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〜銃声と硝煙の輪舞〜
戦場の少女達
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「……でも、うん。ヤケクソ、か……」

「?」

首を傾ける少年に、なんでもないよと笑いかけながら少女は思考する。

少し前にダクトの中で聞いた、《例の物》なるものが頭に引っかかっている。NPCがわざわざプレイヤーが隠れ(ハイドし)ている近辺で益体のないことを無意味に喋るはずもないため、長年SAOをやってきた身としては十中八九このクエスト《戦場パーティー》の重要なキーワードになっている……はずだ。

だが、その中身は何なのだろう。大抵のクエストには、表面上と言ったらアレだが一応設定的なものはある。侵入(スニーク)系なら、『亡くなった奥方の形見のネックレスを取り返して』うんぬん、みたいな感じだ。

その例をとってみれば、今いるこのセントライアにも何か設定があるのだろうし、このシージャックにも設定的には何か目的があるはずである。

そもそもシージャックなどというものは、金品目的のためならばいささか非効率のような気がする。動く金が多ければ多くなるほど、当然の帰結で襲う船は大きなものになっていく。しかし、大きければ大きくなるだけ、それを制圧するためには高度な連携と素早さが要求される。そうなると、制圧するまでに異常に気が付いた船員によって通報され、あっけなく包囲される事になる。

ヘリのような手早い逃走手段を用意してあるならば話は別だろうが、小型のモーターボートとかだったりしたときは悲惨だ。何せ周囲は、隠れる茂み(ブッシュ)すらない海なのだから。

ということは、金品目的ではない可能性が浮上してくる。

では、彼らが金品以外の目的でこの超がつくほどの大型客船に、いったい何の用で乗り込んできたのだろうか。

―――ん?包囲?この世界に政治機関があるのかな?……でも、あったとすれば――――

「……ねぇユウキねーちゃん」

エレベータ独特の上昇感覚を感じながら、ユウキは「ん?」とおざなりに返事をした。たった今掴みかけた思考の尻尾を慎重に引き寄せ――――

「今思ったんだけどさ。僕達がさっきの人たちと戦った事って、もうトップの人は知ってるんだよね」

そーだねー、と生返事を返しながら、ユウキは思索にふける。政治機関、またはそれに順ずる社会の根幹的な所を運用する集団。そしてこの船のシージャック。

思い出せ。最初、自分達はここに何で呼ばれた?

「今頃通信に答える人がいないから、全滅したって事もたぶん知ってるよね」

「そーだ………ん?」

あれ?と思考中の脳をほっぽり出して、少女は本能に耳を澄ます。

それは警告。

逃げろと言う名の、警戒信号。

「そんな階層から、さ。エレベーターが上がってくるのって、ものすごーく…………えーと、わかりやすくない?」

「……………………」


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