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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
黒峰邸
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の自室ほどもある玄関が一同を迎える。ヒノキだかスギだかは判らないが、とにかく良い木の香りが鼻腔をくすぐってきた。

照明はついているのだが、なにぶん広さが広さである。薄暗闇が支配するその空間に、ひっそりと立つ干からびたような老人が一人いた。

「……………シゲさん」

「儂の屋敷へようこそ、レン君にユウキちゃん。急に呼びたててすまんのぅ」

穏やかに笑いながら、《老僧の千住》シゲクニは穏やかに笑い、二人の背後に立っていた八伎にアゴをしゃくった。二人の男は視線を交わし合わせると、八伎が全く衝撃を感じさせる事なく蓮を持ち上げた。

「ちょっ――――!」

木綿季が抗議の声を上げる間もなく、木瀬が玄関の下駄箱の隣に据えられている結構な大きさの木箱から、折り畳まれた車椅子を取り出した。屋敷の中に入るのならこれにしろ、ということらしい。

自分がやる、と言い出したかったが、当の蓮本人に手で制されてしまっては何も言う事ができない。

広げられた車椅子に、ふわりと蓮を着地させる八伎。痩せているとはいえ、人間一人を二の腕二つだけで支えているにも拘らず、その手並みには震えの一つも伺う事ができなかった。

せめて操縦くらいは、と。

半ば八伎を押しのけるようにしてハンドグリップを握り締める。横目で黒髪男を睨むと、何かやけに優しい眼で見られてしまった。

むぅ、と頬を膨らませていると、そんな事にはまるで気が付いていない声が少年から上がる。

「それで、僕達に何の用なの?わざわざ非公開になってるはずの住所まで特定したって事は、ただの世間話って事でもないでしょ」

その発言で、紺野木綿季の脳もまたスッと冷える。

あのデスゲーム――――ソードアート・オンラインにログインし、そして生還した者達の個人情報は全て、総務省に新たに設置された《仮想課》で管理されていると聞く。無論、それらの諸情報は厳重なセキュリティの下に管理され、外部に漏洩する事などまずありえない。

それを調べ、あまつさえ厳つい男達に迎えに来させる。

イレギュラーな手法を用いないと、なかなかできない芸当である。

あの世界の中で、眼前の老人との交流は決して険悪なものではなかった。相談に乗ってくれたこともあるし、何よりボス戦では命を助けられた事もある。その事に対する信頼はあるし、そこにマイナスな因子など存在するはずもない。

だが――――

この老人は頭が良すぎるのだ。

切れ者過ぎて、たまに恐怖が頭をよぎるほどに。

良い人、それだけは確かである。しかし、心の底までさらけ出せるかと問われれば容易に首を縦に振れない。否、振る事ができない。

「まぁまぁ、玄関で立ち話というのもなんじゃ。奥へ行こうかの」

穏やかな、しかし張り付いたよう
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