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I want BRAVERY

作者:清海深々
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34話


34話

 部屋にはカタカタとパソコンのキーボードを叩く音だけが響く。

 前に疑問に思ったことがあった。

 今はそれを解決するために、前世では慣れていたがこちらではあまり多用したことのないパソコンを使っている。

「・・・おぉう、マジかよ」

 なんとなく嫌な予感はしていたが、まさかここにも顕著に現れるとは思っていなかった。

 今俺が開いているウィンドウにはこう書かれていた。

『エリス』

『ホメーロスによれば、軍神アレースの妹で彼に従う。ヘーシオドスによれば、夜の女神ニュクスの娘で不和を好み、口争いや殺人などの種々の災いの母でもある。戦場では血と埃にまみれた鎧を着て槍を持ち、火炎の息を吐く』(By Wiki)

 最悪だ。
 特に、『口争いや殺人などの種々の災いの母でもある』

 いや、もう本当あの人はその通りだと思う。
 しかしまさかペルソナまでそんなんになる必要はないんじゃないかと思うのだが。

 原作に出てないキャラだけに今後どうなるかわからない。
 それ故にかなり接しづらい。

 できれば、いやせめてもっと普通の人であって欲しかった。
 
 そして俺はパソコンをシャッドダウンしベッドの上にうつ伏せに倒れるように飛び乗る。

「ふぅ・・・」

 布団に顔を埋めながらため息を付く。

 タルタロスに挑む回数はここ数日で減ってきた。
 今行っても先に進めないことがわかったからだ。

 ふと俺は思いついて、自分のステータスを確認した。


学力:6
天才
魅力5
オーラが出ている
勇気6


Lv16 流峰 彩
HP 88/88
SP 130/130
        普通

NEXT EXP 160


 レベルが上がっている。
 これは前にも確認した。

 HPとMPが多いのかどうかは比べる対象がいないので判断できない。

 しかしハッキリとわかることが一つ。

 俺は完全に後衛タイプだということだ。

 HPより明らかにMPの方が多い。
 これは後衛タイプによくある傾向だ。

 岳羽さんもそうだった気がする。

 それにHPとMPの差が序盤からこんなに顕著に現れるなんて、はっきり言ってありえない。

 俺のHPが多いかどうかわからないが、このレベルでMPがHPより多いのはおかしい。

 その疑問の解答を持たない俺はしばらくベッドの上で唸った後、学校の宿題をしようと起き上がる。

 今日は土曜日だ。
 明日は日曜日であるため、宿題は明日やってもかまわないのだが、こういうものはやはり早めにやるべきだろう。

 俺の前世の学校は週休二日制だったので、今の日曜日しか休みがないというはあまり好きではない。

 なんて、心の中で学校のシステムにぶちぶち文句を言いながら、宿題をやるためにノートと教科書をカバンから出した時だった。

———PiPiPiPiPiPi

 携帯が鳴った。

「ん?」

 ポケットから携帯を取り出す。
 携帯を開くとメールが着ていた。

 原作で主人公は携帯で電話していなかったイメージがあったが、メールを使うことももちろんある。

「・・・おぉ!!」

 思わず叫んでしまった。
 ポーカーフェイスで、クール(※違います)な俺が叫んでしまうとは。

「長谷川さんから遊びのお誘いじゃないかぁ!」

 試験の前は流石にないが、それ以外はほぼ毎週遊びに誘われる。

 大抵は伊織や友近なのだが、今日は珍しく長谷川さんだ。


『11月23日 20:48
From:saosao-sao@xxx.ne.jp
sub:明日
———————————————

 明日、もし暇だったら遊びませんか
?新しく友達が出来たので紹介した
いです。

                 沙織 』



「新しい友達か・・・長谷川さんもずいぶん変わったな」

 学期初めのようい、クラスから浮くこともなくなり友達も増えてきたようだ。

 俺があまり親しくない人間が友達になった時は、毎回俺に紹介するのを兼ねて遊びに行くことが多い。

 俺が、趣味が『友達作り』と言ったせいだろうか。

「空いてるよ・・・と」

 明日行ける旨を伝えて、集合時間と場所を聞く。

 しばらくして返信がくる。


『11月23日 21:01
From:saosao-sao@xxx.ne.jp
sub:Re:明日
———————————————

 昼の1時にポロニアンモールの噴
水前に集合の予定です。

                 沙織 』


 多分聞いても答えてくれそうにないので、紹介してくれる人のことは聞かない。

 了解、とメールを打って送信し、携帯を閉じる。

「いつになったら長谷川さんにフラグ立つんだろうか」

 原作で彼女のコミュは相手が女主人公だったため、攻略法がない。

 年上の彼女なんてできたことがないので、長谷川さんにどう接すればフラグが立つのか分からない。

 たぶん、今のままで行くと俺は『頼りになるお友達』で終わりそうな気がするのだ。

 というかこれは原作キャラの全ての女子に言えることだ。

 ふと嫌な予感がする。

 俺が彼女達と仲を進展できないのには訳があるのではないか。
 
 もしかすると原作の男主人公用なのかもしれない。

 しかし、そう考えると長谷川さんは関係がないはずだ。

(もしかして俺じゃダメなのかぁ!?)

 さらに嫌な予感がする。

(このままいったら、俺には先輩しかルートがないじゃないかぁ!)

 内心泣き叫ばずにはいられない。

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