暁 〜小説投稿サイト〜
ゾンビの世界は意外に余裕だった
4話、生き別れ?
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ます』

 俺はここでテレビからインターネットに意識を切り替えた。

 インターネットで有名なフリージャーナリストの何人かが、マスコミと政府の癒着を伝えていた。マスコミ関係者と家族がマスコミ本社ビルに立てこもり、自衛軍がそれを保護する代わりに政府に都合の良い報道をさせていると糾弾していた。

 また、貴重な戦闘ロボット部隊が、国会や議員官舎などの防衛に過剰に割り当てられていることも伝えている。

「キャリー、レグロン。社会の混乱は拡大しているようだな。アンドロイドを稼働させるぞ」

 テレビやインターネットを見てちょっとばかり命の危険を感じた俺は、ついに同僚達が人生を捧げて作ったアンドロイド達を稼働させる決意を固めた。

 とりあえず俺は昨日ピックアップしておいたアンドロイドを起動しにB棟へ向かう。六階建てのB棟は本館と呼ばれているA棟とニ階の渡り廊下で繋がっている。

 B棟2Fに着くと、まずは同僚女性研究員中島の研究室に向かった。見せて貰ったことはないが、そこには料理人アンドロイド・ケイラがいる。

 背後で俺を守る戦闘アンドロイドのレグロンは、呆れているかもしれないがこればかりは譲れない。無論俺だって戦闘アンドロイドを増やす重要性はよく理解している。

 中島研究室がB棟ニ階という高立地にある点、現在の研究所はそこそこ安全である点を考慮して、たまたま料理人アンドロイドを起動させる時間があるという高等判断を下しただけだ。

 きつい美人の教育ママを彷彿する同僚女性の研究室に入ると、真っ先に目に飛び込んできたのが、黒髪黒目の美しい大和ナデシコをイメージした料理人アンドロイドのケイラだ。

 そういえばまだ料理人アンドロイドを初期設計している時、俺は技術アドバイザーとして少しかかわったことがある。モデルを食堂のふくよかなおばちゃんにしないかと提案したら、何故か開発者の中島研究員に嫌われてしまい、最後は山田所長の判断で面倒くさいだけのアドバイザーを免除された。

 それっきり中島研究員とは軽く挨拶するだけの関係になり、今日完成したケイラを初めて見たのだが、なんとなく子供が生まれる前に別れたパパの心境だ。

 今なら、ママ……とはどうしても思えないが中島研究員の気持ちはよく理解できる。かわいい俺の娘の外見はふくよかなおばちゃんより美しい和服美女の方がしっくりする。……いや、まあ、パパ云々はつまらない妄想だ。

 とにかく俺は料理人アンドロイドのケイラを起動させる準備に入った。もちろんこういうご時世だ。シェフしか出来ないアンドロイドではもったいない。俺はケイラの設定を少しいじくり、いざとなったら多少は戦える集団的自衛料理人アンドロイドにする。

「ボス、ご命令を」

 一瞬、パパと呼べと命令を出しそうになり、ぐっとこらえる。

「キャリーから食堂のデータを受け取れ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ