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真剣恋にチート転生者あらわる!?

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第19話

 
前書き
更新しました。寝不足で眠いです 

 
悠斗side




フランク中将の自宅で行われた、俺の送別会は壮大なものだった。たった1日で、フランク中将は国内の有力者を始め諸外国の有力者まで呼び寄せて盛大なダンスパーティーを開いてくれたのだ。流石にやり過ぎだとは思ったが、善意なので黙っていた。フランク中将の自宅がそもそも城だからこそ、ダンスホールやパーティーホールがあるから出来た壮大な送別会と言うなのパーティーだった。クリスのパーティードレス姿を見たときは、流石にお嬢様だなと感心したな。ピンク色のパーティードレスを着た姿は見違える程だったからな。マルギッテは会場内の警備を担当していたから、パーティードレス姿ではなかった。他にも傭兵部隊のヤン中尉は会場の外側警護にあたっていた。セレンだけは何故か黒色のパーティードレスを着て、パーティーに参加していたな。
まあ、俺は蝶ネクタイを着けたパーティースーツを着ていたけどな。
まあ、変わった事はこれと言って無かったな。
パーティーでは、ドイツ軍の上級将校達や有力者達に別れの挨拶をしたりしたな。世話になった猟犬部隊の隊員や傭兵部隊の隊員にも、別れの挨拶は済ませた。リューベックの駐屯基地の隊員達にも別れの挨拶は済ませてある。 俺はフランク中将の自宅で、借りていた部屋で荷物を纏めて部屋を出た。 廊下を歩いて正面玄関に向かう。警備を担当している軍人達が会うたびに敬礼をしてくる。俺も彼等に返礼して歩みを進める。

(思えば、ここに来たのが春だったな。今はもう冬だ。季節が過ぎるのは早いものだな。久しぶりにマルギッテ、クリス、セレンの顔を見れたし、ヤン中尉やカニス、ロイの様な新しい仲間も増えたな)

廊下を歩きながら、様々な事を思い出す。マルギッテとの訓練。セレンとの昼食。クリスとの稽古。フランク中将のマルギッテとクリスを嫁にもらってくれ発言など、様々な事があった。

(久しぶりに最前線に出たら、力の加減に苦労したりしたな)

中東の春作戦では、大暴れしたしたな。また、そこで新たな戦友達に出会う事が出来た。GAのローディー先生。有澤重工社長の有澤隆文社長。俺が助けたメイ・グリンフィールド。傭兵部隊の隊長ヤン中尉。女性大好きロイ。ビックマウスのカニス。重機関銃のエイ。皆とは首都解放の日の宴で酒を酌み交わした。有澤社長とは、温泉の話でかなり盛り上がったのを覚えている。長い廊下を抜けて、正面玄関のドアを開く。外は寒い風が吹いていた。俺は真っ直ぐ歩いて行く。正門にリムジンが停車していた。リムジンの側にはマルギッテが軍服姿で待っていた。
俺はマルギッテの側まで歩いて行く。

「マルギッテか。ご苦労様。見送りか?」

「はい。フランク閣下からの指示です。空港まで送ります。車に乗ってください」

「ありがとう。じゃあ、空港まで乗せてもらうよ」
俺はリムジンの後部座席に乗る。反対側からマルギッテが乗車した。正面を見ると、軍服姿のフランク中将と私服姿のクリスがいた。
リムジンが発車した。

「フランク中将。今日は出勤日の筈ですが?どうして、俺の見送りに来てるのですか?」

「ん?仕事か?そんなものは無い!大体、悠斗君が日本に帰国するのだ。見送りに行かないのは失礼に値する」

「そ、そこまで大層な事じゃないんですが」

堂々と言い張るフランク中将。俺からすれば、働いた方が良いと思うのだがな。俺は苦笑いを浮かべつつ、フランク中将の隣に座っているクリスを見る。クリスも俺の視線に気がついた様で、俺に視線を合わせてきた。

「クリスは学校はどうした?今日は平日だぞ?」

「大丈夫です。今日は創立記念日なので学校はお休みです」

元気に言いきるクリス。その姿を見て、フランク中将はハンカチで涙を拭いていた。どんな親バカですか!?

「そうか。クリスも随分レイピアの腕前が良くなったからな。俺が居なくなっても、訓練をサボるなよ?」

「はい!頑張ります!いつか必ず、悠斗兄様に一撃を入れてみせます!」

「そうか。まあ、クリスの腕前ならそう遠くない日には、俺に一撃を入れられる様になるかもな」

俺は自身の訓練の合間に、クリスの訓練をしてやった。無論、マルギッテも一緒に訓練していた。クリスのレイピアは真っ直ぐ、正確無比に当ててくる。よく言えば、芯の通った一撃。悪く言えば単調な攻撃だ。まあ、クリス事態が、卑怯な戦いを嫌がるからそれが剣にも現れてる。それ事態を否定する訳じゃないが、一定の実力を持つ相手だとクリスは勝てなくなってしまう。まあ、だからこそ俺が地獄のような訓練をしてやったんだ。
訓練に参加し続けたのは、クリスの意思だった。 おかげで、今のクリスならば生半可な相手に後れを取ることは無い。

(まあ、俺に一撃を入れたとしても、二撃を入れさせてやらないけどな)

俺に連続して攻撃をヒットさせる事が出来るのは、師匠か兄弟子位なものだろう。
それから俺達は、リムジンの中でのんびりとお喋りをしながら、空港に向かうのだった。




悠斗sideout



クリスside



空港に到着した私達は、空港職員に案内されて別の出発ロビーに来ていた。出発ロビーにある待合室には誰1人居ない。
窓から見える飛行機の垂直尾翼には、GAと書かれたロゴが描かれていた。胴体にはサンシャイン(GAマン)が描かれていた。

「あれは!アクアビットマンに登場する、サンシャイン(GAマン)じゃないか!嬉しいな!まさか、アクアビットマンに登場する、他の企業戦士が飛行機に描かれているなんて!」

私は、窓の側まで歩いて行く。よく見ると、サンシャイン(GAマン)の書かれている方とは反対側に、アクアビットマンが描かれていたのだ。

「どうしたクリス?何か、珍しい物でも・・・有ったな。アクアビットマンにGAマンか」

「はい!悠斗兄様!嬉しいな~。まさか、飛行機にアクアビットマンが描かれているなんて!」

大好きなアニメのアクアビットマンが飛行機に描かれていた事で、私は浮かれてしまった。隣に立っている悠斗兄様を見ると、何時の間にか側まで来ていた父様達と話をしていた。

「今回飛行機を用意したのは、フランク中将ではないのですか?」

「ああ。今回は私ではなく、GAグループ側が用意してくれたんだ。何でも、ドイツに居た傭兵3名が日本に行くので、そのついでに悠斗君も乗せていってくれるそうだ」

「また、珍しいですね。それで、日本に行く傭兵3名は誰なんですか?」

「ああ。実は・・・・「悠斗!」どうやら来たようだね」

後ろから声が聞こえたので、振り返るとそこにはガッシリした体格の良い男と、スーツ姿のダンディーな男性と、緑色のロングヘアーで頭にGAと書かれたロゴ入りの帽子をかぶり、長袖のパーカーの前を中程まで閉めて、溢れんばかりの胸を強調した格好で、ジーンズを履いている美女がいた。私は自身の胸と見比べる。
残念ながら、私の胸では相手にすらならない。マルさんですら、「負けました」と言っているのが聞こえた位だ。私とマルさんが敗北した事実に、ショックを受けていると、美女が駆け出して此方に向かって来たかと思ったら、悠斗兄様に正面から抱き付いた。悠斗兄様もキッチリと美女を受け止めた。

「悠斗!久しぶり!元気にしてた?会いたかったんだよ。悠斗はなかなか連絡くれなかったから」

「メイ!久しぶりだな。中東以来だな。元気そうで何よりだな」

「もう!ちゃんと連絡してよね。悠斗と私の相性は良いんだから」

メイと呼ばれた美女は悠斗兄様の頬に手を当てて、可愛らしい笑みを浮かべる。悠斗兄様も、笑みを浮かべながらメイと呼ばれた美女を、自身からそっと引き剥がした。

「メイ・グリンフィールドですか。中東以来ですね。まさか、ドイツに居るとは思いませんでした」

「マルギッテ准尉ですか。お久しぶりですね。私達は、ドイツで有澤社長の雷電の調整に付き合っていましたので、たまたまドイツにいただけです」

マルさんとメイさんが笑いながら話す。二人とも口は笑っているが、眼は完全に笑っていなかった。二人が視線で火花を散らしていると、二人の男性も此方にやって来た。

「おいおい。メイ。いい加減にしときな。出発の時間が迫っているんだ。飛行機に乗るぞ」

「え!嘘!ローディー先生!勘弁してください!?」

体格の良い男性がメイさんの首根っこを掴んで、宙吊りにして搭乗口に向かって歩いて行く。
スーツ姿のダンディーな男性も、二人の後を追って歩いて行く。
悠斗兄様が私達と向かい合う。

「フランク中将!短い間でしたがお世話になりました!俺は再び試練のため日本に戻りますが、俺の力が必要になったら何時でも呼んでください。必ずや、馳せ参じてみせます!」

「うむ。悠斗君。元気でな。もし、悠斗君の力が必要になる事があったら、その時は是非とも力を貸してくれたまえ。悠斗君の試練が無事に成功する事を願っておこう」

悠斗君と父様が握手を交わす。マルさんと悠斗兄様が話す。

「マルギッテも元気でな。俺以外の相手に負けるなよ」

「当たり前です。私が、悠斗以外の相手に後れを取ることなどありません。悠斗も日本で試練を頑張ってください。私は応援しています。お元気で」

「ありがとう。マルギッテも元気でな」

悠斗兄様とマルさんが握手を交わす。ほんのりとマルさんの頬が紅くなっていた。最後に悠斗兄様と私が向き合う。

「クリスも元気でな。もし、日本に来ることがあったら連絡してくれ。案内してやるからな」

「ありがとうございます!悠斗兄様も試練を頑張ってください!」

「おう!ありがとう。じゃあ、元気でな。レイピアの訓練は確りしておけよ。そうじゃないと、俺に一撃を入れる事は出来ないからな」

悠斗兄様が右手を差し出す。私も右手を差し出し握手を交わす。
悠斗兄様のゴツゴツした男性らしい感触が、私の手に伝わる。私との握手を終えた悠斗兄様がゲートを潜り、飛行機の入口に向かって歩いて行く。

「試練を頑張って乗り越えてください!悠斗兄様~!」

私は大きな声をだして悠斗兄様を応援する。悠斗兄様は此方に背を向けたまま、右手を上に上げて、ガッツポーズをしてくれた。悠斗兄様の背中が見えなくなる。私達は窓の外にあるジャンボジェット機を見る。機体がゆっくりと移動して、滑走路を走って行く。やがてジャンボジェット機は大空へと旅立って行った。

「悠斗君が行ったな。クリス。私達も帰ろう」

「はい。お父様」

「寂しいですか?お嬢様?」

「うん。少しだけ寂しいな。でも、私も負けていられない!悠斗兄様が頑張っているのだ、私も剣の腕を磨かなくちゃ!」

私がそう言うと。マルさんは優しく微笑んでくれた。隣から泣き声が聞こえてくる。

「うう~。クリス!よくぞ言った!流石は私の娘だ!そこまで成長してくれて、私は嬉しいぞ!!」

「お、お父様!?泣かないでください!」

「おお!すまない!クリス!」

私はハンカチを取り出し、父様の涙を拭き取る。 父様が泣き止んでくださった。

「ありがとうクリス。歓喜のあまり、少々取り乱してしまった」

「いえ。大丈夫です。お父様」

「そうか。さて、クリス。実は私にいい考えがあるのだが、聞いてみたくはないか?」

「良い考えですか?」

「フランク閣下?どう言った考えなのでしょうか?」

私とマルさんは首を傾げる。父様は自身の満々な表情をしている。
その後、父様の考えを聞いた私とマルさんは、非情に驚く事になるのだった。



クリスsideout



ローディー先生side




ドイツにて有澤社長の雷電の調整を終えた俺達は、GA社が用意した専用のジャンボジェット機に乗って日本を目指している。今は、飛行機のファーストクラスの席に座りのんびり寛いでいる。
右隣に座る有澤隆文社長は、ノートパソコンを使って仕事をしている。何でも、有澤隆文社長じゃないと判断出来ない内容の仕事が来たそうだ。まあ、社長がそもそも戦車に乗って、戦争に出てる時点でおかしいのだが、今さらなので特にツッコむ事は無い。俺は左側の方を見る。1つ席を開けてメイと悠斗がお喋りをしていた。

「ねえ、悠斗」

「うん?なんだい?」

「悠斗は日本に帰って何をするの?」

「春から学生をするんだ」

「え!?悠斗ってまだ学生だったの!?私と同じ位だと思ってたのに!?」

「いや、年は21歳だぞ?学生をするには理由がある。俺が仕えている九鬼家の当主、九鬼帝様より与えられた試練だからだ」

悠斗とメイは楽しそうに話している。悠斗が学生になるとか話ている。

(まさか、リボン付きの死神が日本に戻って学生をするなんてな。良い戦士に学生をさせるとわな。 九鬼帝はどんな人物なのやら)

九鬼家。世界に名高い名門財閥の1つだ。規模で言えば、GAグループ、インテリオル・ユニオングループ、オーメル・サイエンスグループ等の、世界的な企業と肩を並べるほどの企業だ。今や、世界ナンバー1に最も近いとされる財閥だ。
世界経済に最も影響力を持っている企業だ。
そんな、世界規模の企業が抱えている専属侍従隊に属している悠斗の方が遥かに凄い人物なのだ。

(不動悠斗。たった1人で、アメリカ軍に匹敵すると言われた伝説の傭兵。 世界のミリタリーバランスを、容易にひっくり返す事が出来る男か)

チラリとメイと悠斗を見る。メイが悠斗の腕に抱き付いていた。悠斗は苦笑いしながらも、メイを振りほどこうとはしない。

(まあ、見た目はただの優男だが、戦場で身に纏うオーラは半端じゃ無かったしな)

今、思い出しても身の毛がよだつ程だ。殺気だけで人を殺す姿を見ていて感じたのは、今の俺では不動悠斗に勝てないと言う結果だった。

(まあ、味方であれば頼もしいが敵に回せば、決して勝てぬ相手だからな)

本当に敵に回らなくて良かったとな。等と考えながら暇なので、飛行機に設置されている大型テレビの電源を入れる。テレビ画面に映像が映し出される。青い丸みを帯びた装甲のヒーローが映し出さた。

『劇場番映画、企業戦士アクアビットマン!ブレイク・ザ・ワールド!世界を越えたコジマ!
あの、テレビアニメ企業戦士アクアビットマンが遂に映画化!
今日はその、企業戦士アクアビットマンの予告フィルムを公開します!』

テレビのアナウンサーが期待の映画情報を話す。 俺は欠伸をしながら、アナウンサーの話を聞く。

『今回の新公開映像をどうぞ!』

アナウンサーから映像が切り替わり、汚れた大地に命を掛けて戦っている人々が映し出される。

『企業戦士アクアビットマン!ブレイク・ザ・ワールド!世界を越えたコジマ!正義の味方アクアビットマン達は、コジマ粒子の生みの親コジマ博士に呼ばれて、ある研究所に集まっていた。そこで、コジマ博士からある装置を装着される。その、装置はコジマリアクター。コジマ粒子に反応して、コジマ粒子の毒性を無効化してくれると言う、ありがたい装着だった。これを装備したアクアビットマン達、企業戦士達はいくら戦っても環境汚染をしなくて済む体に生まれ変わったのだ。
そして、生まれ変わったアクアビットマン達はコジマ博士が完成させた次元連結システムにより、違う世界を救いに行くのであった。』

「メイ。アクアビットマンの劇場番予告だ。少しだけ此方を見させてくれないか?」

「あ!私も見る!私もDVDに焼いて欠かさず見てるのよ!」

悠斗とメイが話すのを止めて、テレビを見る。何時の間にか、有澤隆文社長までノートパソコンを閉じて、テレビ画面を見ていた。機内にテレビの音が響く。

『アクアビットマン達が行った世界は、地球が汚染された世界で僅かに人が暮らせる土地を、奪い合いながら生きる世界だった。代表と呼ばれる地上を制圧している者対レジスタンス。レジスタンスは反抗作戦が失敗して、大損害を被りリーダーを殺害されて、地下へと逃げるしか無かった。それから1年が過ぎた。レジスタンスは最後の戦いを仕掛けるために、大規模な作戦行動を行っていた。シティの防衛部隊と交戦している1体のノーマルACが、敵に囲まれて奮起している時だった。突然空から、企業戦士達が現れたのだ!そして、彼等レジスタンスの新しいリーダーである少女は、時空を越えた企業戦士達に助けを求めた!
助けを求められた以上、正義の味方企業戦士達は黙っちゃいない!シティを牛耳る悪の代表を叩き潰す戦いが今、始まる! 企業戦士アクアビットマン!ブレイク・ザ・ワールド!世界を越えたコジマ!来年春堂々公開予定!』

俺は缶ビールを開けて飲む。ビールの炭酸が弾けて、喉を潤して行く。

(へぇ。こんな映画が有るのか。アクアビットマンは知らないが、なかなか面白そうな内容だな)

缶ビール片手にテレビを見る。チラリと両サイドに眼をやると、社長はお茶を飲みながらテレビ画面を見ている。メイと悠斗はジュースを飲みながら、テレビに集中している。アクアビットマンの予告が終わり、CMに切り替わったると再び有澤社長はノートパソコンを開いて仕事を再開した。

「劇場番アクアビットマンか。来年が楽しみだな」

「そうね!アクアビットマンは凄く面白いのよね。悠斗はアクアビットマンに登場する、企業戦士は誰が一番好み?」

「俺か?俺はGAマンと有澤マンかな。やっぱり、重装甲は格好いいよな。有澤マンのガチタンはロマンだよな」

「ふふ。やっぱり、悠斗と私は相性が良いのね。私もGAマンが好きなのよ。あの重装甲で、アクアビットマンの盾になる姿は格好いいのよね。なんて言うのかな、味方を守る為には自身が傷つく事なんて気にしない、やさしい性格がいいのよね」

メイと悠斗が、さっきのアニメについて話をしている。俺の隣にいたはずの有澤社長が何時の間にか、悠斗の隣に座っていた。有澤社長も会話に加わった。

「ふ。やはり最強なのは、有澤マンだな」

「うん?ああ。社長ですか。確かに有澤マンのガチタンは漢のロマンですよね。やっぱり、有澤マンにも老神を装備させましょうよ!絶対格好いいですから!」

「あの、グレネード砲は雷電専用だ。有澤マンに装備すると、積載過剰で機動性が大幅にダウンしてしまうから、却下だな」

「いや、雷電はアニメに数話しか出てきませんから!最近だと、フィードバック先生の特訓道場の時に出てきた位ですからね。まあ、社長砲を射ちましたけど必殺技を覚えたアクアビットマンには、当たらなかったですよ?」

「大丈夫だ。爆風に当たればダメージになる。充分だ。有澤グレネードは、コジマに後れをとらん!」

堂々と言いきる社長。悠斗とメイが苦笑いしている。そんな何気ない話から、何時の間にから全員で酒盛りに発展した。酔ったメイが悠斗の唇を奪おうとする等の出来事もあったが、俺達は酔い潰れるまで酒を酌み交わすのであった。




ローディーsideout



悠斗side



昨夜はGAグループのメイ・グリンフィールド、有澤隆文社長、ローディー先生と飛行機の中で、何故か酒を酌み交わすはめになっていた。
酔ったメイが仕切りにキスをしようとするので、仕方なく頬にキスをするのは許可した。下手したら、唇を奪われかねなかったからな。どうやら、メイは酔うとキス上戸になるようだ。ローディー先生は見た目通り、酒には強かったな。

酔い潰れるまで飲んだ位だからな。有澤隆文社長は、引き際を弁えている人だった。程々に飲んで粗相をしたりはしない人だった。会社の社長ともあれば、接待等の席で慣れているだろうしな。 GAグループの専用機で日本の成田空港に到着した俺はメイ・グリンフィールド、ローディー先生、有澤隆文社長達と空港で別れた。今は、電車に乗って松笠駅に到着した所だ。

(相変わらず変わってないな。まあ、ほんの数ヶ月で変わる訳ないか)

松笠の商店街を歩いて行く。何時も様にフラワーショップ椰子に来た。
自動ドアを潜り中に入る。店内にいた男性が此方にやって来た。

「いらっしゃいませ!どんな花をお探・・・」

「どうも天王寺さん。お久しぶりです」

「悠斗君じゃないか!中東に行っていたんじゃないのかい!?」

「ええ。仕事が終わったんで、今日日本に帰って来たんです」

「ああ~。そうなのかい!ささ、上がって上がって。のどかさん~。悠斗君が帰って来たよ!」

天王寺さんに進められて店の奥に入り、茶の間に上がる。自宅の奥からのどかさんが出てきた。

「あらあら~。悠斗君。お帰りなさい~。元気にしてましたか?」

「ただいまのどかさん。元気にしてました」

天王寺さんとのどかさんが俺の正面に座る。のどかさんがお茶を出してくれた。

「今回日本に帰って来たって事は、暫くは日本にいるのかい?」

「ええ。今度は高校に通う事になりました。ですので、2年間は日本に居ることが確定しました」

「あら?悠斗君は大学を卒業してるんじゃ、なかったかしら?」

「ええ。のどかさん。確かに大学を卒業していますが、九鬼家からの命令で川神学園に入学する事になったんです」

二人は驚いた表情をする。「ただいま」と玄関のドアが開いて中に誰かが入ってきた。茶の間のドアが開かれた。黒髪のロングヘアーの綺麗な女性が入ってきた。

「ただいま・・・て!悠斗!?帰って来てたんだ?」

「お帰りなごみ。そして、ただいま。今日日本に帰って来たんだ」

「あ、そうなんだ。何時まで日本に居るの?」

なごみが俺の隣に座る。ちゃぶ台を挟んで天王寺さんとのどかさんに向かい合う。

「まあ、2年間は日本に居ることが確定してるな。4月からは川神学園に通うからな」

「え?」

なごみが信じられないと言った表情をする。
まあ、大学を卒業している俺が今更高校に通うこと事態が可笑しいからな。まあ、それを言ったら英雄様の専属メイドの忍足あずみは明らかに、10代じゃ無いが・・・・止めよう。あれは、あれだ。そう割り切ろう。
二面性が激しい奴だったしな。

(まあ、単純な力量勝負では、忍足あずみは俺より弱い。しかし、彼女には隠密任務や策略に長けてるんだよな。けど、隠密任務の実力も俺が上だ)

懐かしい人物を思い出しながら、のどかさんが淹れたお茶を飲む。
ほろ苦さが口に広がる。

「まさか、悠斗が川神学園に通うなんてね。偶然は恐ろしいね」

「ん?どう言う事だ?」

「あら?なごみちゃんもしかして!」

ニッコリと微笑むなごみ。ポケットから1枚の紙を取り出した。紙には内定通知と書かれていた。場所は川神学園の学生食堂だ。

「やっと内定通知が来たんだ。私も春から川神学園で働くんだ」

「「「おお!!内定おめでとう!」」」

全員でなごみの川神学園の調理師内定に拍手する。なごみは、フッと笑う。少し頬が紅いから照れているのが分かる。

「じゃあ、なごみちゃんも来年の春から川神学園に通うのね。でも、通勤はどうしましょう?松笠からだと、川神は少し遠いわね」

「のどかさんの言う通りだね。川神まで通うとなると、少し大変だね。アパートとマンションを借りるかい?」

「う~ん。家からだと、朝早くに電車に乗れば間に合うから、家から通うかと考えているんだけど」

天王寺さんとのどかさんとなごみの3人が、通勤方法について話し合う。 3人とも真剣に話し合っている。

「う~ん。僕としては、川神市でアパートかマンションから通勤した方が良いと思うんだよな。調理師となると、早番とかあったりするから大変だろうしね」

「私も天王寺さんと同じ考えね。私達名義でアパートかマンションを借りて、通勤した方がなごみちゃんも楽が出来るでしょうにね」

「母さん。大丈夫だよ。少しくらい早く起きる位は、私には問題無いからさ」

「ふ~ん。なごみ。川神市にある家の別荘から、通うか?俺も春から川神学園に通うから、使おうと思ってた別荘があるからさ」

「「「え?」」」

3人とも驚きの表情で俺を見る。そんな不思議な事を言っただろうか?
逸早く元に戻ったなごみが、俺に訪ねてきた。

「悠斗って、別荘持ってたの?」

「ああ。俺のじゃなくて、家(不動家)の別荘だ。まあ、普通の民間なんだけどな。両親には使用許可をもらったし、部屋数もあるからなごみが良ければ同居出来るぞ」

「(やった!悠斗と二人っきりで生活だ!これって、新婚生活だよね!)・・・・うん。悠斗の住む別荘から通うよ。母さん、良いよね?」

のどかさんは満面の笑みを浮かべていた。天王寺さんも、うんうんと頷いていた。

「悠斗君。なごみちゃんをよろしくお願いします」

「僕からもよろしく頼むよ。なごみちゃんをよろしくお願いします」

「いやいや、二人とも頭を上げてください」

のどかさんと天王寺さんの二人が、俺に向かって頭を下げた。
俺は二人に頭を上げてもらう。


「悠斗君!なごみちゃんをよろしく頼むよ!のどかさん!今日は良いことが重なったね!」

「ええ。天王寺さん。そうだわ!なごみちゃんの内定決定と、悠斗君の帰国のお祝いをしましょう!」

「そうだね!そうしよう!早速、お寿司屋さんに電話しなくちゃね!」

天王寺さんは、急いで茶の間から出てお店に向かい、電話する。のどかさんも天王寺さんの後を追いかけ行った。
茶の間には俺となごみが取り残された。

「二人とも出ていったね」

「そうだな。なごみの内定祝いは分かるが、俺の帰国を祝う必要ってあるのか?」

「まあ、良いんじゃないかな。母さん達は楽しそうだしね」

なごみが微笑みながら、俺に体を預けて来た。
右肩になごみの頭が当たる。なごみは俺の右腕に抱き付いていた。

「どうした?」

「(悠斗の傍は落ち着くな。やっぱり、私の居場所は悠斗の傍なんだよな)嫌だった?」

上目遣いで俺を見るなごみ。美人にこう言った表情をされると、グッとくるものがあるな。

「別に、構わない。なごみが嫌じゃなければ良いさ」

「うん!」

俺は、ポケットから禁煙パイポを取り出して口に銜え、なごみと一緒に久しぶりにのんびりとした時間を過ごすのだった。




悠斗sideout 
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