暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その伍
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の定説だがインディゴに限って言えばそうではないだろう。敵の攻撃をすべて受ける徹底した坊御と≪弾き(パリィ)≫から繋がれる攻撃的なソードスキルには死への恐怖など微塵も感じられない強さがある。

「そうだなぁ……確かに考えれば考えるほど君のおかげだ。マジサンキュー」
「かっるぅ」

 そう言うインディゴの顔は笑顔だった。彼女もまた、相性の良さに感動しているのだろうか。

 そんな軽口と狩りがしばらく続き、俺がエフェクト光に包まれてレベルアップした頃、高相性の二人組のすぐ近くで男達の歓声が聞こえた。
 声のした方向に二人で歩いて近づくとそこには巨大な二枚扉が、まさしくボスの扉、という風に輪郭が段々と見えてきた。

「あれは、……きっとボス扉だわ。見つけたのは……ディアベル達のようね」

 薄暗い洞窟内でも感じるほどの重厚な存在感の大きな扉に視線をすべて奪われていたが、視線を下すと確かに六つの人影が扉の前で声を上げている。≪索敵スキル≫を取っていないとこういう時でも困るのか。その中で聞き覚えのある声が聞こえた。≪聞き耳スキル≫のおかげで良く分かる。ディアベルの声だ。

「本当だな。ディアベル達だ。ついに始まるんだな……。ボス戦が」

 しみじみとアインクラッドの歴史的瞬間を眺める。隣のパーティーメンバーもそう思っているのか、彼らから視線を外さない。俺達は狩りの手を止めディアベル達の歓声が止むのを待った。
 待ったのに特に理由はない。ただ感慨に耽っていただけだ。これから始まる新たなステージに高揚していたのかもしれない。

 そんな感慨に耽っている俺を現実に引き戻したのは、重厚な扉の開く音だった。その音に俺は反射を音にして出してしまう。

「んな……。行くのかよ。情報もないのに? 流石に六人じゃ無謀じゃないのか?」

 別に返答を求めていたわけではないが、インディゴは律儀に答えてくれた。

「じゃあ行きましょうよ。六人より八人のほうが安全でしょ? 恐らくは顔見るだけでしょうからそこまで危険じゃないと思うわよ?」

 インディゴに気後れというものは感じられない。むしろ余裕すら感じる。俺は内心正気かよと思ったが、直ぐに誰かがやらなくてはならないことだと思い直す。レベル的にもプレイヤーが死ぬことはないだろう。士気を上げる目的でも行くべきなのだろう。やたら時間を引き延ばすのも、きっと得策ではないだろう。
 だろうだろうだろうと考えていると、インディゴがこちらを向かずに俺の袖を二度引っ張って催促してきた。

――弱気になる必要はない、か。

俺とインディゴは小走りで、特に俺は両手をポケットに突っこむという格好つけた様子で、前方の六人パーティーに近づいて行った。

 大きな二枚扉に近づくにつれ、周囲の空気が気持ち
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