暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
≪イルファング・ザ・コボルドロード≫ その参
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 俺ことスバル、キリト、アスナの三人対イルファング・ザ・コボルドロードの戦いは既に数十秒経過した。

 コボルド王の攻撃を見切って避けることはとてもできない。できることは敵の攻撃を予測し安置へ移動することだけだ。しかしこれも先程までは情報の不足により不可能だった。だがキリトのおかげで情報不足は解消され、予測によって避けることが可能となったのだ。

 キリトがボスに向かい走ったことから予想していたのだが、どうやらキリトはコボルド王が持つ日本刀のような武器のスキルを知っているようだ。これは、まぁ間違いなくベータの時の情報だろう。この情報は、今のところ信頼できる。信頼しなくては闘えないとも言えるのだが。

 キリトとアスナが戦線に入ってからの戦闘は順調だった。キリトが日本刀のソードスキルを弾いて、アスナがコボルド王の喉を突いてクリティカルヒットでダメージを稼ぐ。その後、俺がドット単位程度しかないダメージでちょっかいをかけてイルファングの憎悪(ヘイト)を稼いで状況をリセットする。

 チャンスを伺い、何度か一撃必殺の攻撃を試みるが、成功しない。やはりバランス型の俺のビルドでは攻撃のチャンスはないようだ。スピード型のアスナだからこそ攻撃できるに違いない。悔しいがこんな一撃の威力を重視した反SAO(デスゲーム)的なビルドでは、どうしようもなく、仕方のないことなのかもしれない。ついぞこの作戦では俺の攻撃チャンスはなかった。

 役割分担により安定したかのように思っていた戦闘も、十六度目のアタックでイルファングのHPが七割を下回ったところで急変した。理由は明確で、キリトの負担が大きすぎたのだ。

 上段の攻撃に見えたソードスキルが、ぐるりと半円を描いて動き、真下から持ち上がってきたのだ。明らかなフェイント攻撃、先程まではすべて上段から素直に攻撃していたので単調な上段技ソードスキルだと思っていた。俺の目の前でキリトが肝を潰した悲鳴を上げた。

「しまっ……!!」

 なんてことのない流れ作業のような一瞬に、カタナが突然ぐわりと反則的な軌道でキリトを掬い上げ後方に吹き飛ばした。

 隣にいるアスナが僅かに遅れてつられたように「あっ……!」という短い驚愕の音を出す。思考が一瞬停止したレイピア使いの獲物が、光に包まれながらスゥーっとコボルド王の喉元に向かいゆっくりと進んでいく。そして右腕で高々と掲げられたカタナがくるりと向きを変え刃をこちらに向ける。その光景に直感的な戦慄が全身を襲い、脳が生存の手段として時間の流れを無理矢理に緩めさせる。

――駄目だ! 経験から分かる、これは崩壊のターニングポイントだ、一度崩れた策は虚しいほどに脆くなるんだ、退け! 退け退け退くんだ!!

「アスナ! にっ……――――カタナを狙えェッ!!」

 一
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ