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正義と悪徳の狭間で

作者:紅冬華
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原作前 編
ロアナプラ編
  原作前編 第1-R話 商談

 
前書き
お待たせしました。

10巻買いました、やっぱりロアナプラはああでないと(笑)

忙しくて話を書き出す時間と気力が…と、まあチマチマ書いていきます。

 

 
「はい、アンブレラ社です」
電話を取りそう名乗る
相手はホテルモスクワのボリスさんだった。

「Mr.ボリス、おはようございます。
はい、前金の確認ですね、少々お待ちください」

電話口でそう言いながら脇に用意してあったメモを確認する。

「詳細は後ほどお伝えいたしますが、
本日の打ち合わせ予定の品の総額は御発注いただいた時の金額から若干お安くなりまして、25万USドルです。
ですので当社の規定通り、5万ドルを頭金としていただきます。
はい、予定通り14時に御来社ですね、それではお待ちしております」
電話を切り、壁のホワイトボードにメモを貼る。勤務を初めて二週間にしては慣れたものだと思う。

「うん、問題ないわね」
隣で見ていたアイシャが言う。

私が雇われたその日に、二人でイエローフラッグに飲みに行き、
私がアンブレラに所属したと言う事実はそこであっと言うまに広まった。
(そしてアイシャがざるだという事も知った)

馬鹿みたいに飲んで、1日休みを挟んだ翌日…仕事の初日が半年毎の大口顧客へのカタログ(参考価格付き)配布の日だとかで、三合会、ホテルモスクワ、コーサノストラ、マニサレラカルテル、暴力教会に、武器貿易をしている中堅マフィア達とこの街の実力者達への営業に付き合うはめになった。

とにかくイエローフラッグからの噂とこの挨拶回りで私がアンブレラに所属した事はこの街に知れわたった。

そのさらに翌日から5日でアイシャに仕事を習い、今週はその確認作業だ。

営業と研修でアンブレラが一目おかれる理由が十二分によくわかった。
大手組織は自前のルートも持っているのだろうが、アンブレラが扱う武器の量は桁が違う。
ロアナプラ内部で唯一マフィア達の連絡会から武器の売買を公認されている暴力教会でさえ扱う品の半分はアンブレラが卸した品だ。
まあ、逆に残り半分、それもあれだけの多品目にわたる商品をアンブレラに対抗できる価格で調達できるヨランダ婆さんが異常とも言えるが。

「さ、そろそろお昼休みにしましょうか、少し早いけど準備があるからね」
「わかった、少し待って下さい」
パソコンの終了操作をしつつ、電話を操作して留守番電話の呼び出し時間を短くする。

ちなみに口調はもっとラフでいいと言われたのでラフなしゃべり方と言うのを練習中だ。
(罵り合いや喧嘩で使う様なしゃべり方や無愛想なしゃべり方やならできるが)
そう考えるとやはり私の母語は日本語なのだろう。

「車を出して表で待ってるわよ、戸締まりよろしくね」
アイシャがそういって部屋を出ていく

「了解,ボス」
そう返して足のナイフの固定を確認し、机の上に外してあった服の外につけるホルスターから服の下の隠しホルスターに銃を移す。
銃はあの日から愛用している型、ベレッタ92FSを二挺、グリップを交換しただけだが一応カスタム品だ。
さらにロッカーから一応、予備弾倉のポーチを取り出し装着する。
他は…いらないな、昼食を食べにカラシニコフやドラグノフなんて担いで行く奴はいない。

服装は二つ名にちなんだ深紅のワンピース、10種類位持っているが今日のは初仕事の時に着ていたお気に入りの一つだ。
このワンピースは銃を隠し持てる様にしてあるのだが、護衛の時は外にぶら下げていた方が良いので外付けホルスターも持っている。
…さて、行こう、上司を待たせるのは良くない。



屋台のパッタイ(焼きソバ)とココナッツミルクで昼食を済ませ、カオラーム(甘く蒸したもち米)を買って事務所に戻った。
電話番をしながらいくつかの書類を用意した後、武装の確認をし、軽く箒で床を掃いておく。
アイシャはいくつかの書類を読んで取引に備えているようだ。


車が三台、事務所の前に止まる音がした。しばらくすると扉がノックされる。
「どうぞ、開いています」
アイシャがそういって接待用のソファーから立ち上がると扉が開かれ、部下に先導されてバラライカさんがボリスさんと共に入室してきた。
私はアイシャの後ろで待機する。

「お邪魔するわよ、アイシャ」
「いらっしゃいませ、Miss バラライカ。お待ちしておりました、どうぞおかけください」
握手をして、二人は向かい合って座った。

「さて、早速なんだけど、見積もりの詳細を」
「ええ、では」
アイシャはそういって薄いファイルを卓上に開いた。
「まず、いつも通り、1枚目が見積書、2枚目以降が中古品の品質詳細書です。見積書に疑問等ございますか?」
「そうね…AK47が見積もりの想定額の範囲よりもかなり安くなっているようだけど?」
「ああ、それは質のいい中古品が大量入荷したので…まあ、詳しくは後程説明いたしますが品質はそちらの条件を満たしています」
「…アレね、貴方たちに本気でケンカ売ったお馬鹿さんたちからの…」
「ええ、戦利品で在庫が過多になりつつありまして…今回の品にどれだけ入ってるかは別ですが」

そーいえばそんな広報連絡が来てたな、中東方面から

「貴方たちが品質を保証してくれるなら問題ないわね、じゃあ続けて頂戴」
「はい、では中古改造漁船から…」

アイシャとバラライカさんが商談を進めるのに耳を傾けながらボリスさん達モスクワ側の護衛を観察する。

ボリスさんはおもに私に注意を払っているように思えるがどうもはっきりとはしない。
さらにその後ろで出入り口を固める二人はどちらかと言うと外側に注意を払っている…のかな。
アイシャやバラライカさんも商談を勧めつつ無防備とは程遠い雰囲気だし…
なんにせよ、格上(ボリスさん)からの視線は私に汗をかかせるに十分な重みをもっていた…

「OK、アイシャ問題ないわ。この見積り通りに発注してちょうだい、受け渡し場所もバラワンの倉庫のままで問題ないわ。軍曹」
「はっ」
ボリスさんが札束を5つ取り出し、机の上に並べる。
「確かに、5万ドルいただきました。後金の20万ドルは商品の配送完了後、1週間以内にお願いします」
「ええ、問題ないわ」
アイシャとバラライカさんが握手を交わす。

「所でアイシャ、今晩久しぶりに飲まない?」
「すいません、今晩からちょっと『出張』がありまして…」
アイシャが申し訳なさそうに答える。
「そう…じゃあ仕方ないわね、またの機会にみんなで飲みましょう。お仕事がんばってね」

そういってバララカイさん達は帰って行った。

「さ、少し休んで発注手続きしたら『出張』よ、レイン」
アイシャさんが新しくカップを出し、少しぬるくなった紅茶をカップに入れてくれた。
それに角砂糖とミルクを入れ、飲み干す。

そのあと、先程の商談の正式な発注をしてから再度身支度を整える。

バトルナイフとベレッタ92FSを二挺に予備弾倉…今度はカラシニコフもアイシャの車に持ち込んでおく。

戸締りをして夕食と朝食を調達しに屋台街に立ち寄り、私達は港へと向かった。
 
 

 
後書き
ロアナプラの武器流通事情

ロアナプラの武器が入って来るのは次の四つのルート

1、暴力教会を含めた各組織が生産地(武器工場や横流しなど)から運んでくる
2、各組織が、アンブレラが近くまで運んできたのを買って持ち込む
3、アンブレラが暴力教会に卸し、それを暴力教会が売る
4、ロアナプラ内でガンスミス(や刀匠)が作成または改造


3では暴力教会は大量購入(値引きあり)した物をバラで売ってます。
アンブレラの基本価格はどこの組織相手でも同じ値段ですが、
暴力教会はアンブレラから直買いなので他の組織より運び込む運送料分は確実に有利になります。
また、ヨランダ婆さんは高リスクな手段(危ないルート、量の増加)を使えば、アンブレラから仕入れている分も自前で仕入れられるのですが、
リスクに見あった値付けをするとかなり高くなる為に現状が続いています。

マフィア達も同じ感じです。
逆に言うとマフィアの武器工場が多い地域ではアンブレラが相対的に弱くなります。

アンブレラの武器工場?
まあ、連中魔法使い側ですから少しばかりズルもしてます。 
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