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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜

作者:ざびー
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プロローグ

次々と自分の目の前で人が倒れていく。

「……ろ。」

そして、また一人…

「……めてくれ。」

また、一人…

「やめろ!」

勇気を振り絞り、声をあげる。

「あぁ…やめろ…」

そして、狂気が自分へとむけられ、近づいてくる。

「来るな……」

ゆっくりと、狂気が近づいてくる。

「……来るな」

自分の親が自分の前に立ちふさがる。

「……ろ……やめろ…」

父が為す術もなく狂気に殺される。母が自分に覆いかぶさるように護る。

「……げて………にげて…」

そして、母も殺され、その返り血が自分の頬を汚す。

「あぁ……やめろ……やめてくれ…」

自分のせいで両親が死んだ。その事実が幼い少年を苦しめる。

もし、もっと強ければ…もし、もっと護る力があれば…もし……
少年の心が負の感情に塗りつぶされていく。

そして、また一人少年を護ろうして、少年の前に立ちふさがる。

「あぁ…」

立ちふさがった少年の姉に凶器が振り下ろされる。

失うのか……

愛していた家族を…

最も慕っていた姉を…


その事実が少年を絶望させ、心を完全に闇に染める


自分が無力だから…自分に力があれば………














『ほう、心が闇に染まりながらも、堕ちないか。』

「誰だ!?」

突如、どこからともなく声が聴こえたと思ったら、周りの空間が止まっていた。

『闇をも受け入れる魂の器……お主が我々の王となるべき者か…』

器?王? なんのことだ。

『フフ、自己紹介がまだだったな。我々はかの三幻神と対なす存在、邪神と呼ばれている。』

神?邪神? そんなことを言われてもわかるわけがない。

そんなことを思っていると、世界が闇に染まり、そして闇が集まり、球体を創り出す。


黒い太陽


言葉で言い表せすとまさしくそんな感じだった。

黒々と輝くその球体はその圧倒的存在感から恐れを覚えた。

しかし、怖いと思っていてもその球体からは次々と人を殺していった奴が放っていた狂気は感じなかった。

むしろ、その存在に魅了された。

何処か美しいとも思った。


『ほう、我の姿を見ても発狂しないとは……フフ、お主が我々の王…ということか…』

球体から発せられた声に我を取り戻す。

今、こんなことをしている場合じゃない!!

「おい!おまえ!邪神とか言ったよな!」

『なんだ?』

せめて、姉だけでも護るために…

「俺の命でもなんでもくれてやる!だから、今だけでいい!俺に力を貸してくれ!」

邪神でも、悪魔にでもこの命くれてやる!

『ククク、それでこそ我らが王の器。いいだろう!我々を受けれることができたのなら、我々はお主を王を認め、力を貸してやろう。』

黒い太陽がそう発すると周りの闇がまた集まりだし、黒い竜と魔人を創りだす。

『『『さぁ、我々を受け止めてみるがいい。創造主にすら忌み嫌わられた存在を!』』』

「姉さんだけは俺が護るだぁぁぁぁぁぁあ!」

三体は再び闇に戻ると自分の身体に入ってくる。

「ぐうぅぅぅぅぅぅ…」

闇が自分の中にはいってくると同時にいくつもの負の感情が流れ混んでくる。

寂しい

怖い

認めてほしい

愛されたい

受け止めて

「あぁ……」

負の感情が心の中で渦巻き、精神を蝕んでくる。



なぜか、ポロポロと涙が頬を伝う。



「悲しかったんだな……誰にも愛されず、孤独だったのか…お前らを必要とする奴らはみんな、利用することしか考えていなかったんだな。本当の意味でお前らを必要とするやつはいなかったんだな。」

なぜか、理解できてしまったのだ…彼らが負った感情を…

「なら…俺がお前らを必要としてやる……だから、俺に力を貸してくれ!大切な人を護るために!これ以上、失わないために!!」

精神を蝕んでいた闇が止まり、身体に馴染んでくる。

『全てを受け入れる器…例えそれが闇であろうとも。流石は我らが王…そして、王が我々を必要とするならば、その期待に応えよう!!我々の力を存分に使うがいい!』

そして、再び世界が動きだし、男が姉に刃物を振り下ろそうする

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

自分から闇が吹き出し、姉の命を奪おうとする男を吹き飛ばす。

そして、糸が切れたかのように身体から力が抜けていき、意識がとぶ。













ガバリと布団を跳ね飛ばし、身体を起き上がらせる。

「っ!……夢か…はぁ、よりにもよって、あの時の事を夢で見るとか、最悪でしょ…」

『フフ、また懐かしいものを見たものだな、王よ。』

頭の中で夢で聴いた声が反響する。

「はぁ、ホントだよ。今日はおれにとって大事な日なのによ。」

『あぁ、そうであった。今日はプロ認定試験だったか?フフ、それでも我らが王ならどんな相手でも負けわしない。』

「ハハ、邪神様が言うと説得力が違うな。なぁ、アバター?』

一人、誰もいない部屋で内なる者に言葉を交わす。

「さぁ、さっさと準備して行きますか!」 
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