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銀河親爺伝説
第九話 第四次ティアマト会戦
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だ。やれるものならやってみろ、その代り失敗しても責任は取らねえ。そんなところだろうな」
「……」

軍上層部、おそらくは軍務尚書エーレンベルク元帥と宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥の考えだろう。エーレンベルクの奴、俺にはミッターマイヤーを前線に送り武勲を上げさせることで罪を償わせると言っていたが狙いは戦場でコルプト子爵に復讐させる事か。卑怯な!

「例えお前が外してもミュッケンベルガーに直訴して戻って来るだろう。復讐なんて考えていません、そう言ってな。ミュッケンベルガーもその辺りの事は分かっていて送り返してくると思う、茶番だよ。フレーゲル男爵が遠征に参加しているのは見届け人かもしれねえな」
「見届け人?」
爺さんが頷いた。

「ああ、ミュッケンベルガーがちゃんと便宜を図った事を確認する見届け人さ。男爵にそれを命じたのはブラウンシュバイク公だろう」
「なるほど、有り得るな」
相手は用意周到に準備してきたという事か……。包囲されている、そう思った。ロイエンタール、ミッターマイヤー、キルヒアイスも表情が厳しい。

「ミッターマイヤーだけじゃねえぞ、お前も危ない」
「俺も?」
爺さんが厳しい表情で頷いた。
「リメス男爵が言っていたぜ、連中の本当の狙いはお前を潰す事だってな。ミュッケンベルガーだけじゃねえぞ、エーレンベルクもお前を潰したがっている。ミッターマイヤーをお前の下に付けて出兵させたのはそのためだ。期待されている、信頼されていると思ったら罠だと思えと言っていたぞ」
「……」

出兵前の会話を思い出した。武勲を上げる事で罪を償わせる、エーレンベルクはそう言った。俺の配下にすると言ったのもエーレンベルクだ。あの時、既に決まっていたという事か……。疑うべきだった、連中は俺に好意的ではない。それなのに何故俺に好都合なように事を運ぶのか、疑うべきだった……。

「俺を戦場に出したのもそれが絡んでいるのかもしれん」
「どういう事だ」
「俺とお前は親しいからな、邪魔だって事さ。決戦が始まる前に反乱軍の手で俺を片付けようって腹だ。さもなきゃ一個艦隊に満たねえ俺の艦隊をあんな悪条件の戦場に出すか? おかしいだろうが」
「確かにそうだな」

爺さんがじっと俺達を見た。
「正念場だぜ、ミューゼル。連中は俺達を潰しに来ている。ここを切り抜けるんだ、勝ってな」
「ああ」
「くたばるんじゃねえぞ」
「分かっているさ、爺さんも死ぬなよ」



十月二十日、帝国軍と同盟軍はティアマト星域に布陣をした。そして俺はミュッケンベルガーより帝国軍左翼部隊の指揮官を命じられた。爺さんは戦力の回復がままならないとして予備だ。前回の戦い、第三次ティアマト会戦では俺は予備に回された。それを考えれば明らかに優遇、期待、信頼の表れだろう。
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