暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第六話
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
人使いが荒いな……否、矮小たる人の身ではないのだから、この表現は不適か――――ともかく、我が兄には現在繋げんよ。『あのお方』の制御に入ってらっしゃる』

 聞こえてきたのは、あの《ノイゾ》と名乗った青髪の少女の声だ。何なのかよくわからない会話が続く。

「……『あの人』を……?そう……仕方ないわ。あなたに伝える。《黒の剣士》が《惟神(コール・レギオン)》の鱗片を見せたわ。覚醒までは遠そうだけど」
『ほう、予定より少し早いな……まぁいい。それすらも我が兄の掌の上でしかないのだから……よかろう。ゲートを開け。兄者の言葉を伝えよう――――「エイン、君のALOでの役割は終わりだ。帰還せよ」』
はい(ヤヴォール)お兄様(マインヘル)

 宙にむかって頭を下げると、エインヘルヤルは右手を振った。


 瞬間、重圧が消え去る。それだけではない。エインヘルヤルが纏っていた悪魔が消滅し、彼女は元の姿に戻ったのだ。さらには、キリト達の傷が癒える。

「『開け、我がレギオンの扉(アクセス マイレギオン)』」

 その式句に反応して、エインヘルヤルの背後の時空が歪む。ブラックホールの如くそこだけ空間が消滅し、扉のように広がる。

 次のエインヘルヤルの声は、ALOの全体に響いたらしい。らしい、というのは、このときキリトはそれを知るすべをもたなかったからだ。

「――――《白亜宮》が《七眷王》の一角、エインヘルヤル・イクス・アギオンス・レギオンルークが、汝ら妖精郷の住民達に告ぐ。お兄様が汝らによる反逆を許可された。自らが住まう世界を取り戻したいというのであれば――――集え。さらなる絶望を与えようぞ」

 エインヘルヤルは、背後の黒いゲートに身を投じた。その姿が掻き消える。どこかへと転移したのだろうか。

「……どうしよう、キリト君。皆HPとMPは回復してるみたいだけど……」

 アスナが問う。なにを、とは聞かない。エインヘルヤルの言葉どおりなら、恐らくあのゲートに入ることで、《白亜宮》とやらに行けるのだろう。アスナの問いは、このまま進むか、進まないか、という問いなのだ。

「……少し、休んでからにしよう。それでも遅くないはずだ」

 ゲートが消えてしまう可能性はあったが、恐らくそれはすぐにおこることではないだろう。

 あの闇の向こうには、ALOを取り戻すための手掛かりがある。それを、必ず掴み取って見せる――――

 ひとまずはそこまで考えて、キリトはその場にどさり、と倒れ込んだ。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ