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仮面ライダー真・智代アフター外伝
二話「記憶」
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「……」
暗い空間に、俺は浮かんでいた。自分の体以外は何も無い寂しく怖い、そんな場所に。
『トモヤ…』
「…?」
だが、誰かが俺を呼んでいた。いや、その名が俺の本当の名なのかはわからない。だが、その懐かしげな名前に俺は振り向く。だが、先ほども言ったように、この暗闇の空間には俺以外誰もいなかった。ただ、その声だけが俺を呼び続けている。
「誰だ…?」
『トモヤ…トモヤ…』
「トモヤ…誰なんだ?」
俺は、ひたすら呼び続けるその名を耳に、その空間から目を閉ざした。

                    *

「……!」
次に目を開けると、そこには見知らぬ木の天井と蛍光灯、そしてカーテン越しの窓から刺し照らされた日差しが俺の視界を遮った。
「ここは……?」
俺は布団に寝かされており、上体を起こして周囲の風景を目にする。畳みの和室で、それほど広くない小さなアパートのようだ。しかし、妙に懐かしさがこみ上げてくるのは何故だろう?
「あ、もう目が覚めたのか?」
「……?」
横から呼びかけられた女の声に俺は振り向く、そこにはエプロンをした一人の女性がこちらを見つめていた。
「アンタは……?」
訪ねるも、俺は彼女に見覚えがあった。昨夜、俺は確か暴走して彼女に襲いかかったような……?
「私は坂上智代、昨日の夜の事は覚えているか?」
「……ああ」
俺は布団から起き上がり、立ち上がると、彼女に問う。
「何故、俺を……?」
俺は、アンタを殺そうとしたかもしれないのに、何故助けた?
「人を助けるのに、理由がいるか?」
もっとも、王道的な理由だ。しかし、普通ならその場で逃げるだろうに、何故彼女は逃げなかったのにか、おそらくそれ相応の理由があるだろう。
「ところでシン?」
「シン……?」
智代は、俺をそう呼ぶが、俺は首を傾げた。
「それが、お前の名前ではないのか?ほら、手首のリングにそう書かれているぞ?」
「……?」
すると、右腕の手首に腕輪のリングがつけられ、腕輪には細い文字に「Shin」と刻まれていた。これが、俺の名前だろうか?いや、妙に違和感のある名だ。
「記憶には……ない」
「記憶?」
俺の隣に智代が座り、記憶を思い出せないでいる苦しげな俺の顔を覗いた。
「何も……わからない。俺が、誰なのか思いだせない……」
「……シン、お前は宛てはあるのか?」
智代がそう問うが、正直俺には記憶が無い故に宛てなど無いし、そもそも何処へ行けばいいのかもわからない。
「知らん……思い出せない以上、何処へ行きばいいのかわからない」
「……なら」
智代は立ち上がってエプロンを外した。
「暫く、ここに住んでいくか?」
「……いいのか?」
「ああ、それにここは元々私の部屋でもないしな?」
「……?」
「ま、気にするな
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