| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第89話 誰もが謎を深めて行くようです


Side 明日菜

「あー見えた見えた!近くで見るとすっごい大きいわね!」

「いやぁホントありがとねイルカさん!」

「せやからイルカちゃうっちゅーねん!嬢ちゃんら一応お尋ねモンやねんから顔出さんで静かにしといてや。

いくらお祭りで警戒緩い言うても、警備は多いんやで。」

「「はぁ~い。」」


オスティアに向かう少し前、偶然ちょこっとだけ非合法な取引をしてたイルカ・・・もとい水獣族の

おじさんに頼んで便乗させて貰って、島まで運んでもらったってわけ。

って言うか・・・さっきから頭の中でする声がひどくなって頭痛いんだけど、なんなのこれ?


「さぁついたでお嬢ちゃんら!今年の祭りは二十周年ちゅー事でお尋ねモンもゴロツキもいつもより

集まるやろから、調子に乗って怪我せぇへんようにな!路地裏とか気ぃ付けるんやで!」

「はーい!ありがとうねー!おじさんも気を付けて商売してねぇー!」

「でかい声で言うなや!全くじゃじゃ馬やなぁ。じゃあな!」


私達を置いて、イルカのおじさんはどっかに飛んで行った。さて、やぁーっとここまで来たわね!

アルビレオさんに言われて来たは良いけど、どこに行けばいいか分からないのよねぇ。

取り敢えずコロッセオに行けばネギと小太郎君は居るわよね―――


―――アスナ!こっちだよ。なにしてんだ、早くしろよ!
―――ゆっくり歩かせてやれよ・・・出て来たばっかの女の子にさぁ。

「へっ!?」


今までよりはっきりした声が聞こえて、そっちを見たら―――


「シュウマ………ナ、ギ…?」


見慣れない格好のシュウマと・・・写真で見たままの、ナギがいた。

ってあたし、なんで愁磨さんとネギのお父さんを素で呼び捨てにしてるんだろ・・・!?

あ、行っちゃう・・・!


「ま、待ってナギ!!シュウマ!!」
ザッ!
「え……明日……菜、さん?…………明日菜さん!!」


二人を追って階段を上って開けた場所に出たら・・・今度は、ネギが居た。

Side out


Side 愁磨

「お、わ、っ、っっっっったぁぁぁぁぁ~~~~~~~~…………。」

「・・・おつかれさま、パパ。めるも、おつかれさま。」

「ありがとうございます、アリア。ふー……予想よりは余裕がありましたね、シュウマさん。

あとは周期を待つだけですね。」

「そこが一番問題なんだがな……。」


周期――つまりこの世界とツェラメルに尤も魔力が満ちる時だ――まで、一ヵ月強。

双方の術式と"回収定義"を完成させた。面倒にも時期を待たなきゃならんのは、魔力が足りないせいだ。

術式発動と成立後同時に別次元に転移・惑星形成・世界構成を完成させる為の算出された総魔力が、

ツェラメルと俺の力の最大値を合わせてもギリギリだったからだ。


「これも神様の御意思ってか?やれやれだ……。刀子、フェイト。あいつらの現在位置は?」

「はい、ネギ君・長谷川さん・ラカン・綾瀬さんを除く全員がオスティアへ入りました。

大会の方は小太郎君が一人でここまでは何とかしたようですね。」

「……その三人も、どうやらネギ君の修業が終わったようだね。一時間ほど前に遺跡を出て、徒歩で

グラニクスに向かったそうだよ。綾瀬君は……アリアドネーで動きがあったようだけれど。」


二人の報告に、全員で頭を痛める。つまり、実力的にはプランクトンと原子空母程差がついている、

本来路傍の小石以下に目にも留めない、あの取るに足りない存在であるあいつらが一番の敵なのだ。

それが集結しつつある・・・あぁ鬱だ・・・。


「主神ったら、自殺でもしてくれないかしら……。修正力も少しは衰えると思うのだけれど。」

「それはどうだろうなぁ。傍観決め込んでる様な奴だからこそ、俺がまだ生きてると思うんだがな。

ツェラメルが手に入れた本には何か書いてなかったのか?逸話・神話・与太法螺話、何でもいいけど。」

「それは……すみません、何も。力の手に入れ方と後は私達の世界で過去、力を手に入れた人達のお話が

いくつか書かれていた程度で……。」


・・・・・ちょっと待て。そうだ、『力の手に入れ方』だと?主神に初めに創られた天使が

"()"と魂を半分ずつ分けて漸く手に入れられる力を、ただの人間だったこいつらが手に入れたと?

しかもそれが昔幾人もいただと?


「その本、今はどこに?」

「えっ?あ、あの本は私達が契約を結んだら、燃えてしまって……。フェイト、中身覚えてる?」

「簡単にだけど覚えているよ。ただ、あの世界の環境でないと契約は結べないモノだったね。」

「そうか……。」


物が無いのは残念だが・・・。力を使い果たしたから燃えたのか、契約する度に燃えるのか。

前者ならどうしようもないが後者なら可能性がある。一々主神が書き足して創り直しているって事だからな。

ツェラメル達の世界を"映し"たここになら、また再生しているかも知れない。


「そこからならあいつに繋がる何かが……突破口が増えるに越した事は無いんだがな。」

「そこまで迂闊でしょうか、あの主神が…?」

「契約した瞬間とか、突こうと思えば付け入る隙は幾らでもあるわ。あるだけ、だけども。

ガブリエル達に試して貰ったけれど駄目だったしねぇ~。」


実験で魂の半分を投げ出させられたあいつらには憐れみを禁じ得ないが――いや進んでやった事だが――

あいつらで無理なら、俺も無理だ。まぁ最初から直接干渉するのは諦めていたが。

だがこれで・・・・・整った。


「(さぁ、出て来てくれよ主神様。あんたが出てこなきゃ始まらないんだからな。)」

Side out


Side 千雨

「みんなぁーー!」

「明日菜!アーニャちゃん!無事だったのね!」

「あったり前じゃない!あたし達を誰だと思ってるのよ!」


あたしらが闘技場に戻ってくると同時、神楽坂とアーニャとか言う先生の幼馴染が部屋に飛びこんで来た。

ったく、喧しい事この上ないがこれで綾瀬以外全員集合した訳か。

後は宮崎と早乙女の解放と綾瀬の居場所か。そのあとに待ってるのは鬱イベントかラスボス前の連戦って

所か・・・?頼むから私は村で主人公の帰りを待ってる家族的立ち位置で・・・・・・ああ、無理か。


「ほー!なんだなんだボーズ、カワイ子ちゃんばっかじゃねーか!ナギに似ず手の広いこった!」

「ご、誤解ですよ!僕が気を失ってる間に愁磨さんが無理矢理……。って、明日菜さん!アーニャ!?」

「ネギ!あんたったらもう、心配させて!!……と、誰?」

「この子がアスナかぁ!なんだなんだ色々でかくなりやがって♪」
ぽにゅん♪
「にゃ…!?なんなのよあんたぁーーー!!」
ゴズンッ!!
「おろ゛ふ!?」


喧しい所に先生とオッサンが加わった上、オッサンが神楽坂の胸を突きやがった事でもう収拾が

つかなくなった。・・・まぁ感動の再開って事で野暮はやめとこう。


「千雨殿、アレは本物のジャック・ラカン殿でござるな…?」

「んー、あー……多分本物だと思うぞ?あの巫山戯た出鱈目加減は。」

「成程。いや、納得でござる。威圧感は無いがこの包み込むような気圏。一体どれ程の死地を乗り越えれば

このように成れるのか……。」


・・・なにやらニンジャ娘はこのオッサンを豪く評価しているが、私にはどぉぉーーにも理解出来ん。

ただの適当変態オッサンにしか見えないんだがな。いや強いのは重々承知しているが。


「だけど心強いわね!英雄の"紅き翼"の人が助太刀してくれるなんて!」

「ああん?言っとくが俺はなんも手伝わんぞ?」

「「「「え?」」」」

「勘違いすんなよ?俺は俺の為にしか戦わねぇ。そーゆー男なんだよ、俺は!

自分の尻は自分で拭きな。」


私と先生は理解していた事だが、他の奴らはオッサンの事を誤解していたようだ。

アルビレオさんとかゼクトさんみてーにお優しく手を差し伸ばしてくれるとばかり思ってたな?

つかこの人らがまともに私らを助けれくれたのっていっつも最後の最後だけだったじゃねーか。

この世界に来た時なんて任せきりにしてたせいでこの状況に陥った訳だしなぁ!!


「まぁこういう人なので諦めてください。そういう訳で僕達のお尻は僕達で拭きましょう。

僕も準々決勝以降は門限通りに帰らなくてはなりませんから、今後の要点だけ話しておきます。」

「……ちょっと千雨ちゃん、ネギったら逞しくなっただけじゃなく変態が移ったんじゃ…?」

「……………それに関しちゃ、私からは何も言えん。」

「そう、苦労したのね………。ご苦労様……。」


理解してくれてなによりだよ・・・ったく。人の成長を理解しただけじゃなく気遣いも出来るとはなぁ。

神楽坂も相当成長したって事かね。


「僕達の『現実()世界帰還作戦』でやらなければならない事は三つ。

1、のどかさん・ハルナさんの奴隷身分開放。2、全メンバー合流。3、帰還ゲートの発見と開放。

または帰還させられる人に協力を取り付ける事。1については僕と小太郎君が何としても大会で勝ちます。

2についてはアルさんとゼクトさん、朝倉さん・まき絵さんが捜索中です。そして3ですが……。」

「あー、無理無理。あいつの動向は俺だって全く知らん。」

「そうですか……。」


先生が目で目的3の帰還させられる人――つまりあの意味不明教師達――の事をオッサンに改めて聞いたが、

やっぱり知らないんだろうな。そもそも、あの人らが助けてくれる気ならとっくに来てんだろうし。


「では、帰還ゲートの探索を楓さんと古さん・アーニャにお願いしたいのです。」

「にゃっ!?」

「この街の西にかつての王都"廃都オスティア"が広がっていますが、この中心部のどこかに休止中の

ゲートがあるはずです。旧王都の情報は機密となっていて、過去の地図さえ入手が出来ません。」

「ちょっと待ちなさいよ、なんであたしも行かなきゃいけないのよ!」


・・・と、そこでアーニャが抗議する。そりゃそうだ。

廃都があるのは昔は魔素の海、今じゃ上層はただの霧だが丁度良い魔の領域になってて魔獣がわんさかな上

世界で一等複雑怪奇な最高レベルダンジョン化。

許可を貰える熟練者以外は立ち入り禁止の魔法世界(ファンタジー)一の危険地帯。子供でも知ってる事だ。


「うん、とても危険な任務だけれど……アーニャは昔から異常に勘が良かったから、お願いしたいんだ。

それにこの二人なら、アーニャを護りながら魔獣から逃げる事も出来る。頼むよ、アーニャ。」

「う、ぐぐぐぐ……!仕方ないわねぇ!私だけ安全な所でご飯食べてる訳にはいかないもんね!

糸目!カンフー娘!ちゃんと守りなさいよ!」

「あいあい、任せてくれて構わんでござる。」

「……それよりいい加減呼び方変えんアルか?仲間アルよ、私達。楓!古アル!」

「ふ、ふん!今更どうでもいいでしょ!?い、行くわよカエデ!クー!」

「「アイアイ!」」


なんだそのツンデレチョロインは。狙ってんのかこの幼馴染。てか今は行かねーって。夜だぞ?

それより・・・その理論だと黙ってねぇのが一人いんだろうよ。


「ちょっとネギ!それじゃ私は何してればいいのよ!?私だってアーニャちゃんよりは強いわよ?」

「あ、い、いえ、危険は魔獣だけではなくてですね……?」

「『フェイト・アーウェルンクス』……奴らの事じゃのう。」

「お前らもそう思うか?ゼクト、アル。つか久しぶりじゃねーか!」

「お久しぶりです、ジャック。あなたが面倒臭がらなければもう少し早く会えた上に面倒事にならず

済んだのですが?」


神楽坂が面倒な事を言い出した所で、オッサンの背後に綾瀬を探しに行ってた筈の二人が現れた。

フェイト、奴ら・・・ああそうですか、結局あいつらと決着つける必要があるんですねー・・・ハハハハハ。

いっそこの世界滅びりゃ楽なんじゃねぇかなぁ!?


「な、何故そう思われるのでござるか?お三方。」

「なぜってまぁ~~……大体分からぁな。千雨嬢ちゃんはお察しだろうが、あいつらは――

俺達"紅き翼(アラルブラ)"が戦っていた"敵"の生き残りだろうからな。」

「なんで私だけお察しだ。馬鹿でもねぇ限り大体察しがつく事だろうが。」

「「「「えっ!?」」」」


・・・・・私の思い違いだったみてーだ。こいつら全然成長してやがらねぇ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
subSide フェイト

ゴォオオォォオ―――
「平和のお祭りですかー、楽しそうですねー。正式開催は明後日からでしたっけ?」


遠くに花火と人々の賑わう音が聞こえて来る中、僕達はオスティアを少々離れた所から監視している。

平和のお祭り、ね・・・ツクヨミの言う通り、確かにオスティアで開かれるのはそう言う名目の祭典だ。


「興味なさそうですなぁー、フェイトはん。」

「……そういう君も興味は無さそうだね。」

「フフッ、もとより人の間で生きられぬ性為れば………。ウチには血と戦いがあれば十分ですえ。

もっと言えば、ノワールはんと一手殺し合わせてくれれば死合()わせなんやけどなぁぁ~~♡

あ、フェイトはんとか他の人でもええんやけどなぁ?」

「勘弁してくれないか……む、ツクヨミ。」

「げふ。何ですの~~?」


どうやら興味の無い事には勘さえ鈍くなるこの子のマフラーを引っ掴んで、岩の影に隠れる。

そうして雲海の中から静かに、しかし重厚な駆動音を立てて浮上して来たのは――

ドドォォオン―― コォン コォン コォン
「おー?潜水艦おすか~?」

「……アリアドネ―の特務潜空艦だよ。アリアドネ―だけじゃない、祭りに乗じて帝国と連合自身のも

隠密艦とか色々うろついてるよ。ここは要地だからね。」

「はぁー……でもここてその連合はんの領地なんちゃいます?文句あれへんねやろか?」

「平和の祭典とは名ばかり、と言う事さ。彼等の考えは知った事じゃないが、牽制し合ってくれるお陰で

僕達も動きやすくなる。逆に言うと、この祭典時期以外で僕達がここ周辺を動き回るのは困難だ。」


『ふ~ん』と心底興味なさ気に生返事をし、船から目を離さないツクヨミ。やれやれ、どうしてこう彼らの

知り合いと言うのは血の気が多いか変人かなんだろうね。・・・あぁ、僕もお仲間なのかな。


「ところでー……ウチは戦えれば満足ですけど、フェイトはんらはどうなんですか?

一部除いて戦いが好きにも見えへんし、計画聞いてもイマイチよぉ分からへんのですが。

あんた達の………目的は?」

「――――この世界と、魔法世界人全てを救う。」

「ほ!それはまた……。」

(『お待たせしました、フェイト様。』)


計画の核心をツクヨミに告げた所で、僕と仮契約した子から連絡が入る。

間に合ったか・・・・であれば、僕だけでも彼らに抵抗する事が出来る・・・かも、ね。


「『召喚(エウォゲム・ウォース) "調" "焔" "栞" "暦" "環"』―――早かったね。」

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「そ、それで……?奴らの目的は一体?」

「さぁて、私達も結局のところ核心には至らなかったのですが……。

簡潔に言えば――世界を終わらせるつもりです、とだけしか。」

「まぁどーでもい~じゃんよそんなの!ウッハハハハハハ!」

「良くないわよ、大事じゃないのよ!」


・・・・・・まぁ、それが本当だとしてもラスボス一派の目的としちゃありきたりだな。

そこには奴らなりの理由があって?それだって違う側面から見りゃ正義で、でも勇者側とは絶対

相容れない―――よくある話だ。そこまでは、な。

………
……


「ぁぁぁあああああっ!!」「うぅらぁぁああああああ!!」
ドガゴンッ!!
「ぉおお!っととと、中々やるじゃねぇか犬っコロ。ボウズも力をつけたな。

俺ん所に来た時とはケタ違いに強くなったぜ?」

「あ、ありがとうございます!」

「オッサンもやるやないか!流石アルさんらの仲間だっただけあるわ。」


次の日、急にコタの実力を見てーって言い出したオッサンを連れてダイオラマ球の中でドンパチを

始めやがった。ったく、何が楽しくて殴り合ったり魔法ぶちかまし合ったりするんだか。

そうしねぇと始まらないんだがな・・・。


「まぁ2人とも悪くはねぇ。明日から祭りだ、見てやるよ。『闇き夜の型(アクトゥス・ノクティス・エレベアエ)』行ってみ

ろ。」

「はい。スゥ――――」
ズ ッ ・ ・ ・

先生が型を始めた瞬間、その黒い気に思わず背筋が凍って冷や汗が出る。

『闇き夜の型』、つまり自分の中の"闇"を表に出して留めとくって強化術の一種だ。

これをやれなきゃ『闇の魔法』は使えねぇ、って基礎だが・・・しかし、これは・・・・・・。


「駄目だ駄目だ!てんでなっちゃいねーぞ。やはり一ヵ月じゃぁ流石の天才少年でも無理だったか。

不安定すぎるぜ、実戦じゃまだ使えねーな……っと、心を乱すんじゃねぇ。」

「そうかぁ?ワイにゃそうはみえへんけどなぁ?」

「くっくっく………しかしまぁ問題山積みで大変だなぁお前ら。元の世界にゃ帰れねぇ、

好きな子は奴隷になってるわ、謎の敵にストーカーされるわ―――お姫様の事やら。」


コタの"正しい"反応に笑っただけで答えて、いつの間にスったのか神楽坂の仮契約カードを出して

『お姫様』と呼んだ。・・・何の話だ、またいらん要素付け加えようってのか?


「お姫様……と言うのは明日菜さんの事ですか?」

「ハッ、今のお前らの目標は全員の無事帰還だろ?だったらこれ以上は知らなくていい。」

「誤魔化さないでください!明日菜さんが…父さんやこの世界とどう関係があるって言うんですか!?」

「今まで気付かなかったか?あの子の特異さに?『魔法無効化』なんて超希少特殊能力(SSレアスキル)

両親の不在、近衛家・タカミチとの幼少からの付き合い……少しも不思議に思わなかったと?」


果てはあの妖怪学園長や意味不明一家からの保護、な・・・確かに不思議満点だ。

その上、ちょいと修業しただけで長瀬やら古菲やらと同等の戦闘力持ちになるとか・・・。

ファンタジー満載過ぎて全然意識が行かなかったが・・・改めて考えりゃおかしいわな。

ズォッ――!!
「ラカンさ「ネギくーん!ネギ君!大変!!」っ、は、ハルナさん!?」

「今、朝倉のアーティファクトがすっ飛んで来て!あの二人がここに向かってたんだけど、

西50キロの地点で賞金稼ぎに襲われたってーー!」

「……っ、分かりました、直ぐ行きます!」


キレかけた所で早乙女が慌てた様子で飛んで来た事で、冷や水をかけられた様に冷静になる先生。

戦闘力低いあいつらが賞金稼ぎに狙われるとはな。狙ってたのかと言いたくなるぜ・・・。


「おいぼーず!………使うのか?」

「ハイ!」

「聞くまでも無かったな…。だが気をつけろよ。今のお前じゃ………呑み込まれるぞ。」

「………大丈夫です!!行くよ、小太郎君!」

「ワイもかいな!まぁ今まで骨のない奴等ばっかやったからなぁ、楽しませてくれよ!?」


戦闘組二人は早乙女を連れて意気揚々と出て行った。まぁあの二人なら楽勝だろうが・・・。

さて、私の願ったシチュになったな・・・。


「おい、オッサン。」

「おぉ?なんだよ千雨嬢ちゃん。ボウズに言いつけた所で聞かねぇ事は分かって―――」

「ちげぇよ。」


私の否定が予想外だったのか、ちょっと驚いた顔で先を促す。

分かる訳がねぇんだがな・・・・どう考えても私が導き出す答えとは、私だって思わねぇ。


「私にも『闇の魔法(マギア・エレベア)』を習得させてくれ。」

「…………………………………はぁぁ!?」

Side out
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧