 人ごみが苦手なのか、私の横を歩くショウキは少しげんなりとした声をだしていた。

 対する私は、フィールドに出ない自分にとってはモンスタードロップ品自体が珍しく、また、初めて来た場所ということもあって、見るもの見るものが珍しく、色々と辺りをキョロキョロ見回していた。
ひしめき合う食べ物屋の屋台や、冒険帰りにアイテムを分配しているプレイヤーたち、怪しい地図を売っているNPC……

 そんな調子で歩いていると、NPCが経営している店みたいだけど、店の外にインゴットが飾ってある、インゴット屋……と、言うのだろうか……を見つけた。

「ねぇショウキ。あそこにお店があったから、とりあえずあそこに――」

 問いかけの言葉を途中で切ったのは、問いかけた対象であったショウキが、なんと自らの横から消えていたからだ。
……もしかして。万が一の可能性だけど、キョロキョロ回りを見るのに必死で、はぐれた……?

 はぐれないと大声でタンカをきった手前、簡易メール……フレンド登録をしていなくても、名前が分かっていて、同じ層にいるならメールが送れる……を
使って、助けてもらうのも気が引ける。

 急ぎ、慌ててショウキを捜すが、この人ごみの中じゃ、人が多くてあの黒衣が見当たらな……

「おい、リズ」

「わひゃあ!」

 背後から突然名前を呼ばれたことに驚いて、謎の声をだしながら少し飛び上がった。
当然ながら、その声の主はショウキであり、呆れたような顔でこちらを見ていた。

「ど、どこ行ってたのよアンタ!」

 私が、ついつい照れ隠しついでに問い詰めてしまうと、ショウキは困ったような顔で返事をした。

「どこって……ちょっと食い物買ってくるって言わなかったか?」

 確かに、ショウキの手には、クレープのようなものが二つ、手に握られていた。
もしかして、色んなものを見るのに夢中で、話を聞いていなかったのかもしれない。

「……もしかして、はぐれたと思ったか?」

「そ! ……そんなわけ、無いじゃない……」

 ショウキの笑いを含んだ質問に、何とも言葉尻が下がった答えを返していた。
くうう、恥ずかしい……と、俯く私の前に、ショウキからクレープもどきが一つ、差し出された。

「ほら、せっかく買って来たんだから食えよな」

「……食う」

 そういえば、まだ昼ご飯を食べていなかったことを思い出し、私の現金な腹の虫が自己主張を始める。
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