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八神 颯介

作者:金林檎
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エリオ・モンディアル

今日は偶々ソーヤと颯介と健勝が集まってトランプをして遊んでいた、勿論ババ抜き

颯介「そう言えばソーヤ、あれからどれだけ魔力が戻った…」

ソーヤ「ん~、九割ぐらいですかね…颯介さんが後先考えず解放するからこうなったんですよ…」

健勝「それに関しては、颯介が悪いな…」

颯介「はいはい、悪~ございました。一抜けた!!」

颯介はスペードのKで一番乗りで抜けた、颯介の予想ではソーヤがジョーカーを持っているだろう

健勝「俺は全回復したが、あんなのが続くと魔力を全て取られちまう…二抜け…」

ソーヤ「ん~、颯介さんたち強すぎ。誰だ!!」

この中の全員はだれかが見ているのなど分かっている、それにサーチが得意な健勝はそいつがどこにいるかもわかる

紫「あら気付かれてもまいましたね…貴殿方にあなみが会ってきました」

颯介「…頼み…」

颯介とソーヤ、健勝は警戒を怠らない、颯介はナイフを隠し持ちソーヤは小型槍を隠し持ち健勝はマグナムを隠しっている

紫「そう、白銀の剣神と謳われた 八神 颯介さんと蒼の槍神 ソーヤ・ナカジマさんと漆黒の銃神 八神 健勝さんにね…」

それを知ってるのは極僅かな者だけだ、颯介達は紫にナイフやらをかまえる

紫「そんな物騒なもの向けないでください、頼みが会ってきただけですから」

颯介達は武器を下ろし、紫の話を聞く

紫「近頃、外の世界で幻想卿の妖怪が暴れている…事件が多発しているのです…」

颯介「それを俺達に解決させる気か…」

そして、紫は褒美を出すといい。スキマから極上と書かれた酒を取り出す

紫「褒美にこの酒をあげますから、解決にいってはくれませんか…」

颯介「是非いこう、すぐいこう…」

酒好きの颯介達はすぐ解決させると言う想いで、現界にいった

現界に着いた颯介達が見た風景は、吹雪だった…健勝は魔力サーチを行い近くに研究所があることがわかる

健勝「近くに研究所がある、吹雪がやむまでそこで待とう!」

そして颯介達は研究所入り扉を開けるとそこには―――いくつもの生体ポットが存在した

颯介「…腐ってやがる!!」

その光景を昔見たことがある、颯介は十年 前と全く同じ光景に吐き気をも要していた

健勝「これはなんだ…」

先に進んでいると、鉄の巨体な扉が見つかる…その中には――人体実験を受けている赤毛の少年がいた

颯介「忠義に生きる陽光の剣!」

颯介は少年を救うために忠義に生きる陽光の剣を抜刀し扉を切り裂く

そこに僕はいた。

ある日突然父や母と別れさせられ、気づいたらこ こにいた。 そこで僕は最悪の毎日を送らされていた。

朝は冷水を浴びせられて強制的に起こされ、朝ご 飯は当然与えられなかった。 自分の名前では呼ばれず、訳の分からない番号や 人形、ゴミとまで呼ばれていた。 実験と称して体中に電撃を受け、切り刻まれ、殴 られ、蹴られる。 お風呂なんてなく、トイレは牢獄にしか見えない 自室の隅にある簡易式のみ。 男の人からは気味の悪いものを見る目で見られ、 女の人からは変な目を向けられる。 そしてクタクタになった体を引き摺られて部屋に 戻され、ようやく一日の食事を与えられる。 ペースト状の味がしない、栄養があるのかも疑わ しい餌。 それを生きるために、毎日貪るように食べ続け た。

苦しみ、悲しみ、嘆いた。 なんでいきなりこんなことになったんだ。 父と母は、なぜ助けに来てくれないのか。 僕は…、どうして…。 そう思うと、僕の心はどんどん荒んでいった。

だから、最初は全く信じられなかった。 けたたましいサイレンが突然鳴り響き、僕はいつ もより早く目が覚めた。

なんだろう、うるさいな。 今日もどうせ「痛い事」をしてくるんだ。 休んでる時間くらい、妨げるな。

そう思ってもう一度目を閉じると、外に気配を感 じた。 誰だかは分からない。 いつも感じる嫌な視線じゃない。

(誰だろう…? ………、まぁ、誰でもいいか。 どうせすることは同じなんだ)

そう思って、僕は目を閉じたまま動かないでい た。

次に僕が感じたのは浮遊感だ。 僕は外にいた誰かに背負われ、運ばれている。 いつものように引きずるんじゃない。 労わるように、優しく運ばれている。

おかしい、こんなの僕が受けるものじゃない。 なんだろう、何が起きてるんだろう。 僕は誰が運んでいるのか確かめるために目を開け ようとしたが、すぐにやめた。 昔の事を思い出したんだ。

(…あぁ、前やったやつか。 二度も効くと思っ てるのかな…)

数か月前、地獄のような環境の中で、唯一僕に対 して優しくしてくれる人がいた。 柔和な笑みを浮かべて、優しく汚れた僕を洗って 清めてくれた人。 僕はその人を簡単に信用した。 この人がいれば、この地獄も乗り越えられる。 そう思った。

しかし、数日経ったある日。 いつものように僕は暴行を受けていた時、あの優 しかった人が紛れていた。 僕はその人に助けを求め、手を伸ばした。 あの人なら助けてくれる、そう思った。

だがその人は、僕に優しく微笑みかけると、伸ば した僕の手を踏み潰した。

「ひ、ぎ…!? なん、でぇ…?」

「はぁ? あんたのその顔が見たかったからに決 まってるでしょ! ハハァッ! アンタ、今の顔 爆笑ものだわ! ウザくってキモくって…、最 悪!!」

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何 度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度 も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も 何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

僕は手を踏み潰され、タバコを押し付けられ、ま たナイフで切られた。

それが、僕が与えられた「信じる」苦痛だった。

あれは、もう感じたくない。 だから、人を信じなくなった。 何をされても、裏があると思うようにして、一切 の感情を消した。 人形と呼ばれるのも、ソレが原因だ。 笑うことも、苦しむことも、泣くこともなく、無 表情であり続ける。 それが、今の僕だった。

だから、今僕を背負っている人も、きっと僕を貶 めようとしてるんだと思った。 優しくして安心させて、一気に絶望させる気だ。 だから、眼を開けなかった。 話しかけなかった。 それが、僕のできる抵抗だったから。

でも、その後起きたことは想像を超えるものだっ た。 いきなりの轟音。 ビックリして後ろを見ると、かつて見た施設が爆 発していた。 僕がさっきまでいたところだった。

そう、僕は外に出ていたんだ。

(なん、で…?)

信じられなった。 もう一生出られないと思って、諦めていた。 二度と見られないと思っていた太陽。 ソレが今、僕の目の前にいた。

颯介「もう、大丈夫だ…」

僕を背負う人は、そう言ってきた。 透き通った綺麗な声。 邪気しかなかった研究所の人たちとは、全く違 う。

でも、信じられなかった。

「…今度は、何するの…?」

「え…?」

その人は、僕の質問に困っているようだった。

「殴るの? 蹴るの? 切るの? 焼くの? お 薬を飲ませるの? 電気を通されるの? 潰され るの? ご飯を抜くの? 服を取るの?」

「…」

「分かってるよ。 喜ばせて一気に叩き落とすん でしょ? 前にやったんだから、こんなことして も無駄だよ。 お家爆発させて、大丈夫だった の?」

颯介「お前の家はおそこじゃない…」

「だから、そんな事言わなくてもいいよ。 … あぁ、そうか。 違う研究所に移す、って意味で しょ。 お見通しだよ、そんなこと」

自分でもおかしいと思うくらいに饒舌だった。 人形と言われる自分が、ここまで喋るのは久しぶ りだった。 変な形だったけど、なぜかこの人には心が許せた んだ。 それと同時に、今までの感情が目からあふれてい た。

「あぁ、もうお日様は見れないのか。 じゃあ、 今のうちに一杯見とかないと…。 いいよね、ど うせ視力が落ちても無理やり回復されるんだか ら…」

颯介「…お前は…」

「…なんだよ、それすらダメなの…? ……… だったら、だったら何すればいいんだよ!」

颯介「これから、していけばいいんだ「うるさい! 大嘘吐きめ!!」」

貯め込んでいたモノが、一気に流れ出た。

「ずっとずっとずっと痛い事をして! 苦しい事 をして! 楽しい事なんてなんにもできなかった んだよ! 一回くらいの我儘もダメなのかよ! なんなんだよお前たちは! いきなり現れて僕を 連れ出して、あんなところに押し込んで! 僕 だって、僕だってやりたいことは一杯あるん だ!」

涙があふれ、嗚咽が止まらない。

「走りたい、遊びたい、いろんなことをして、笑 いたい! それを、それを奪ったのに! 僕 は…、僕はどうしたらいいんだ…」

とうとう僕は喋れなくなり、眼を抑える。 するとその人は、僕を降ろしてまっすぐ見てき た。 あぁ、多分殴られるんだろうな…。 僕はそう思って、早く泣き止もうとした。

だけど、僕が感じたのは温もりだった。

「………え?」

颯介「…君は…、昔の俺と同じだ…。 苦しんで、悲 しんで…、報われなかった子だ…。 だから、お前は今から一杯幸せになるんだ。 お前には、そ の権利がある」

そう言うとその人は、僕から離れて笑っていた。

その時、初めて僕はその人を見た。
真っ黒なマント、真っ黒な服。 真っ黒な髪に、真っ赤な瞳。 黒づくめのその人は、太陽の光を受けて輝いて見 えた。 研究所の人たちの悪意が…、その人にはなかっ た。

「…貴方…は…?」

颯介「…颯介・U・スカーレット。 キミ は?」

颯介…、それがその人の名前だった。

エリオ「…エリオ…、モンディアルです…」

颯介「! そっか、お前が…。 …やっぱりあの屑ど も、研究を続けていたのか…」

そう言って颯介さんは僕の頭を優しく撫でる と、歩き始めた。

颯介「ついこい。 お前の足で、こっちにくるんだ」

その言葉は優しくって、温かかった。

エリオ「…はい!」

その時、僕は数年ぶりに心の底から声を発した



次回予告

心を開いたエリオ、颯介はエリオにあることを告げる

次回 養子 
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