色々と変なIS学園物語

第01話、始まりま～す
 

4月の初旬
世界で唯一ISを学ぶことができる学園にも新たな学生を迎える入学式が行われた。

式は目立ったハプニングも無く無事終了。
今は各々の生徒が割り当てられたクラスへと移動し、担任の先生が来るまで思い思いに雑談に興じている。
その話題のタネはというと、昨日の晩には無かったあるモノであった。

「すげー、一日で出来るとは思わなかったッス」
「秀吉の一夜城ならず一夜プレハブね」
「フア～、お陰で寝不足だよ～」

彼女らが見下ろす視線の先には1つのプレハブ小屋が立っていた。
そこには本年度から入学した男子生徒（30名ほど）が使うことになっている。

昨日の晩(あれから)、一部の教員（真っ先に逃げようとした）を巻きみ徹夜で作業を進めた結果、なんとか完成することができたようだ。
その為、彼女らの目元にはうっすらと隈ができている。

「で、俺らが入学した時に言われた『男はプレハブ小屋で十分よ!!』が実現されたんだが…どうよクラ」

黒い髪の女性“ダリル・ケイシー”がこの面子の中で唯一の男性“クラウン・アズベルト（偽名）”へと声をかける。

「…なんとも言えない微妙な感じ」

彼がこの学園に入学したばかりの頃、一部の女生徒に今のような発言をされたことがあった。
言われた当の本人は当時のことを思い出し、自らの言葉の通り微妙な表情を浮かべている。

因みに、聞き耳を立てていた何名かが気まずい顔をしてたりしたがそこも割合とする。

「ん～？　フォっちん何を持ってるの？」
「今ポケットあさってたら出てきたッス」

金髪のチb―「ちっちゃくないッス!!」…“フォルテ・サファイア”が取りだしたモノを不思議そうに尋ねる紅髪の少女、“マナ・イラストレイシャ”

「ネジ…いやボルトか？　なんでそんなモノが」
「…あのさ、それ凄く見覚えがあるんだけど…。具体的には昨日の晩から今朝方にかけて」
「ハハ、やめてくれよクラ。冗談キツイって………あれ、何でナットがここに？」
「そうだよ～。　……あれ？　ボクあそこの部分ちゃんと締めたっけ？」

次々上がっていく欠陥に全員の頬が徐々に引きつっていくのがわかる。

「っちょっと貴女たち、何重要な部品をつけ忘れt――[ﾎﾟﾛｯ]――る……の？」

全員の不注意に対し声を荒げる眼鏡をかけた少女、“布仏虚”であったが、ふとポケットから小さなナニかがおちる。

[ｺﾝ、ｺﾛﾛﾛﾛ…]

全員の視線が床に落ち転げまわるナニか(ボルト)を追う。


[ｺﾂﾝ!]


「「「「………」」」」


沈黙が場を支配した。


「…ｺﾎﾝ、さ、授業が始まりますから、そろそろ席に戻りましょう」


「「「「そうだね～」」」」」

どうやら、見なかったことにするようだ。




【オマケ】

「織斑先生、どうかされたんですか？　考える人のポーズなんてして」
「ああ、山田先生。いえ、何かを忘れている気がして」
「そろそろSHRが始まりますよ？」
「ええ、いま行きます」
「それにしても昨日は大変でしたね～。お陰さまで寝不足です…ふぁ～」
「しゃんとしてください山田先生。あの子たちも条件は同じなのだから教師である私たちはそれ以上にしっかりしなければ」
「そ、そうですよね。私たちがしっかりしないと!!」
「では、そろそろクラスに行きましょう(ｶﾞﾀｯ」
「ハイ！(ｶﾞﾀｯ」

[[ﾎﾟﾛｯ]]

「「？」」

[ｺﾝ、ｺﾛﾛﾛﾛ………ｺﾂﾝ!]

「………さぁ、山田先生。クラスへと行こう!!　可愛い生徒たちが首を長くしてまってる　Z ☆ E !!」
「イェッサーー!!!　どんな問題児でもドンっときやがれです」

[[ｼｭﾀﾀﾀﾀﾀｯ]]


後に一部始終を目撃していた教員はこう語る

「二人にあのキャラは似合わない」

 

【有っても無くても割とどうでもいい補足】
◆一夜プレハブ
文字通り一晩で組み上げた新入生（男子）用の教室。
所々部品が足りない欠陥住宅もいいところ。
作業に取り掛かる前に一部の教員…特に真っ先に逃げようとした元代表と候補生を捕まえたらしい。

◆マナ・イラストレイシャ
いつも元気いっぱいな女の子
紅色の髪で一人称はボク
あだ名のセンスが悪い

◆クラウン・アズベルト
思いっきり偽名
灰色の髪をした男性で過去に色々とあった様子
休みの日はバイト三昧

◆フォルテ・サファイア
金髪のチビ

◆ダリル・ケイシー
黒髪の長身

◆布仏虚
皆のストッパー



「あれ？　ねぇ作者、私は？」
「え、だって君まだ名乗ってないじゃん」
「…そういえばそうね。私h――「それではさようなら～」――ちょっと!!!???」

[ﾌﾞﾂﾝ――]

END