暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
新たなステージへ
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空間にはちらほらと眩い光が発現し、その中からいかついアバターが現れてくる。

ユウキのアバターは手を引き、入り口をどく。やはり邪魔になっていたようで、荒々しい舌打ちとともに男達が通過していく。

そして、レンは繋がれた己の手を初めて視界中に入れ――――



嫌な予感がした。



指と指が絡まる繋ぎ方になぜかなっている手は驚くほど白く、指は少し力を込めただけで折れてしまいそうなほど華奢だ。先ほどから違和感があるのは、どうやら視点がALOや現実のそれよりも低い位置にあるためらしい。つまり、背丈もそれほど高くはない。

このGGO――――ガンゲイル・オンラインにダイブするにあたって、ユウキもレンも初期キャラクターを位置から生成した訳ではもちろんない。そんなことをしていては、プロばかり蔓延るこの世界の中でパラメータがとても足りたものではない。二人とも、《心意》という奥の手があるにはあるが、それは死銃本人と相対するまで、いや相対する時以外は控えていきたいところだ。

VRMMO開発支援パッケージ《ザ・シード》を利用して生成された――――より詳細に言えば《カーディナル》システム上で稼動するゲーム世界には、共通するメタ・ルールが一つだけ存在する。

すなわち、《キャラクター・コンバート機能》である。

ザ・シードを使う限り、この機能は決してオフにすることはできない。

その機能を使えば、あるゲームで育てたキャラクター・データを、その能力を保持したまま他の会社が運営するゲームに移動させる事が可能となる。

携帯端末のSIMカードを差し替えれば、どこのキャリアの端末であろうと自由に使用できるのとよく似ている、と言えるだろうか。

たとえば、Aというゲームで育てた、筋力100、素早さ80というステータスのキャラクターを、ゲームBに移動させたとする。すると、ゲームAでの強さの度合いを《相対的に保持した》変換が行われ、ゲームBにおいて、STR四十、AGI三十といったキャラクターが誕生する事になる。手っ取り早く言えば、ALO内で《中の上》程度の強さを持った《肉弾戦士型》のキャラクターは、GGO内でも《中の上》戦士として転生するという訳だ。

無論これは、キャラクターのコピーを増やすという機能ではない。コンバートした瞬間、元の世界のキャラクターデータは完全消滅し、さらに移動できるのはキャラクター本体だけでアイテム類は一切持ち出せないため、便利ではあるがなかなかに度胸のいる行為なのだ。

今回、ALOで使用している《ケットシー・レン》、並びに《インプ・ユウキ》のキャラクターをGGOに移動させるに当たって、二人は手持ちのアイテムのほとんどを、《央都アルン》に開店したばかりのイヨの《兎轉舎(とてんしゃ)》の倉庫に放り込んできた。
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