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仮面ライダー真・智代アフター外伝
二話「記憶」
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せ、刃の先をシンへ向ける。
そして、両者の戦いが始まった。化け物の振り下ろす刃をシンがかわし、防ぎ、反撃を与えていく。
だが、シンの拳や蹴は金属に覆われた化け物の体に傷をつけることは難しく、さらに相手は刃物を使うことからシンからして苦戦であった。
そして、隙をつかれたことでシンの胸板を化け物の刃が切りつけた。胸板からは紫色の血が流れ出る。
「シン!?」
傷を負わされたシンに智代が叫ぶが、下手に叫んで戦いに集中しずらくしてはいけないと、彼女は黙ってシンの戦いを見守った。
「ハァ……ハァ……ハァ……!」
しかし、出血が激しくシンは息をあらくしだした。化け物はゆっくりと近づきシンの頭上へ刃物を振り下ろした……が、
「……!?」
一瞬の合間、シンは刃物を片手で受け止めて握りしめた、刃物を握りしめる片手からは紫の血が刃を伝って爛れ落ちる。
「……!」
化けののは力任せに刃で押し切ろうとするが、シンの握る手はびくとも動かない。そして、その腕が左右へと力を入れて、火花とともに刃上の腕をへし折ったのだ。
「グゥ……!?」
化け物は後ずさりし、その隙にシンの渾身の一撃が腹部へと決まった。金属のボディーには深い凹みができ。化け物の体中からは火花が生じ始め、敗北を予測した化け物は颯爽とシンのもとから姿をけして走り去った。
「……」
そして、シンは戦いが終わったことを知り、変身を解き、バッタの触覚が額から引っ込み緑色の不気味なごつごつとした肌は次第に人間の柔らか味とぬくもりのある肉体へと変わっていった。
「智代……」
シンは、智代へ歩み寄ると、腰を抜かした彼女へ手を差し伸べる。
「立てるか?」
「……あ、ああ」
我に返った智代はシンの手を借りて起き上がり、彼におぶさって自宅へと帰った。
「シン……?」
「ん?」
帰りの道中、智代は彼に問う。
「お前は……私を、助けたのだな?」
「ああ……」
「その……先ほどはすまなかった。私が河南子を送っていく際、お前の同行を断ったりして……お前が、あの事件にかかわっていたらと思うと、怖くなって……」
「もういいさ……でも、否定はできない。現に俺は、お前を襲おうとしたんだ」
「それは、もう済んだことだ。現にお前は私をこうして助けてくれたじゃないか?」
「……化け物染みた俺を、見ず知らずのお前が助けてくれたことには感謝している。だから、そんなアンタのために尽くしたいと思ったから」
「シン……」
月の光は、二人の影をやさしく照らしていた。



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