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東方変形葉

作者:月の部屋
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日常の中の無限変幻
  東方変形葉33話「異変、解決、違和感」

 
前書き
永琳「はいこれ、頼まれていた弓。」
裕海「ほんとに1日で作っちゃったよこの人。何はともあれありがとう。はい、これ相応の代金。」
永琳「お金なんて別にいいのだけどね。」
裕海「感謝のしるしだよ。遠慮なくもらって。」
永琳「そこまで言われたら断れないからいただくわ。そういえば、あなたの弟子は今どこにいるの?」
裕海「今、人形たちと一緒に俺の家で寝てるよ。昨日宴会だったから疲れたからぐっすり寝てる。」
永琳「そうなの。あなたは疲れてないの?今、まだ明け方よ?」
裕海「俺はまあ、疲れてないというか、疲れたけど能力で癒したから問題ない。それよりも、調べたいことがあってね。で、調べ終わったから寄り道としてここに来たんだよ。」
永琳「ふうん?何を調べていたの?」
裕海「実はね、家の周りに・・・周りだけに浅い霧が出ているんだよ。家から十数歩歩けばなぜか霧はなかったんだよ。」
永琳「それは不思議ね。」
裕海「魔理沙のところは雨が続いているらしいし、霊夢のところは日照りが続いている。間違いない、これは異変だと思ってね。で、調べた結果、もう犯人がどこにいるかはわかったんだよ。」
永琳「で、黒幕を懲らしめに行くのね?」
裕海「いや、行かない。」
永琳「え?」
裕海「“運命の可視変化”で運命を見てみたら、今日あたりに神社が超局地的地震で倒壊するから、霊夢が動くだろうからね。犯人は恐らく天界にいる天人だろうから、そいつを懲らしめてくれるだろう。」
永琳「あら、神社の倒壊を防ごうとはしないのね。」
裕海「いや、この前神社に行った時に、腐食が進んでいるところがあったからさ、どうせならいっそ清々しく壊れて、建て直しをしてもらった方がいいと思ってさ。ああ、ちゃんと霊夢が下敷きにならないように小細工はしておいたから。」
永琳「なるほどねえ。」
 

 
「・・・ちょっと、何よこれえ!」
なんとなく起きて外の空気を吸っていたら、いきなり地震が来て私の神社が倒壊した。
「・・・みんなは大丈夫なのかしら、少し様子を見に行こう。」
そして、私はあっちこっちの家を訪ねまわった。しかし、地震なんてなかったと誰もが言う。
私は確信した。これは異変だと。
真犯人は恐らく地上の者ではないと勘で思った私は天界に行くことにした。



「ふう、仕事終わりっと。」
俺が倒れた時に少したまった仕事がようやく終わった。普通の人形を箱に詰め、スキマでその店に届ける。
さてと、そろそろみんなをおこすか。
「お~い、朝だぞー!起きろー!」
そういって姫雪の体を揺らす。
「ふにゃあああ・・・えい」
「わっ!?」
なんか飛び上がって抱きついてきて、布団の中に強制連行された。見た目は幼く見えるが、仮にも妖怪。腕力はかなりあるようだ。
「ほらほら~、朝だぞ~。」
頬を少しつまんで横に引っ張る。でも起きない。
う~ん、猫の弱点ってなんだっけ。え~っと、あ、猫耳に熱い息を吹けばいいのかな?少し熱い息を耳に当ててみる。
「にゃうっ!?」
効果あり。
「ふにゃあ・・・おはよう。」
「ああ、おはよう。ところで、そろそろ腕を外してくれないか?」
「ん~・・・やだ。」
抱きつく力が強くなった。まだ寝ぼけてるな。仕方ない、こんなこともあろうかと持ってきたもの。それは!
「ん~・・・にゃうにゃっ!?」
みかんの皮。それを鼻に少しかける。猫って柑橘系のにおいとか嫌いなんだよな。
案の定、飛び上がって起きた。
「び、びっくりした~・・・あ、おはよう!」
すごい輝かしい笑顔で言った。鼻に柑橘のにおいをつけた犯人が俺だってわかってないのかな。
「ああ、2回目のおはよう。さて、人形たちも起こさないと。」
その後、人形たちを起こし、朝食を食べた。



「はいこれ、永琳が作ってくれた弓。」
見たところ、姫雪のように体格が小さな子から、ある程度の大人まで使えるちょうどいいサイズだ。
「わあ~!すごい!やった~!」
ぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。あ、使う前にあれをしておかないと。
「ちょっと待ってね、今あることをするから。」
「?」
用意したのはある紙。
「“永遠の変化”をこの紙に・・・ふっ!」
そうすると、紙が不自然に揺れた。
「あとは、この弓に張り付けるだけ。これで良し。」
「何をしたの?」
「この弓を何があっても絶対に壊れないようにしたんだよ。」
まあ、紙に力を分けて張り付ける方法は紫に教えてもらったばっかりで、今初めてやったんだけど。
「わあーっ!ありがとう!」
「はい、君の弓だよ。壊れないからと言って、乱暴に扱わないように。今日はそれを使った特訓をしよう。」
「おー!」



数時間が経った。弓を使い、矢を確実に当てるための練習をしていた。今ようやく的に当たってきたところだ。
「今日の修行はこれぐらいかな。さて、天人と霊夢の様子でも見るか。」
「?」
すっとスキマをあける。今まさに、天人と霊夢が戦闘前の会話をしているところだった。
「わーっ!霊夢さんだー!」
さて、見物かな。霊夢が一方的に攻撃をしにかかっていっていた。・・・しかし、どうもおかしい。あの天人はそれなりの力を持っているように見受けられるのに、あまりに一方的にやられっぱなしだ。不自然だ。

十数分後、霊夢が勝った。
「霊夢さんすごーい!」
姫雪たちは、違和感に気が付くことなく観戦していた。
そして、こんな会話が聞こえた。
「私が壊した神社は、私の手で直すわ。それでいい?」
「元からそのつもりよ。」
う~ん、不自然のない流れだが、何か違和感を感じる。あ、霊夢が天人を連れて神社、いや元神社に戻って行った。
「まあ、黒幕を倒して一件落着・・・かな?」
しかし腑に落ちない。きっとまだ何かがある。
「ま、それよりもしばらく寝るかな。俺も眠くなってきた。」
「えっ、寝るの?じゃあ私も寝る!」
「わたしも~!」
「ねる~!」
俺と姫雪と人形たちが寝転がって、すぐに意識を手放した。



しばらく寝て、目が覚めた。みんなは寝ている。さて、再建途中の神社でも見てみるか。
スキマを開き、見てみる。
しかし、そこには角材などの建築用具しかなかった。
神社のがれきは片づけられていたので、今日はがれき処理と建築準備で終わりなのかと思った。
しかし、一か所明らかな違和感があった。
それは、神社跡地のど真ん中。何かが埋められたような跡がある。
あれはいったいなんだろう。だからと言って掘り返すわけにもいかない。
う~ん、なんだろうか。あれは。
この時から、少しずつ推測が積み重なっていくのであった。


この時はまだ分かっていなかった、天人が起こした異変の“本当の”目的を知るのはもう少し先の話だった。
 
 

 
後書き
33話です。
この異変は、霊夢が天子を倒した後がメインみたいなものなので、ここはさらっと書かせていただきました。 
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