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戦姫絶唱シンフォギア/K

作者:tubaki7
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EPISODE20 装甲


完全聖遺物とは厄介なもので一度発動すればその力を破壊か機能が停止するまでその猛威を振るい続ける物もある。なかでも今回の代物であるデュランダルはとんでもない物だったようだど弦十郎は見る。現場より送られてくる映像はまさに圧巻の一言だった。

発動したデュランダルに取り込まれ破壊の限りを尽くす響。その姿は黒く染まり瞳は悪魔のごとく真っ赤に光りつい数時間前までの優しい少女の姿は欠片もなくただ獣のように暴れまわっている姿がある。

その姿に、雄樹はただ唖然とする。あの優しかった響が、笑顔の絶えなかった女の子が今破壊の限りを尽くしている。


『やめろ……』


――――ユウ兄!


『やめろォォォォォォォォォォォォ!!』


弾かれたように飛び出して響を後ろから押さえる。


『ダメだ響ちゃん!こんなこと、しちゃいけない!』


男の、しかもクウガに変身しているにも関わらずかなりの力で振り回されそうになる。それをしっかり足を踏ん張ってこらえるが、それでも響の暴走を止められない。その時、響の暴走の矛先がクリスへと向けられる。もの凄いスピードで肉迫し、デュランダルを振りかざす響。それに雄樹は青に変わりクリスを抱えて飛び退く。助けられたことに困惑するクリスだが雄樹のサムズアップに安心感を覚えたのか何も言わずにその場に座る。


『ごめん。ホントはお話したいけど、また今度!』


暴れまわる響のもとへと向かおうとする雄樹だが、その手を引かれて動きを止める。右手を掴まれて後ろを振り向くとクリスがわずかに震えていた。俯き、小刻みにガタガタと肩を震えさせている。気丈なまでの振る舞いと言葉づかいから考えれば想像もつかないものだった。


「・・・・そんなにヒーローになりたいんかよ?そんなに死にたいんかよ!?」


震える声を必死に絞り出して雄樹を見上げる。その目じりには――――涙が浮かんでいた。


『・・・・違うよ。俺はただ、俺にできることをしたいだけ。誰にも傷ついてほしくないし、傷つけてほしくない』

「そんな綺麗ごとで・・・・!」

『綺麗ごとだよ。だって綺麗ごとが一番いいんだもん、だから現実にしたいんじゃない。・・・・・こんなことの為に、もう誰かの涙は見たくないから』


空いてる方の手でサムズアップしてそっとてを離す。その際『今度会ったらちゃんとお話ししよう。君がどうして戦うのか、そういうことも含めてきけたらいいな』と明るく優しい声で返すと跳躍して響の相手をする翼に加勢する。その際紫に変わり翼から剣を借りて自らの得物にする。あの強力な火力を受け止めるにはこの姿が一番適しているからだ。

方法としては二つ。一つはデュランダルを破壊、もう一つはガングニールだけでも強制解除させること。それを響の攻撃を流しながら思考する。まずは前者からだ。自分が囮になり、翼にデュランダルを奪取してもらう。しかしこの場合デュランダルを取り上げた翼までも暴走してしまう可能性が高い為迂闊に判断はできない。後者のほうも同じようなことが言える。アマダムの能力を使えばもっとも有効な手段ではあるがこれだと響への負担が大きくなる。それにたとえガングニールを解除したとしてもギアがデュランダルの狂気を抑制していたらさらにマズイことになりかねない。そうでなかったとしても解除したからと言って元に戻るとも言いきれないのでこれもまたしかり。

だが、現状二つに一つ。気絶させ、デュランダルを取り上げられるなんてことができればとっくにやっている。それができればこんな葛藤はしない。

でも、なんとかして響を助けたい。自分を守ると言ってくれた心優しい少女をなんとしてもこんなことから救い出さなければ。

だがどうする?どうしたらいい?傷つけたくはない。でも攻撃しなければ事態は一向に進展しない。迷う雄樹に、クリスが叫んだ。


「バカ野郎!何やってンだ!」


鞭が響の身体を拘束し動きを止める。だが響の攻撃ですでに鎧は解除寸前でいつちぎれてもおかしくはない状況で、突如上空から飛来する影があった。


大きな・・・・クワガタ!?


飛んできたクワガタがビートチェイサーの上までくるとパーツのように分解されて・・・・・合体した。


『あのクワガタ、たしか遺跡で見つかった・・・・・ゴウラム?』


アマダムが雄樹の脳内に名前と使い方を知らせる。


『翼ちゃん、一瞬だけデュランダルを取り上げられる!?』

「可能ですが…どうするんですか?」

『・・・・できるかどうかわからないけど、やってみる!』


確信めいた言葉に翼は承諾の意を示して剣を手に駆ける。素早く響の懐に入りこむと、


「歯を食いしばれよ、立花!」

鳩尾を柄で殴り肺の中の空気を一瞬にして押し出して脳を昏倒させる。気絶させても止まるかどうかわからないが、それでも一瞬の隙をつくることには成功した。緩んだ手からこぼれ落ちるデュランダルを拾い上げてすぐさま雄樹の方に投げて元に戻り気絶した響を抱える。翼から放られたデュランダルを受けとった雄樹はすぐに愛機と合体したゴウラムの突き出した牙のような角の部分に乗せる。いちど発動したデュランダルは使い手である主をうしない今にもエネルギー爆発を起こしそうに脈打つ。ゴウラムと合体したバイクを―――――ビートゴウラムを走らせ、向かうは港町。まだいるノイズたちを灰へと轢いて灰へと変えながら突き進んでいく。


「雄樹君!」


その姿を見た緒川が何かひらめいたようで懐から銃を抜いてすれ違いざまに手渡す。それを受け取りマシンを走らせること15分。ようやくたどり着いてデュランダルを放る。宙に浮かぶデュランダルに向けて緑に変わり、ボウガンを構える。

そこで、突如電撃が走った。湧き上がるものをそのままに雄樹は照準を定めると、ボウガンに金色の装飾が施されているのが見えた。そして――――引き金を引く。数発の弾が発射された後デュランダルに直撃し機能を停止させた直後、海の中に落ちて大きな水柱を立てて爆発するのが見えた。

破壊してしまったのだろうか?若干の罪悪感にさいなまれながらも直後届いた翼からの響の無事を知らせる旨とクリスが逃げたことにホッと息をつく。

見上げた空は、わずかに明るくなっていた。 
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