暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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しかし、そのように信頼できる知人がいない場合は、財産を全て失う覚悟が要求されるわけだ。

さて、そのコンバート機能によって、二人はこの世界でもALOでのレン、ユウキ程度の強さを得ているわけだが、ここでの問題は《外見もアイテムの一種としてカウントされる》ということだ。

つまり、このGGOでログインする際、アバターの外見は完全なランダムとなることである。レンを引っ張っていくユウキの姿だって、ALOよりも少しだけ背丈が縮み、オニキスみたいに一房一束が輝く髪も無駄に伸びている。

ユウキはドームの入り口からどき、その外周に沿ってしばらく歩いていたが、ある一点でぴたりと立ち止まり、今更ながら自分がしていた手の繋ぎ方を見て、熱いヤカンに素手で触ったかのように手を引っ込めた。

「え、えっと、レン。ひとまず落ち着こ、ね?」

それはこっちのセリフだ。

「だから、何のこと?」

本当はこの時、自分の本能は気づいていたのかもしれない。気付いていて、気付かないフリをした。

レンの問いに、眼前の少女は言葉ではなく動作で答えた。

ゆっくりと、人差し指を己の横に指す。

その先を追うように視線を動かしたレンは――――

絶句した。



オンナノコがいた。



もう一度言おう。オンナノコがいた。

背丈は明らかにALO、いや現実のそれよりも低く、その上細い。艶やかな光を放つのは、肩の辺りまで伸びる綺麗な黒髪。顔は手を同じく透き通るような白。唇は可愛らしいぷっくりとした桜色。

瞳の色は何と碧眼であり、サファイアのような綺麗な光が、やたらと大きな瞳の中で輝いていた。長い睫毛に縁取られたその眼が、無垢で無邪気で無色透明な視線を投げかけてきて、直視していられなくなる。

レンが目線を泳がすと、その少女も視線を動かす。

おや?と試しに右手を上げてみると、その少女もこちらを見ながら右手を上げる。

そこに来てやっと、レンは眼前にそびえるのが初期キャラクター出現ドーム外壁を飾るミラーガラスであると理解した。

つまり――――

「……………………………………………………………………………………………………ユウキねーちゃん」

「なぁに?」

やたら優しい声で答える従姉に向き直って、少女のような少年は告げる。

「なぁにぃこれぇ?」
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