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転生者物語・夜天の主とトラック運転手

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プロローグ


転生者。
それは神がミスや面白半分で殺してしまった人間に能力を与え、アニメやマンガの世界に転生させたものの総称だ。
転生者を生み出すのは、その転生者が元々住んでいた世界を管理する神だ。そして、当然ながらアニメやマンガの世界にも神が存在する。そういった神々は悪質な神々の送りつけて来る悪質な転生者に迷惑していた。
そんな事態に対抗すべく、神々は悪質転生者の被害の少ない世界から善良な転生者を派遣してもらう事にした。この試みは上手く行っている。だが、全てが全てと言う訳では無かった・・・





『魔法少女リリカルなのは』の世界の一つ。この世界はもはや壊滅し、崩壊する寸前であった。

「シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リインフォース・・・」

一人の少女『八神はやて』が膝をつきながら消滅して行く自身の家族を見た。

「なのはちゃん、フェイトちゃん、ユーノ君、クロノ君・・・」

さらに息絶えて横たわる仲間達も見た。

「嫌や・・・こんなん嫌や!!!」

彼女の悲痛な叫び声が木霊する。

「貴様・・・絶対赦さん!!」

派遣転生者のリーダーである少年が“元凶”に向かって叫んだ。他の転生者達も怒りを“元凶”へと向ける。

「ふむ。君たちはそこの少女とは違い絶望せんようだな。」

彼らの様子を見た元凶は意外そうに言った。

「生憎、今は絶望よりも怒りが勝っているもんでね。」

「そうか・・・ならば、絶望が増すようにしてやろうではないか。」

すると、元凶は全身が禍々しい力を噴き出す。

「これは、ヤバイかもしれんな・・・」

元凶の放つ力を見てそう言うリーダー。だが、彼は決して諦めていなかった。

「仕方ない。最後の手段だ。」

「待て!そんな事をすればお前は!!」

派遣転生者の一人の少女がリーダーを止めようとする。

「だが、もうこれしか奴を止める方法は無い。」

「・・・わかった。なら、私も一緒に行かせてもらうぞ。」

「私もだ!その方が確実だからな。」

「オイラも、アニキと一緒に行くぜ!」

「・・・済まない。」

自分に着いて来てくれる仲間達に対し、嬉しさと申し訳なさを感じ、リーダーはそう答える。

「だが、その前に・・・」

すると、リーダーが剣を振るって空間の裂け目を作った。そして、はやてに語りかける。

「はやて。君だけでも生き延びて欲しい。」

「それって、どう言う意味なん・・・」

「俺達は奴らを倒すために最後の切り札を使う。そうしたら、もう生きて帰って来る事はできないだろう。」

「嫌や!!シグナム達も、なのはちゃん達だけやなくて、皆まで居なくなってしまうんは嫌や!!!」

「はやて。分かってくれ。」

「絶対嫌や!逃げるんなら、皆も一緒に・・・」

「それはダメだ。奴を放っておいたら、同じ悲しみが繰り返される。」

「なら、私も一緒に・・・」

そう、はやてが涙ながらに反論した時だった。

「あまり、わがままを言ってはいけませんよ。」

倒れていたリインフォースがヨロヨロと立ち上がったのは。

「リインフォース!」

「まだ生きていたのか!?」

それを見たはやてとリーダーが驚愕して叫ぶ。

「ああ。だが、もう長くは保たない。だから、せめて最期に主を御護りしたい。」

「・・・わかった。はやてを頼む。」

「ああ。任せておいてくれ。」

そして、リインフォースははやてを抱き上げた。当然、はやてはそれに反発する。

「ちょっと!何をするん!!私もここに・・・」

「えいっ。」

「あ・・・」

すると、派遣転生者の一人がはやてを魔術で眠らせた。それにより騎士甲冑が解除され、はやての姿は私服へと戻る。

「すまんな・・・」

「別にいいって。それより、早く行かないと。」

「ああ、分かっている。」

そして、リインフォースはリーダーの作った裂け目へと飛び込んでいった。




「もう、お別れは済んだかね。」

リインフォースが飛び込んだ裂け目が消えた後、元凶が転生者達に語りかけた。

「随分と悠長に待ってくれたな。」

「彼女の絶望した顔は充分楽しんだのでな。妨害する必要性を感じ無かっただけの事だ。」

リーダーの言葉にそう答えると、元凶は笑みを浮かべて言葉を続けた。

「それに、彼女が再び私と会いまみえた時、どのような反応をするかも興味がある。」

「残念だが、それを確かめる事は出来ないぞ。ここでお前を倒すんだからな!」

「面白い。やってみるがいい。」

そして、転生者達と元凶はぶつかり合う。





俺の名前は『ジンライ』。ただのトラック運転手だ。だが、俺にはある秘密がある。それは、俺がいわゆる転生者と言う奴だと言う事だ。
神様のミスで死んじまった俺は、お詫びとして転生させて貰えるようになった。その時くじ引きで種族を人間、容姿を『トランスフォーマー超神マスターフォース』のジンライ、そして行く世界に『ハイスクールD×D』を引き当てた訳だ。その後、原作開始よりかなり前に生まれた俺はこのまま原作に関わる事は無いだろうと思っていた。
だが、俺が色々な事を忘れてトラック運転手になった頃、なんとおれはマスターフォースの原作のジンライみたいにゴッドマスターになってしまった。その後、俺は天使、悪魔、堕天使の三勢力のゴッドマスターを巡る戦いに巻き込まれ、さらにゴッドマスターの創造主を名乗る『デビルZ』が侵攻して来た。最終的に三勢力とデビルZを追って地球にやって来たサイバトロンと合同で立ち向かった。
そして戦いが終わった後、俺達のトランステクターには自我が芽生え、トランスフォーマーの故郷であるセイバートロン星へと帰って行ったのだった。
その後、俺達は元の生活に戻った。とはいっても、元居た勢力との繋がりは残っているが。
そして現在、俺はかつてのトランステクターと同じ型のトレーラーを運転していた。配達も終わり、これからトレーラーを車庫に入れに行く所である。天気は生憎の雨。折角洗車したばかりだって言うのに最悪だ。
そうやって不機嫌なままトレーラーを走らせていた時だった。目の前に空間の裂け目みたいなのが現れたのは。

「わあああああ!!!」

悪魔やらトランスフォーマーやらの非日常に慣れた俺でも、運転中目の前に突然何かが現れたら驚く。俺は慌てて急ブレーキをかけた。そして、トレーラーは裂け目の数メートル手前で停止する。

「一体、何だこいつは・・・?」

俺はトレーラーから降りて裂け目を見た。すると、その中から何かが現れる。それは、銀色の長髪と赤い瞳を持つ女だった。その手には小学生くらいの女の子が抱かれている。
俺はその女を警戒していた。何故なら、彼女の背中には二対の黒い翼が生えていたからだ。多分、堕天使だと思う。
俺はいつでも走って逃げられるよう構えた。情けない事だが、今の俺にはゴッドマスターとしての力は無い。だから、人外が相手では全く歯が立たないのだ。
だが、俺の予想に反して女はその場に膝をついた。

「お、おい!大丈夫か!?」

思わず、俺は女に駆け寄った。罠かもしれなかったが、近くで見た所かなり苦しそうだ。とても演技には見えない。

「もう、限界か・・・」

すると、女が絞り出すように声を発した。

「大丈夫じゃ無さそうだな・・・こう言う時は救急車・・・じゃなくて!」

俺は知恵を絞るが、怪我をした人外にどう対処すべきかが全く思い浮かばない。すると、女が俺に話しかけてきた。

「お前は、私の姿や空間の裂け目を見ても驚かないのか?」

「え?ま、まあ。少し前までそう言うのに思いっきり関わってたしな。」

「そうか・・・なら、我が主を・・・この子の事を頼んでもいいか?」

「は?」

女に女の子を差し出され、俺は困惑する。

「ちょっと待て!何で俺が!?」

「本来ならば、私の目で見極めてから主の事を託したかったのだが、それはもう無理そうだ・・・」

そう言って女は自身の足を見る。俺もそこを見てみると、何と女の足がつま先の方から徐々に光りの粒子へと分解して行っていた。

「お前、そいつは一体・・・」

「私のような得体の知れない存在を無視せず、心配してくれたお前なら大丈夫だろう。」

俺の質問を女は無視しながら話を続けた。

「だから頼む、主の事を・・・」

そして、有無を言わさず女の子を差し出して来た。俺はどうしたものかと悩んだものの、女の子を受け取った。その直後、女は地面に倒れる。

「おい!しっかりしろ!!」

「申し訳ありません、主はやて。最期まで、共に居る事ができなくて・・・」

俺は必死に呼びかけるが、女の粒子化の侵攻は加速し、ついに完全に消滅した。そして、その場に残ったのは十字架を模したアミュレットだけだった。



続く
 
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