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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第三十三話






―――洛陽―――

「それじゃあ、反董卓・袁術連合軍に対する会議を行うわ」

 司会役は賈駆がやっていて、補佐には七乃がしている。

「我が軍の兵力は董卓軍で十二万人。袁術軍で十万八千人で二十二万八千人よ。対する連合軍は間者からの報告では三十万よ」

「主な将は袁紹、蜀から厳顔、、呉懿、張任、呉蘭、涼州からは馬謄、他に曹操、孫策、劉備、公孫賛などですが袁紹軍、蜀軍が一番兵力が大きいようです」

 賈駆の言葉を引き継いで七乃が言う。

「それで将の配置なんだけど……王双に任せるわ」

「………は? 何で俺が……」

 何でいきなりの指名?

「張勲があんたを押したからよ。ボクは納得いかないけどね」

「はい、大丈夫ですよ。長門さんなら勝てますよ」

「いや……それは嬉しいけどさ」

「勿論、全体的の軍師はボクだけど、前線指揮はあんたよ」

 俺が言う前に、賈駆がそう言う。

「……分かった。派手に暴れさせてもらうわ。ところで賈駆、この騒動の裏を操ってる奴は分かるか?」

「……目下、全力で調べているわ。けど今のところ、一人浮かんでいるわ」

「誰だそれは?」

 クロエが賈駆に聞く。

「……十常侍の張譲よ」

『ッ!?』

 賈駆の言葉に俺達は驚いた。

「張譲は袁紹達に殺されたんとちゃうんか?」

「影武者よ。張譲はそれで逃れたんだけど、袁紹と手を結んだくらいしか分かってないの。そして、洛陽の何処かにいるはずなんだけど尻尾を出さないのよ」

 ……成る程、影武者か。

「なら、俺達はシ水関で粘っているからその間に……」

「分かったわ。張譲を探して捕らえるわ」

 一応の方針が出来たな。

「粘るだとッ!! 蹴散らせばいいではないかッ!!」

 桜花が吠えた。

「阿呆か桜花。蹴散らしても、俺達が無実だと知らないからまた集まってくるに決まっている」

「グッ………」

 俺の言葉に桜花は悔しそうに拳を握りしめた。

 その後、関への配備は決まった。

 シ水関には俺、桜花、霞、クロエ、星、雪風、真桜、焔耶が守り、兵力は十万。

 雪風は弓が得意らしいので弓部隊を指揮する事になっている。

 更に、俺が指揮する特殊隊と真桜の工作隊もいる。

 カノンノとロッタは衛生隊を組織して、負傷者の治療や移送をする。

 残りの沙和、凪、呂布、陳宮、零は虎狼関を防衛して兵力は十二万。

 洛陽には残りの八千が防衛する事になった。

「じゃあ……頼んだわよ」

『オゥッ!!』

 俺達は頷いた。




―――シ水関―――

「なぁ、長門。いつまで掘るんや?」

「まだまだや。もうちょい掘るで」

 霞の言葉に俺はシャベルで地面を掘る。

 シャベルは木で出来ているけど、先には鉄を付けている。

「けど穴なんか掘ってどないするんや?」

「落とし穴に決まってるやろ」

 霞の言葉に俺はそう答えた。

 シ水関から約百メートル前に特殊隊用の砦と柵が作られている。

 今、落とし穴が作られているのはその砦からまた五十メートル前の地点だ。

「掘るのはええけど、どんくらい掘るんや?」

「ん~、もうちょいやな。皆ももう少し頑張ってくれ」

『ハッ!!』

 落とし穴は深さは約十二メートル程で長さは約十メートル程。

 幅は両端にある険しい崖まで。

 三千人態勢で作っている。

 また、落とし穴だけでは敵は不憫だと思うので落とし穴には先を尖らせた木の棒を設置している。

「やる事がえげつないな……」

「勝てばええんや霞」

 まぁ恋姫の世界だと邪道だろうな。

 まぁ俺の世界では普通だろうな。

 日露戦争でのロシア軍が作った落とし穴とかが有名だろう。

「後は泥水を付けた布を被せて、少量の土をかけたら終わりだな」

 もう皆は土を掘るのを止めて木の棒を設置している。

 俺も手伝うか。





 一方、反董卓・袁術連合軍では軍儀をしていた。

「ですから統率者は強く、美しく、門地の高い、三国一の名家出身が宜しいですわッ!!」

 袁紹は自分が指揮をしたくて、ずっとこう言い続けていた。

『………はぁ……』

 集まった諸侯達は溜め息を吐いた。

「……そこのブ男、何かあの馬鹿に言ってやりなさい」

 曹操は嫌そうに北郷に言った。

「え……な、ならさ、統率者は檄文を書いた袁紹がやったらいいんじゃないかな?」

「……そうね……」

 孫策は我関せずといった雰囲気である。

「あら? なら満場一致でこの袁本初がこの連合軍の指揮を取りますわ♪」

 かなり嬉しそうな袁紹である。

「それで、方針は?」

 曹操が言う。

「あら、やる事は一つですわ。雄々しく、勇ましく、華麗に進軍、ですわッ!!! オーホッホッホッ!!」

『……………(不安だ)』

 諸侯達はそう感じた。






 
 

 
後書き
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