| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

I want BRAVERY

作者:清海深々
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

35話


35話

 午後1時の15分前に俺はポロニアンモールの噴水前に来た。

 まだ長谷川さんは来ていないようだった。

 デートではないのだから、5分前でもよかったのだが流石にそれで向こうに先に来られるとなんかきまづい。

 俺の今日の服装は特に目立つようなことはなく、黒のジーパンの上に白の長袖のTシャツ、そしてその上にグレーのパーカーを着ている。
 センス抜群のファッションとはお世辞にも言えない服装だ。

 まぁ、モノクロよりはマシだろう。
 白と黒だけの組み合わせ、もしくは黒のみが許されるのは中学生までだ。

 前に一回、クラスメイトの女子とかと遊んだ時に、

『彩君って、私服は普通なんだね』

 とか言われた時は地味に凹んだ。

 だからといってファッションにイマイチ拘りはない。
 先輩に服を選んでもらうことも考えたが、思いついて2秒で却下した。

 流石にあの人とデートらしきものをする勇気はない。

 どうも先輩関係になると、勇気6では足りないのではないかと思う。

 話は元に戻るが、パーカーを女子と遊ぶときに着てくる男子高校生というのはどうなんだろうか。
 軽い格好をしてくると相手に、自分はその程度なのか、なんて思われるなんて前世で聞いたことがある。

 まぁ、正直魅力が5ある俺にはファッションなんてあまり関係がないんだけど。

 でもだ、例えばここにイケメンがいたとしよう。
 元の顔のレベルが6。

 イケメンだからそれなりに遊びなれている。
 ファッション6。

 ただし、魅力に関してはそこそこ。
 魅力3。

 結果としてそのイケメンは15。

 俺の場合は、ほどほどの顔。
 顔のレベル4。

 ファッションセンスは微妙。
 ファッション3。

 しかし魅力だけは高い。
 魅力5。

 結果、俺は12。

 ふむ、割と差がつくものだ。
 まぁ、今のところそんなイケメンはまだ出てきていないから問題はない。

 というより、この『ペルソナ』の世界では魅力だけが問題なのだ。

 別にそこまでファッションセンスも、元の顔も必要ないのだ!

 つまるところ、今の俺でも全然モテるは

「あ、彩君」

「長谷川さん」

 ニコリと笑って、こちらを見つけた長谷川さんに挨拶代わりに手を挙げる。

 やはり女の子の私服姿はイイ。
 長谷川さんは白色を基調としたワンピース型の服を着ている。

 長谷川さんが着るといかにもお嬢様といった感じだ。

「こ、こんにちは・・・」

 んぉ?
 あれ?マジか。

「初めまして、かな?俺は琉峰彩。ヨロシクね」

「わ、私は、山岸風花っていいます。ヨロシクおねがいします」

「ふふふ。風花ってば真っ赤になっちゃって」

 ふふふ、ふうか。
 ふふふふうか。

 ヤバイなんかツボりそう。

「あんまり男子に慣れてないのかな?」

「ま、風花は結構人見知りなのよ」

「なるほどね〜。じゃ、行こっか」

「そうね。行きましょ風花」




 カラオケ、マンドラゴラ。

 ゲームではここに一人で来ると勇気が上がるのだが、今の俺にはもう必要ない。
 なんたって俺は勇気MAXのおとこ

「3時間でいい?」

「うん、いいよ」

 なんか最近、長谷川さんが俺に話しかけるタイミングが全て、俺の思考を遮る瞬間なのは気のせいか?

「風花もそれでいいよね?」

「う、うん」

 ドモりながら答える山岸さん。

 しかし、こんな形で原作メンバーと知り合うことになるとは。

 原作の攻略メンバーで勇気と言えば山岸。

 これはもう一種の方程式だろう。

 確かに俺には勇気がある。
 そう、原作で言う風花の弁当を食べれる勇気がある。

 しかし、皆考えてもみてくれ。
 原作でキタローはどうした?
 いや、どうなった?

 そう、倒れたのだ。
 あまりのマズさに。

 そんなものが食えようか?いや、食えまい。(反語)

 勇気6というのは案外MAXではないのかもしれない。
 だって、想像しただけでガクブルしてしまいそうだ。

「じゃ、行こっか」

 長谷川さんは割りとこういう時に先導を切ることが多くなった。
 本来であれば男である俺がこういった受付をするのだろうが、何故か先に長谷川さんがやっているのだ。

「山岸さんとは何処で?」 

「料理関係でね」

 おぉう、マジか。

「へぇ、山岸さんって料理できるの?」

「い、いえ全然!全く!」

 超ドモりながら答える山岸さん。
 そりゃそうだよね、アレだもんね。

 リボー○で言う、ポイズンクッキングだもんね。

「はは、そんな謙遜することないって。一度食べてみたいな」

 男なら、いや漢ならこう答えるしかないだろう?
 女性が料理の話題をしているのだ。 
 このセリフはもうお決まりだろう?

(もしかしたら死亡フラグが立ったかも)

 なんて思っていないさ。
 ははは・・・。

「えぇ!?」

 驚く山岸さん。
 自分でもひどいとわかってるんだな。

「あら?彩君は私の料理にはあまり興味ないのかしら?」

「そんなことないよ。長谷川さんの料理も食べてみたいな」

「えぇぇぇぇ!?!?」

 え、ちょっと山岸さん?
 そんな驚くことなの?

「そうね。今度食べさせてあげるわ」

 ニコリと大人の笑みを浮かべる長谷川さん。

 横にいる山岸さんの顔が真っ青になっている。

(あれ?もしかしてこっちが地雷?)

 踏んではいけないものを踏んでしまったかもしれない。
************************************************
誤字、脱字がありましたら報告お願いします。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧