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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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はじまりの街と久しい友

 
前書き
いやー、暑いですねー。こんな暑い中仕事してきましたよ畜生!!
ライト「………では本編をどうぞ」 

 
昼頃、俺はミザールのジャーマンスープレックスによって目覚めた。全く、首がいかれるだろ。
どうやら、はじまりの街に行くらしく、ユイの服を着せ替えていた。ま、俺は結末を見届けねばなるまいと思い、付き合うことにする。
「わあー」
ユイは顔を輝かせ、両手を広げて自分の体を見下した。うん、アスナのセンスは悪くない。
「さ、じゃあお出かけしようね」
「うん。パパ、抱っこ」
キリトがユイを抱っこする。するとユイが、
「後でにいも抱っこ」
……不味い、死ぬかも知れん。
「アスナ、ライト、ミザール、一応、すぐに武装出来る様に……」
「あ、別に良い。俺が居れば平気だ」
「え?何で?」
悪いが、プレイヤーやモンスターに対抗するプログラムはあるからな。チートだが、茅場先生関連の事はどうしてもこの目で、この手で攻略しなければならない。それが、GMアカウントと対となる、GPアカウントを持つ俺の役目だ。……二人には、言えないなこんなことを。
「別に不思議がる事は無い」
俺はそう言って歩き出した。

























第1層はじまりの街に来るのは久々だった。
始めはデスゲーム宣言の時。二回目は、狩人スキルを取得する為に、ここに隠されたもう一つの迷宮を攻略する時、そして、三回目がユイの事とはな。
「ユイ、見覚えのある物あるか?」
暫く難しい顔をしていたが、やがて首を振った。
「解んない………」
「まぁ、はじまりの街は恐ろしく広いからな」
それを設計した人がここに居るんだがな。
「さて、取り合えずは中央市場にでも行くか?」
「そうだね」
と、俺達は南に向かって歩き始めた。
「ねぇ三人共」
暫く歩いていると、アスナが話しかけてきた。
「どうした、アスナ」
「ここって今プレイヤー何人位居るんだっけ?」
「二千人弱だ。だが、その割には人が少ないな」
さっきから人影を探すが何処にも無い。
「恐らくは、マーケットだな。行こう」
俺はそう言って歩き出した。

























広場から大通りに入って市場エリアに来たが、木の下に座り込んだ男とNPC商人しか居なかった。
するとアスナがその男に話しかけた。
「あの、すみません」
「何だよ」
「あの……この近くで訊ね人の窓口になっているような場所、有りませんか?」
「何だ、あんたよそ者か」
「え、ええ。あの……この子の保護者を探してるんですけど……」
と、キリトの腕で微睡んでいるユイを指す。
「……迷子かよ、珍しいな。……東七区の川べりの教会に、ガキのプレイヤーがいっぱい集まって住んでるから、言ってみな」
「あ、ありがとう」
と、言うことで俺達は教会を目指すことにした。……と、言うことは必然的にアイツにも会うのか。面倒だ。






















東七区の教会が見えてきた所でアスナが止まった。
「ち、ちょっと待って」
「どうした」
「あ、ううん……。その、もし、あそこでユイちゃんの保護者が見付かったら、ユイちゃんを……置いてくるんだよね……」
「………」
躊躇うのも無理ない、が、ユイはプログラムだ。保護者は居ない。むしろ、俺はユイの記憶を戻す方法を提示するしか無いが。
「別れたくないのは俺らも一緒さ」
と、キリトがこちらを向く。キリト達は既に実の子の様に思っている。それを壊すのは………俺には出来ない。
「ユイに会えない訳じゃ無い。記憶を取り戻したら、きっとまた会いに来るさ」
「ん……。そうだね」
俺はアスナにそう言い、アスナを、キリトを、ミザールを、騙してる自分に苛立ちを覚えた。
























アスナが教会の扉を開けて、中に声をかけたが、人一人も出てこない。
「誰も居ないのかな?」
「いや、隠れてる」
「右の部屋に三人。左に四人。上に何人か居るな」
「……索敵スキルって、壁の向こうの人数まで解るの?」
「ああ……。サーシャさん、居るか」
すると、右手のドアが開き、黒緑の眼鏡を掛けた女性が姿を現した。
「……ライトさん……ですか?」
「ええ。少し、相談したいことが……」
と、言いかけると、
「ライト兄!?ライト兄なのか!?」
ぞろぞろと数人の少年少女がライト達を囲む。
「お前ら、客の前だ。先に上行ってろ。……サーシャさん、この二人の相談役、お願いしても良いですか?」
「あ、はい、解りました。そう言えば、ライガさん居ますよ、上に」
サーシャはそう言うと、キリト達を奥へ案内し、俺は階段を登り、上に行く。すると、一人の少年が、窓の縁に座っていた。
「やぁ、滅殺者。ここに来るのは半年振りだね」
「よう、<雷鳴>。相変わらずだ」
<雷鳴>………これは奴の通り名。一撃の破壊力が普通の攻略組と比べ高いことから、この名が付いた。強いて言えば、この通り名が後の雷鳴騎士団の元になるとは誰も知らないだろう。
「さて、ライトが来たし、皆久々の訓練と行こう。各々の武器を手に外に行ってね」
ライガが本を閉じ、子供達にそう言うと、皆はすぐに行動を起こした。
「……久々に見たよ。お前の指揮力」
「そうかね?………で、何しに来た。ただの寄り道………では無いようだが」
ライガの目に怒りが混じる。それもそうだ、俺はライガ達の作ったギルドを崩壊させたんだ。
「少し、用が合ってな」
「へぇ……。よく言うよ。茅場の手の物が」
「………っ」
俺の息が詰まる。何故、ライガが知って………!?
「ふっ………。簡単な事さ。アルゴを使ったのさ。アルゴは僕の約束は守ってくれるからね」
と、紙を見せる。それは、俺の報告書だった。
「ライト、本名、天城来人。かの茅場晶彦の弟子の一人。天才的なプログラミング能力とそこから派生されたハッキング能力から、別名、電脳の隠者とも呼ばれていた。……間違い無いね?」
「……それが、どうした」
「何故、君はここにいる。君はどうせ、僕らみたいに死の枷は無いんだろ?なら、消えてくれ。茅場を止めろよ!!」
ライガの怒号が響く。
「出来ない。俺のナーヴギアは市販の物だ。そもそも、このデスゲームすら、俺の予想を裏切っている。俺に出来るのは、精々奴の動きの把握と、プログラム関連の情報共有だけだ。GMアカウントを持つあいつを止めるには、奴を倒すしかない」
「それが出来たら苦労はしない!!彼は外で、僕らはバーチャル(なか)に居る!!どう殺せと言うんだ!!」
「いや、奴はこの世界に居る。血盟騎士団団長ヒースクリフとして」
それを言うと、ライガが驚く。
「何故………あのヒースクリフが………茅場だと!?」
「奴はGMだ。それに、奴はゲーム内容と設定に詳しすぎる。出なければ、既に俺達は死んでいる」
俺は事実だけを言う。
「ライガ、ヒースクリフに殺されたくなければ口外するな。奴を………茅場を逃がしたくなくば、な」
「………解った。その代わり約束しろ。奴を、止めてくれ」
それだけ言うと、ライガは階段を降りる。
『………バラして良かったのかな、マスター』
すると、ライトの背後に人影が現れる。それは、本来ならばこの世界に存在する筈だった、<メンタルヘルス・カウンセリングプログラム>、その試作二号、ストレアだった。
「ストレア……か、何の用だ」
「何の用は酷いな。折角システムから抜け出せたのに」
と、怒った表情を見せる。
「……で、本当に何の用だ」
「試作一号、ユイの事だよ。あのまま、放って置くの?」
「……置くわけ無いだろ。あの人のせいであいつは記憶を無くしてる。だから、せめて俺は救いたいと思う」
「だけどさ、すぐに捜査されて消されちゃうよ?どうするの?」
「させやしない。プログラマーの名に掛けて。俺は、あいつを救う」
「………」
俺が後ろを見ると、既にストレアは居なかった。恐らく、データの海か、もしくは街探索だろう。
俺は階段を降り、外へ出る。すると、ライガが俺を掴む。
「どうした、俺を殴りたいのか」
「違う!!ギン達が軍の奴等に捕まった!!」
「何………?」
俺がライガの後ろを見ると、今駆けてきたかのように息を荒くしている子供達が居た。
「場所は何処だ、ライガ。それと手ぇ離せ」
「東五区の道具屋の空き地だ。それと、さっきの事は済まなかった」
それを聞くと、俺はすぐに装備をナルガXに変える。
「………後は任せろ」
そう言って、街中を走り始めた。 
 

 
後書き
えー、早速正体看破です。実は茅場さんの弟子の一人でした。
ライト「実は俺、飛び級してるんだ。今、大学生」
前回の伏線はそこなんです!!伏線解消……かな。ちょっと物語的に不味い事ではあるけど。
ライト「ああ、心配するな。今までGPシステムに頼った事はない。純粋に剣の腕だけで上がってるからな」
心配するよ………これで、読者消えたらどすんの………。
では次回、軍。スキルが連続で飛び出すよ!! 
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