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万華鏡

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第七十七話 迫るバレンタインその五

「だからなのよ」
「そういうことも勉強してなのね」
「楽しんでるのよ」
「ううん、生活の知恵がそのまま神社の奥さんとして役立つのね」
「ええ、そういえばこういうことって」
 そうした生活の知恵のことで、というのだ。ここで景子が出す話題はというと。
「商業科の一年生の」
「あっ、またその娘達ね」
「そう、かるた部の二人ね」
「何か凄いらしいわね」
「そうみたいなの、もうお母さんとお姉さんみたいって」
 その域まで至っているというのだ、その二人は。
「評判になってるわ」
「女子力高いのね、その娘達」
「相当にね」
 実際に高いというのだ、景子もあくまで聞いているだけだが。
「そうみたいよ」
「女子力高いといいわよね」
「その娘達生活の知恵も凄いっていうから」
「もてそうね」
「いやいや、それがね」
「そうもいかないの」
「商業科だから」 
 そこの所属だからだというのだ。
「商業科は女の子の方が多いでしょ」
「ああ、そのことがあるから」
「そう、男の子にとってはいい社会だけれど」
 まさに選り取りみどりだ、二股三股も夢ではない。
「女の子にとっては修羅の国だからね、あそこは」
「またそのお話ね」
「そう、とにかく商業科はそうだから」
 女の子の方が多い世界だからだというのだ。
「激しい競争社会よ」
「男の子の取り合いは」
「ハードだから」
 そうだと話す景子だった。
「普通科よりもね」
「ううん、じゃあその商業科の娘達も?」
「そうしたクラスでもね」
 家事が万能で女子スキルが高くともだ。
「何か彼氏いないそうだから」
「商業科だと」
「女の子が多いのは女の子にとって大変でしょ」
「彼氏欲しい人は」
「そういうことになるから」
「私普通科でよかったかしら」
 琴乃はここまで聞いてだ、こうつぶやいた。
「そういうことも普通で」
「そうかも知れないわね」
「商業科って楽しいっていうけれど」
「あそこはあそこでね」
「ええ、確かに修羅場でも」
「そうみたいね、どの学科も一緒に参加出来る部活もあるからね」
 八条学園の部活は多くそうした部もあるのだ。
「そのかるた部とか」
「軽音楽部は違うけれどね」
「商業科は商業科であるからね」
 そちらだけの軽音楽部があるのだ。
「私達の場合は」
「けれどそうした部活もあるのよ」
「そうした部活ってどうなのか」
「興味出て来た?」
「ちょっとね、どんな感じがってね」
「商業科の軽音楽部も覗いてみる?」
「それも面白いかしら」
 琴乃は腕を組んでこうも言ったのだった。
「あそこも」
「部長さんにお話してみるか?」
 美優は琴乃の話をここまで聞いてこう言った。
「あの人に」
「部長さんになの」
「あの人生粋のチャレンジャーだしさ」
「こうしたこともなの」
「そう、普通に乗ったら実現させようってしてくるし」
「それじゃあお話してみる?」
「いいかもな、まあそれでもな」
 ここでだ、首を傾げさせてだった。美優はこうも言った。
「あの人と商業科の人達がどういう関係か次第だよな」
「部長さんと仲悪かったら実現しないわよね」
「あの人悪い人じゃないけれどな」 
 それでもだというのだ、彼女の場合は。 
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