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美しき異形達

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第三話 怪人と炎その一

               美しき異形達
            第三話  怪人と炎
 薊と裕香はその日昼になるのが待ち遠しかった、昼になるのを今か今かと待っていた。そしてその長い午前中の後で。
 昼になるとだ、それぞれの弁当を持って自分達の校舎の屋上に向かおうとした。しかし二人が教室を出ると。
 智和はその前にいた、そのうえで二人に微笑んで言ってきた。
「じゃあこの校舎の屋上でね」
「えっ、先輩もう来たのかよ」
「授業今終わったばかりですよ」
「うちのクラスは体育だったんだ」
 微笑みそのうえでこう答えるのだった。
「それで早く終わってね。お弁当はバッグの中にあるしパンもね」
「もうかよ」
「買われたんですか」
「ここにね」
 右手に持っているバッグを身体の前に出して二人に見せながら話す。
「あるよ、メロンパンもクリームパンもね」
「何か色々買ったんだな」
「そうみたいね」
 薊と裕香は智和のその言葉を聞いて顔を見合わせて話した。
「まああたしパンなら何でも好きだけれどさ」
「私も」
 二人共だった、このことは。
「だからな」
「パンでしたら」
「ならいいね、ではね」
「ああ、屋上でな」
「お話を聞かせて下さい」
 二人は真剣な面持ちで智和の顔を見上げて話した、そしてだった。
 三人で屋上に行き車座になって座ったうえで弁当とパンを出して食べはじめる。薊と裕香は寮の夕食の残りのおかずと御飯を入れたものだ、智和はお握りをベースとして色々と入っている豪勢なものだ。量は普通だ。
 そういったものを食べながらだった、智和は二人特に薊に話した。
「まず怪人のことだけれど」
「ああ、あいつ何なんだよ」
 あのカマキリと人間の合いの子についてだ、薊は問うた。その間も弁当の御飯をおかずの鱈のムニエルで食べている。
「急に出て来て襲い掛かってきてな」
「まず彼等は何処から出て来るかは」 
 それはというと。
「僕も知らないんだ」
「おいおい、そういう答えかよ」
「神出鬼没でね。それにね」
「それに?」
「普通の人は襲わないみたいだね」
「じゃああたしは普通じゃないのかよ」
「いや、君は人間だよ」
 このことはだ、智和は確かな声で答えた。
「間違いなくね」
「炎も出したのにかよ」
「そのことも後で話すよ」
 今ではなく、というのだ。
「とにかく、あの怪人はね」
「化けものじゃなくて怪人なんだな」
「そうだよ、それで怪人はね」
 その怪人のことを話すのだった。
「特定の力の持ち主の前にだけ現れるみたいなんだ」
「特定って。何か」
 ここでだ、裕香は智和の言葉にあるものを察して彼に怪訝な顔で問うた。
「薊ちゃん以外に特定の力を持つ人がもう」
「うん、いるよ」
 実際にだというのだ。
「それが誰かはわからないけれど」
「わからないって」
「僕は偶然ね。三ヶ月前にあの怪人を見たんだよ」 
 何かを隠しているがそれは二人に悟られない様にしてだ、智和は淡々とした口調で話していく。そのうえでの話だ。
「その怪人、僕はそう呼んでいるけれどね」
「怪人を何処で見たんだよ」
「夜ね、駅前の商店街の裏で」
 そこでだというのだ。
「その怪人は蜘蛛に似ていたよ」
「あたしの前に出て来たのはカマキリだったけれどな」
「僕が最初に見た怪人は蜘蛛だったんだ」 
 そうだったというのだ。 
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