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後世の評価

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第二章

「首都ですら不潔極まりなく悪臭で満ちている」
「川は汚物で満ちていてその傍で洗濯をしている」
「道も汚物だらけで踏む場所もない」
「そこも何とかしなくてはならない」
「疫病も多いからな」
 それで衛生観念についても言われるのだった。
「医療もだな」
「近代医療の導入だ」
「どうもまだ祈祷師の治療を行っている様だが」
「そうしたこともな」
「何とかしよう」
「他にも悪習が多い」
「そうしたものは全て廃止だ」
 とにかくだ、この国はその併合した国をそれこそ根本から改革しようとしていた。徹底した近代化を計画していた。
 そしてだ、その先頭に立ったのがだ。
 内政を担当する内務省と国防を担う軍部、特に陸軍だった。とりわけ陸軍の将校達は併合したその国の現状を見聞きしてまずは怒った。
「何ということだ」
「一部の貴族達だけが肥え太っているではないか」
「民は圧政に苦しみ惨たらしい拷問も受けている」
「こんなことが許されるか」
「我々が併合したのだ、根本から変えるぞ」
「維新だ」
 この言葉も出て来た。
「ここでも維新だ」
「何もかも近代化する」
「我等の国の一部になったのだからな」
「何もない有様だとしても」
 このことは見てわかった、何しろだ。
 彼等が見ているのは灌漑も開梱も為されていない荒れ放題の田畑に禿山だらけの山地、悪臭がし粗末な家しかない町だった。汚物に満ち荒野より酷かった。
 勿論産業もない、これではだった。
「何とかしないとな」
「決して諦めるにだ」
「我等が生まれ変わらせる」
「民の意識も変革だ」
「誇りを持たせる」
「その様にするぞ」
 こう誓い合ってだ、そしてだった。
 彼等は率先して圧政と荒廃の中に呻吟する民衆の中に入った、それは若手将校達だけでなく実際の統治を管轄する将官もだった。
 将軍はだ、その禿山を見て言った。
「まずは木だ」
「木ですか」
「そいこからですか」
「山に木がなくてどうする」
 こう文武の官吏達に言うのだった。
「土砂崩れや雪崩の原因にもなる、それに木があれば林業も育つし洪水も防いでくれる」
「では川辺にもですか」
「植林をしますか」
「山も川辺も。国の至る場所をだ」
 木で満たすというのだ、そして実際にだった。
 まずは大々的な植林だった、あらゆる場所に様々な木が植えられていった。その木の数は途方もないものだった。
 このことでも莫大な予算がかかった、だが。
 この国の者達、特に陸軍の者達はだった。目を輝かせて言うのだった。
「必要な予算だ」
「植林なくして国家なしだ」
「これははじまりに過ぎない」
「まだまだこれからだ」
 その莫大な予算もものとしなかった、そして。
 彼等は灌漑にも取り掛かり莫大な開墾もした、川に橋をかけ近代的な土地法も導入して貴族の私有地からだ。
 小作人達にも土地を持たせた、肥料も牛も農機具も惜しみなく導入した。水車も村のあちこちに出来てだった。
 水車の調子のいい音が村々に満ち牛の声が聞こえてきた。田畑で民達が働き米も作物も出来てきた、その作物もだった。
 その国はだ、農作物もあらゆるものを導入したのだった。 
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