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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第39話:消せる落書き、消せない傷跡

(ロザリーヒル)
デスピサロSIDE

俺の体中を激痛が走る……その苦痛に目が覚めた。
辺りを見回すと直ぐにロザリーの不安そうな顔が目に入ってきた。
そして思い出す。何があったのかを……

「ロザリー……怪我は無いか?」
「はい……私にはありません。リュカさんが守ってくれましたから。そしてピサロ様の事も救って下さったんですよ!」
ポロポロと俺の上にルビーを落とすロザリー……もしかしたら俺が一番ロザリーを泣かせてるのかもしれない。

「そ、そうか……俺はあの人間に助けられたのか。不本意だが礼だけは言わねばな……」
そう言うと俺は、激痛に耐え上半身を起こした。
どうやらここはロザリーヒルの塔の部屋らしい。

「デスピサロ様! お気付きになりましたか……」
鎧を纏ってないので一瞬誰だか判らなかったが、ピサロナイトが近付き心配そうに声をかけてきた。
きっと連中の魔手から献身的にロザリーを守ってくれた結果だろう。

「済まぬピサロナイトよ……」
「いえ……私はもうピサロ様のナイトではございません。ロザリー様の友人ラピスです。どうかそうお呼び下さい」
何やら色々遭った様で、俺の部下を名乗る事に抵抗を感じているらしい。

「一体何が……」
そう尋ねると彼女はこれまでの事を説明し始めた。



「そうか……連中は元々ロザリーを探しに来たのでは無く、あの人間の女が目当てでやって来たのだな。ロザリーを連れ去ったのも、守る為であって何ら迫害はしてないと……」

化け物になった俺が生きている事と、ロザリーも本気で連中を擁護している事を考えると、ラピスが俺とソックリな男の虜になり、一方的に騙されているわけではない様だ。
いや……騙されてたのは俺の方だな。エビルプリーストに、まんまと操られていたのだから。

「ぎゃぁぁぁ!!」
自身の情けなさを痛感してると、外から何者かの悲鳴が聞こえてくる!
ラピスが即座に反応し、窓から外を確認する……そして軽く笑いながら俺の側まで戻ってきた。

「どうやら強欲な人間がロザリー様の情報を聞きつけ、この村に入ってきたようです……しかしリュカが撃退したらしく、ピサロ様が心配なさる必要はありません」
「そうか……外が騒がしいと思ったら、連中も一緒に居るのだな? では何時までも寝てるわけにはいかぬ。起きて礼くらいは言わねば……」

「あ、いや……もうちょっとお休みしてた方が宜しいかと……お体をお拭きしようと思ってましたので……ねぇ、ロザリー様」
「そ、そうですね……私が身体をお拭きしますので、寝てていただければ……」

二人とも俺の身体を心配してくれてる様で、懸命に寝かしつけようと試みる。だが……
「心配には及ばん。もう俺は大丈夫だから……」
そう言って立ち上がると俺にかかってた毛布がズリ落ち、全裸状態になってしまった。

ロザリーには兎も角、ラピスには失礼だと思い、慌てて股間を隠そうと視線を向けたのだが……
何やら妙な状態なのに気付き硬直する。何が妙かというと……
腹部に『ゾウさん パォ~ン!』と書いてあり、更にその下には、俺の○○○を象の鼻に見立てた落書きが書いてあった!

「な、何じゃこりゃぁ!?」
「あ、あの……リュカさんが……」
ロザリーが手を口に当て笑いを堪える様に告げると……

「私も止めたのですが……あまりに面白くて……」
ラピスまでも視線を逸らし笑いを堪えて報告してくる。
こんな女ではなかったのに……奴が彼女を変えたのか!?

「ふざけやがって、殺してやる!」
慌てて部屋を出ようとしたが、
「デスピサロ様……先ずは落書きを拭いて服を着てからの方が」
とラピスに忠告されたので、急いで汚れを落とし着替えた。

そして塔の外へ駆け出す!

デスピサロSIDE END



(ロザリーヒル)
ビアンカSIDE

「おい、ルビーの涙を流すエルフを出せぇ!」
ロザリーヒルへ舞い戻りデスピサロが起きるのを待ち1日経過した昼下がり。
村の中央付近でテーブル広げティータイムを楽しんでいたら、村の入り口付近から耳障りな声が聞こえてくる。

皆さん状況を瞬時に理解したので、トラブルメーカーでトラブルバスターのリュカを先頭に、声のする方へと向かう。
一応デスピサロを助けたと言う事を評価され、村の人々からは何も言われなくなったが、やっぱり連中の仲間と思われたくなかったので、私達(主にリュカ)が解決しようと乗り出したのよ。

ゾロゾロと一団が入り口に到着すると、そこには不細工な男共が14.5人屯っていた。
中には私が初めてこの時代へ来た時、ロザリーを犯そうとしてた馬鹿も居る。
と言うか、それがリーダー格で仲間を引き連れてきたみたいだ。

「あ、テメーはあん時に俺等の邪魔をした女じゃねーか! 今度こそルビーは渡してもらうぞ!」
嫌だなぁ……醜男は美人をしっかり記憶してる。
こういう時って美人は損よね。

「ビアンカの知り合い?」
何時もの優しい口調でリュカが問いかけてくる。
まぁ彼も答えは解ってるんだろうけど。

「さぁ? 醜男の顔は憶えられないから……つーかアイツ等兄弟でしょ! みんな同じように不細工よ。憶えられるわけ無いじゃない、あんな連中!」
きっとこれがリュカ家の人間として最も正しい回答だと思う。だってリュカが楽しそうに笑ってるもの。

「ふ、ふざけやがって……」
「あははははっ……まぁまぁ落ち着いて。妻が失礼な事を言ったね……本当の事を言ってしまったとはいえ夫として代わりに謝るよ、メンゴメンゴ」
全然謝罪する気のない謝罪に、醜男等も顔を真っ赤に激怒してる。うん、素敵よリュカ!

「ムカつく夫婦だ……ルビーを独占した上に!」
「え、ルビーが欲しかったの? 何だ……早く言ってくれれば良かったのに。妻が失礼な事実を言ってしまったお詫びに、彼女(ロザリー)が流したルビーを拾っといた物をあげるよ。ほれ、遠慮せず受け取れ」
そう言うとリュカは、拾っといたルビーを1個醜男リーダーの額に投げつける。

「ふざけるなよこの野郎! 今日俺は最強の仲間を連れてきてんだ……テメーをボコって、目の前で女房を犯しまくってやる! 犯し殺してからテメーを殺してやる!」
あ……コイツ自分の死刑執行書にサインした。
いや……死刑にされる方がマシかしら?

「うぐっ!?」
リュカと醜男リーダーとは4.5メートル離れてたのだけど、一瞬で間合いを詰め顔面を鷲掴みにするリュカ。
そして……

「黙ってルビー1個を持ち帰れば良いものを……」
とドスの効いた声で呟き手に力を込める。
「ぎゃぁぁぁ!!」「ベホマ」

リュカの凄い力で握りつぶされた顔面は、全てのパーツを中央に盛り上がる様に集約され固定する。
両目を力一杯閉じ口を精一杯尖らせた顔……それが先程まで人間的だが不細工顔をしてた男の今の顔だ。
きっと目を開ける事は二度と出来ないだろうし、口も開けられなくなったのだろう。
モゴモゴ懸命に何か言ってるが、何を言ってるのか理解できない。

それを見た仲間の醜男A・Bが、勢いよくリュカに襲いかかる。けど……
勿論アッサリ撃退されますわよ。えぇ、それはもうアッサリと。
むしろその後が……

醜男Aの右腕とBの左腕を、物凄い音で捻り曲げて固結びをする。
解る言ってる事? 人間の腕を強引に結んじゃってるのよ!
そして勿論ベホマで回復。回復と言っても、骨が曲がった状態で接着されるわけだから、あの二人は腕を切り落とさない限り離れられない。

「次は誰にしようかなぁ♪」
楽しそうに鼻歌を歌いながら残りの醜男達に視線を向けるリュカ。
流石に残りの連中は怯みまくりで脅えてる。
まぁこれで逃げてくれるだろうから、目的としては達成よね。

でも……私の夫はそんなに簡単な思考回路をしてなかった。
「よし……次は君と君だ!」
そう醜男C・Dを指差し素早く近付くと、今度は互いの右足を結びだした!

「お、まだ居るねぇ……じゃぁ次は、足と腕で結んじゃおっか!」
そう言って手近に居た醜男E・Fを捕まえ腕と足を掴み持ち上げる。
勿論宣言通り足と腕を結んで放り投げるリュカ。
その尋常じゃ無い行動と強さに残りの醜男等も慌てて逃げ出した。

だが……
「バギクロスぅ♪」
と、殺傷力の無いバギクロスで逃げる連中を空高く舞上げ、自分の側へ落下させる。
可愛そうに……顔が醜いのだから心だけでも綺麗に生きれば良かったのに……

「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!! もう二度とルビーを狙いませんから、どうか許して下さい!」
「う~ん……ダメぇ~。きっと口だけだから信用できない。もっと仲間を引き連れて来るだろうから、今のうちに全員結んじゃう!」

「そ、そんな……本当にもうしません! 二度と悪い事はしませんから、どうか許して下さい!!」
「え~……う~ん……やっぱダメぇ~! お前等はやらなくても、お前等からルビーの涙を流すエルフの事を聞いた他の奴等が、自分なら誰にも負けないと根拠の無い自信を纏ってやって来る可能性があるから、お前等は全員結んじゃう! そうすれば“世の中には(すげ)ー酷い事をする奴が居る”って世界に知れ渡るから、馬鹿な事を考える奴も減るはず」

「い、言いません! もう誰にも、ルビーの事も……この村の事も言いません!」
なるほど……今後に現れるかもしれない馬鹿の数を減らすのが目的だったのね。
流石リュカね……格好いいわぁ。

「う~ん……ビアンカはどう思う? 許しちゃって大丈夫かなぁ?」
突如話を振られて一瞬慌てたけど、
「そうね……取り敢えずは許しても大丈夫じゃない? まぁこのゴミ(醜男)共は持ち帰ってもらいますけど」
と、自分で歩けなくなった連中を連れ帰る様に指示する。

「あ、ありがとうございます!」
私の言葉を撤回される事を恐れた醜男共は、慌てて被害醜男を抱え逃げ出した。
何か私が全てを取り仕切ってるみたいになっちゃたけど……それも狙いかしら?
まぁ連中は全員逃げちゃったから良いか。

だが私の愛するトラブルメーカの下へは、続々と問題が沸き起こる。
それは……
「キサマ、殺してやる!」
と、絶叫し塔から出てきたデスピサロの事なんだけどね。

ビアンカSIDE END



 
 

 
後書き
良い子は真似しない様に。

でも「ゾウさん パォ~ン!」はOKだよ(笑) 
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