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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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オリジナルストーリー 目覚める破壊者
  56話:一年ぶりの再会、決別の殺意(やいば)

 
前書き
 
お久しぶりです。気づけば四月になっていて、嘘もつけずにエイプリルフールが終わって、気づけばs行式の朝になっていたという作者です。
合宿もあって随分とかかってしまいました。もうちょっと長く書く予定でしたが、分割して投稿します。
  

 



何が起こったかわからなかった。

ただ……目の前の人物が、門寺 士だということはわかる。だが、どうして彼が突然現れたのか。
ここまで一切の情報が入ってこなかったのに、何故…?

「つかさ…くん…?」

なのはが呼びかけると、振り向いた状態で士は一瞬表情を歪めた。
だからこそ、なのはは再び士の名前を叫んだ。

「士君!」

そして士に向かって、歩みを進めようとして―――

ズダァァンッ!
「―――ッ!?」

銃声と着弾した音。その二つが一緒に響き渡り、なのはの足元の雪の一部から小さな煙が立っていた。

「え…?」

なのはは一度足元を見てから、顔を上げる。士の手には白い銃が握られており、その銃口からも煙が立っていた。

「―――…一つ質問をする」

茫然としているなのはを他所に、士は口を開いた。だがその口調は知り合いに向けるようなものではなく、何かなのはを圧迫するような物腰だ。

「この世界は『第97管理外世界』で合ってるか?」
「え…?」

またしても驚愕するなのは。久しぶりに会ってみれば銃を向けられ、当たり前のことを聞いてくる。しかし目の前の人物は、確かに門寺士の筈だ。

「…そ、そうだよ。ここは第97管理外世界、地球……士君が生まれ育った、海鳴の街だよ!」
「……そうか…」

なのはの答えに短くそう答え、ゆっくりと銃を下した。それを見て、なのははほっとする。
―――だが、

「―――なら、お前には消えてもらおう。管理局員(・・・・)」

「っ!?」

士は再び銃を構え、その銃口をなのはへと向けた。今度は地面ではなく、完全になのはへと、だ。
なのはは驚きながらも、その危機的状況に即座に反応し、横に飛んだ。
そして士は躊躇なく引き金を引いた。放たれた弾丸はなのはの肩をかすめ、そのまま先にある木に命中する。

「…な、なんで……」
「なんで、とは…俺がお前を管理局員と見破ったことか?それともお前を攻撃する理由か?」

どれも違う。なのはが言ったのは、士がなのはの事を管理局員と呼んだ事……つまり、名前を呼ばなかった事だ。
一年ぶりの再会だというのに、この反応は…この行動は可笑しすぎる。

「お前は、この世界が第97管理外世界だと言ったな?その名称は管理局でしか使われてない筈だ。ましてここは管理外世界。この世界の普通の人間がこれを言うものじゃない」

銃口を向けながら淡々と話し始める士。だがなのははその言葉の半分も耳に入っていなかった。
自分の所為で行方不明になった人が、今目の前にいて…しかも自分に敵意を向けている。その状況に頭が付いていけていないのだ。

「そして管理局員に会ってしまっては…こちらとしてもマズいのでな。今ここで消えてもらう」
「っ!レイジングハート!」
〈 Stand by ready. 〉

再び士は引き金を引き、弾丸を放った。しかしなのはは引き金が引かれる直前にバリアジャケットを展開する。
士の銃から放たれた弾丸はなのはのいる場所へ到達し、命中時の爆発で雪が舞い上がる。
そしてもこもこと舞い上がる雪の中から、なのはが飛び出してきた。

「なんで…なんでなの、士君!」
「…やはり魔導士か…それはそれで好都合だな」

空中へ逃げながら疑問をぶつけるなのは。だが士はそれに答えず、銃を持ち直し右手でカードを取り出した。
そして銃を持つ左手で、コートの腰の辺りを払いのけるように開いた。そこにはなのはも見覚えのある、彼がいつも使う相棒―――トリックスターがあった。

「変身」
〈 KAMEN RIDE・DECADE 〉

取り出したカードをバックルの状態のトリックスターへ挿入し、使用した。
士の周りに九つの虚像が現れ、士と一つになる。前に飛び出してきた板が顔に突き刺さって、大きくなった姿に色が付いた。

いつものような描写。だが二つだけ違う点があった。
一つは仮面の額部分にあるシグナルポインターが、本来黄色である筈が紫に変わっていた。
そしてもう一つは、仮面の複眼―――ディメンションヴィジョンの形状が禍々しくなっていた。

それを見たなのはは大きく目を見開いた。

「…行くぞ」
〈 ATACK RIDE・HARD TURBULER 〉

だがそんななのはを他所に、士は新たなカードを使い、それと同時に飛び上る。
飛び上った士の後ろには灰色のオーロラが現れ、さらにそこからハードボイルダーのユニット後部が赤色のタービュラーユニットに換装した形態―――ハードタービュラーが現れた。
そこへ士は着地し、空にいるなのはを追いかけ始めた。

「止めてよ、士君!なんで私達が戦わなきゃ…!?」
「お前に理由がなくとも、こちらにはあるんだ」

そういうと士はハードタービュラーを操作し、エナジーバルカンをなのはへ放った。なのはは戸惑いながらも飛行魔法で避ける。

「一般人なら記憶を消せば済むが、魔導士なら話が別だ。管理局に俺の存在を知られる訳にはいかないのでな」

まぁいずれ戦う事になるのだから、それが少しだけ早くなっただけだがな。
そして再び銃を取り出し、引き金を引いた。

「っ、アクセルシューター!」

それに対しなのはは桃色の魔力弾を放ち、士の攻撃を相殺する。それぞれの攻撃がぶつかり合ったことで、視界が悪くなる。
だが士はそこを突っ切って、今度は剣を振りかぶっていた。なのははその斬撃を横に移動して避ける。

「どうして…どうして士君!私、なのはだよ!?高町なのは!」
「高町…なのは…」

通過する途中で士はなのはを横目で視認した後、方向転換してなのはの周りを周回する。

「確かあいつが言ってたのに…高町なのは、管理局のエース・オブ・エースだったか」
「っ!?」
「だったら尚更、今後の邪魔になるな」

そういうと周回するのを止め、先程のようになのはへ向かって飛び出した。
士の一言に気を取られたなのはは、一気に飛び出してきて士の動きに遅れた為、上へ回避する事を選択した。

だが、士はハードタービュラーを足場にジャンプした。まるでなのはを追いかけるように。

「えっ?」
「読み通りだ」

そういうと士は剣を構え、なのはに斬りかかった。なのははそれに驚きながらも、しっかり防壁で防いだ。

「はああああああっ!」
「きゃあっ!?」

しかしそれで士が止まる事はなく、士の剣はなのはの防壁ごとなのはを下へ弾き飛ばした。
落下していくなのはに対し、士はその前に上からやってきたハードタービュラーに乗り、追いかける。

落下していたなのはは、その途中で体勢を立て直して顔を上げた。士はまたハードタービュラーから離れ、剣を振りかぶった。

(だったら…!)
〈 Protection powered 〉

それを見たなのははカートリッジを使って、先程よりも強固な防壁を展開した。
そして士が振りかぶった剣が防壁と衝突する。

「くぅっ!」
「ぬぅ…あああぁぁぁぁぁ!」
「っ!?」

最初は均衡していたが、士が声を上げると同時に士の剣に光が纏わりつく。
マゼンタ色の…否、それよりも少し黒い色。その色が剣に力を与えたように、なのはの防壁にはヒビが入っていき、遂には防壁を突き破った。

「ぁぁぁぁぁああっ!」
「きゃあああああっ!」

防壁を打ち破った剣はなのはの持つレイジングハートとぶつかり、火花が散る。そしてなのはが押し負ける形で吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたなのはは地面へと向かい、何度もバウンドする。

「う、うぅ…!」

少し痛む体を起こし、再びレイジングハートを構えようとするが、その前に首に刃を突き立てられた。

「さぁ、これで終わりだ」
「っ…!」

そういうが否や、士は躊躇なく剣を振り上げた。なのははそれを見て思わず目を逸らしてしまう。

だがその刃がなのはを襲うことはなく、代わりにガギィンッという音が響いた。
ゆっくりと目を開けると……

「っ、フェイトちゃん…!?」
「なのは、大丈夫?」
「…新手か」

振り下ろそうとされていた士の剣を、後ろから魔力刃で防いだのは、なのはの友人であるフェイト・テスタロッサだった。
なのはを心配するフェイトに、士は左足で回し蹴りを放った。

「―――っ!」
〈 Sonic move 〉

だがフェイトは得意の瞬間高速移動を使用。その回し蹴りを避け、さらに一瞬にしてなのはを抱え距離を取っていた。

「あ、ありがとうフェイトちゃん…」
「うん。だけど…なんで士が…?」
「私も訳がわからないんだ。ようやく会えたと思ったら…」

こんな状況に、と漏らすなのは。それを聞いたフェイトはキッと士を睨むように見つめる。

「士!なんでなのはと戦ってるの!?」
「何故、というのは先程も言ったが…お前らが管理局員だからだ」

士はそういうとライドブッカーを剣から銃へ変え、引き金に指をかける。それを見たフェイトは彼女のデバイス―――バルディッシュを構える。

「ブリューナク!」

だがそこへ白い魔力弾が何処からか放たれ、士の足元に着弾する。

「今のは…」
「なのはちゃん!」
「っ、はやてちゃん!?」

そこへやってきたのは、フェイトと同じくなのはの友人、八神はやてだった。彼女の髪はいつもの茶色の髪ではなく、鮮やかな白に。そして目はさらに済んだ青となっていた。

「フェイトちゃん、なのはちゃんは…!」
「大丈夫、見たところ大きな怪我はないみたいだから」
「そうか?よかった~」

フェイトの言葉を聞いたはやては、胸を手で押さえながら安堵した。だが安心したのも束の間、はやては先程自分の攻撃が命中した場所を見た。
魔力弾の着弾で雪が舞い上がる中、そこから人影が出てくる。

「やっぱり…見間違いじゃ、ないんやな?」
「………(コクッ)」

はやての疑問に頷くフェイト。だが本心は、見間違いであって欲しかった。自分の親友が、別の親友を傷つけていたなんて、考えたくなかった。

「…取りあえず、今は士を止める事だけを考えよう。もしかしたら記憶がなくて、誰かに操られてる、なんて事かもしれない」
「せやな。じゃあフェイトちゃんが前衛で、私がサポートやな」
「お願い―――」
「ふぇ、フェイトちゃん…はやてちゃん…」

フェイトとはやてがそう話し合っていると、倒れていたなのはがレイジングハートを支えに立ち上がった。

「私も…戦う…!」
「な、なのは…でも…」
「やらせて。二人が戦うのに、私だけ近くで見てるだけなんて、できない…!」

私も士君を止めたいんだ。そう言って、レイジングハートを強く握るなのは。
それを見た二人は一瞬顔を見合わせると、再びなのはを見て首を縦に振った。なのはもそれに応えるように頷いた。

「それじゃあ、なのはは無理しない程度に」
「うん、わかってる。あの時のような無茶は、もうしないから」
「それ、あんま信用できへんで?」

そう言って笑いあう三人。だがこの笑顔は空元気だ。本当は友人と戦うのは辛い。
だけど、今は戦う事でしか、彼を止められない。

「行くよ」、と表情を変えたフェイトが構える。そして一瞬にして姿が消えたかと思えば、フェイトの姿は既に士の背後にいた。
構えていたバルディッシュを、一気に横一閃―――

ガギィィン!
「「「っ!?」」」

だがフェイトの攻撃は士に当たることはなかった。
フェイトの斬撃を阻止したのは、真紅の刀身の剣だった。それを持つ人物は、白いスーツに身を包んだ青年だった。

「探しましたよ。こんなところにいたんですか?」
「…月影か」

士の言葉に軽く返事をすると、抑えていたバルディッシュをフェイトごと弾き飛ばした。

その光景を見たなのはとはやては、驚きのあまり声も上がらなかった。フェイトの姿を確認した時は、士とフェイトの間には確かに誰もいなかった。
だが、フェイトの斬撃が当たる直前、何処からか現れた真紅の剣が、フェイトの斬撃を止めていた。いつの間に、あの青年はあそこにいたのだろうか。

「まったく、どうしてあなたは何も言わずに出ていくのですか?」
「現地ぐらい自分の目で確認したかっただけだ」
「それなら私も付いてきましたのに」
「それが嫌だから言わなかったんだ」
「これはまた酷い一言ですね」

何故か親しげに…いや、月影と呼ばれた青年の方が、若干下手に話していた。だが二人とも武器は持ったまま、背中合わせの状態で、警戒を怠ってはいなかった。
三人もそれをわかっている。だからこそデバイスを構え、士達を睨みつけていた。

「あなたがいなくなられて、皆も心配しております。ここはひとまず戻りましょう」
「だがいいのか?奴らに姿を見られた。特にあの高町という女、あいつには人の姿も」
「はぁ~…だから下手にうろつくなと言っておいたのに…」

呆れながらだが、「まぁいいです」と続ける月影。

「この世界にいるのなら、どうせ始末するんです。変わりませんよ」
「そうか…ならいい」

士はそう言うと、武器を元に戻し構えを解く。それを見たなのは達は驚くが、月影は呆れるようにため息を吐いて、同じように警戒を解く。

「行きますよ?皆が待っています」
「あぁ、わかった」

そんな会話をすると、士はベルトに手をかけて変身を解き、月影は手を翳した。するとそこに灰色のオーロラが出現する。
二人はそこに向かって足を向けた。

「っ!待て!」

そこまで見ていたフェイトも、すぐさまバルディッシュを握りしめ、一番近くにいた月影へ攻撃を仕掛ける。
だが背後からの攻撃も、月影は簡単に防いだ。

「確かに速いが…まだ甘いな」
「くっ…!」

キィン、という音と共にフェイトが弾かれた。フェイトは上手く着地して、また攻撃しようとする。
しかし踏み込もうとしたフェイトに、今度は士がライドブッカーの引き金を引いた。それはまっすぐフェイトへ向かっていった為、フェイトは避ける事になった。

「後ろは任せる」
「はい、勿論です」

士はそう言い残し、オーロラを通過しようと歩いていく。

「「「士(君)!」」」

オーロラの中へ行こうとする士を追いかけようとするが、その前に月影が剣を持って立ちふさがった。

「…先程から気になっていたが、俺は『士』という奴じゃない」
「え…?」
「俺は大ショッカーの首領……『世界の破壊者』ディケイドだ」

そして士は身に着けているコートを掴み、脱ぎ捨てる。
コートを脱いだ士は、マゼンタ色と黒の二色で構成され、背中にディケイドのマークのような模様が描かれたコートに身を包んでいた。

「これから俺達の計画を邪魔するというのなら、容赦はしない」

それだけを言い残し、灰色のオーロラを抜けていった。

「行っちゃダメっ!」
「士君!」
「残念ですが、あの方はもうあなた達が知っている人物ではありませんよ」
「それはどういうこと!?」

フェイトの疑問に、月影は剣を摩りながら笑みを浮かべた。

「先程言われた通り、あの方は我らが首領、ディケイド。あなた達がいう『士』は……もう死にましたよ」
「「「っ!?」」」
「これ以上話すことはありませんね。追ってこられてもマズいので…失礼」

月影がそう言うと、彼が持つ刀身に光が灯る。彼はその剣を握りしめ、地面に向かって横に一閃する。
光と共に煙が巻き上げられ、三人は思わず目を手で覆った。

ようやく視界がはっきりしてきた時には、月影の姿も灰色のオーロラもどこにもなかった。

「そ、そんな…!」
「士君…」
「………」

取り残された三人は、先程までオーロラがあった場所をただ見つめている事しかできなかった。



  
 

 
後書き
 
分けた方は今週中にでも。
  
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