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Element Magic Trinity

作者:緋色の空
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私がついている


ニルヴァーナが停止した。
六魔将軍(オラシオンセイス)のマスターゼロを倒し、8つの魔水晶(ラクリマ)を同時に壊した事で、連合軍の勝利が決まる。

(やはり・・・期待以上の2人だった・・・)

意識を取り戻したジェラールの目に、ボロボロの状態ながらも立つナツとティアの姿が映る。
すると、2人は突然ふらつき始めた。

「ぐお!」
「くっ!」

今日1日で戦いまくった2人の体力と魔力は既に底をついており、限界状態の為倒れ込む。
そして、更に最悪の状況がやってくる。

「おおお!」
「何やってるのよアンタ!」
「ナツ!くうっ!」

動力源を失ったニルヴァーナはどうなるか。
当然、崩れる。
その為部屋には落石が降り始め、それにナツは下敷きにされてしまった。
ちなみにティアは体が水で出来ている為下敷きにされようが何て事はない。
そして――――――その現象が起きているのはここだけではなかった。




「きゃああっ!」
「うわああ!」
「わわわわっ!」

凄まじい音を立てながら落ちてくる岩から必死に逃げ回るルーシィとハッピー、ルー。






「やべーぞこりゃ・・・」

耐える事なく降り注ぐ落石を見て毒づくグレイ。





「くっ!」

いつも鎧の下に来ているワンピース姿で間一髪で落石を避けながら出口を目指すエルザ。






「メェーン!」

力の香り(パルファム)の影響で筋肉ムキムキ状態の一夜の頭に大きい岩が落下する。







「シャルル!」
「ウェンディ、ココロ、こっちよ!」

足場が悪く長い廊下をシャルルに先導されながらウェンディとココロが走る。
が、足場の悪い状況で走るのは難しい。

「きゃあっ!」
「ウェンディちゃん!」

足元の岩に躓いたのか、足場の悪さに引っかかったのか。
すてーん、とウェンディが転んでしまう。
それに気付いたココロが慌てて駆け寄り、起き上がらせようと手を伸ばすが―――――

「ウェンディ!ココロ!」

2人の頭上から、ガラガラと複数の岩が落下してくる。
音に気付いたココロはウェンディを庇うようにウェンディの上に覆い被さった。
そして落石は――――――

『!』

防がれた。
復活したジュラが岩鉄壁を使い、3人を救出したのだ。

「ジュラさん!」
「ありがとうございます!」

そのままジュラはウェンディとシャルル、ココロを抱えて脱出する。







「うおっ!何かいろいろヤベェな。逃げるぞ!」
「今更ですか!?」

漸く自分が危ない状況に立たされていると知ったアルカにアランはツッコみを入れ、脱出するため廊下を走る。

「ったくよォ、長ったらしい廊下だなオイ!」
「確かに・・・っアルカさん!」
「んあ?」
「上、上です!」

アランが指さす先。
上からアルカに向かって岩が落ちていく。
呑気に返事をしたアルカは上を見上げ、「あー」と小さく声を零した。
そして、

「邪魔だな」
「え?」

くいっ、と。
右手を「しっしっ」とするように横に動かした。
それに合わせて、岩が右側の壁へと寄り、軽い動きで落ちる。

「ア、アルカさん?」
「オレが操れんのは炎だけじゃねーぞ」

右手を向けると、茶色の魔法陣が展開される。
それだけで、道を塞ぐように落ちてきた岩が全て壁側へと寄る。

「これで走りやすいだろ。ま、オレの魔法もずっとは続かねェ。逃げるが勝ちだーっ!」
「その言葉使い方間違ってると思うんですけど!?」







そして、こちらはこちらで困っていた。

「・・・む」

ヴィーテルシアは廊下に目を向ける。
が、その先に“廊下はない”。
―――――落石によって塞がれてしまったのだ。

「邪魔だ。邪魔すぎる。が、考えている暇はない」

呟きながら、ヴィーテルシアは考える。
廊下を使わずに脱出する方法。
数秒頭を回転させ――――閃く。

「・・・壊すか。“天井を”」








「うおおおっ!」

瓦礫の山と化したニルヴァーナからグレイが飛び出す。
そして地面に落ちるとゴロゴロと数回転がった。

「危ね」

何とか自力で動きを止める。
そして、後ろに目を向けた。

「みんな、無事か!?」
「ぷはー」
「あぎゅー」
「ほえー」

そのすぐ後ろにはギリギリで脱出し似た姿勢で倒れるルーシィとハッピー、ルーがいた。
落石から逃げ回るのに体力を消費しまくったのだろう。
3人ともぐったりとしている。

「エルザさ~ん!よかったぁ」
「な・・・何だ、その体は!?」

頭に大きいたんこぶを作りながらも何とか脱出した一夜はエルザに駆け寄るが、何故一夜がマッチョ状態かを知らないエルザは引いていた。

「おーい、お前らー!」
「皆さん無事ですか!?」

そこにアルカとアランが走ってくる。
と、その背後で瓦礫が飛んだ。

「うおっ!?」
「うわっ!」

ガラガラガラ・・・と落下してくる瓦礫を避け、そこから現れた影に目を向ける。
そこには、見慣れた姿があった。

「ふう」
「ヴィーテルシアかよ!驚かせんなよなー」

背中から翼を生やしたヴィーテルシアだった。
どうやら廊下が使えなかったため天井を突き破り、結果として瓦礫からどーんと姿を現す事になったらしい。

「ナツさんは!?」
「見当たらんな」
「ジェラールもいない!」
「ティアはどこだ!?」

ウェンディが慌てて辺りを探す。
それに続くようにヴィーテルシアも目を凝らし、鼻をスンと鳴らした。
だが、そこにはナツもティアもジェラールもいない。
髪の毛の先さえそこにはない。

「ナツ・・・」
「ティアー!どこだーっ!」
「あのクソ炎、何してやがんだ!」
「ティアぁ・・・」
「ナツさん!ティアさん!」

全員で3人を探すが、声すら返ってこない。

(ナツ・・・ティア・・・ジェラール・・・何をしている・・・)

エルザはニルヴァーナを見つめた。
瓦礫の山に埋まってしまったとは思えないが、その可能性がないとは言えない。
何しろ相手はマスターゼロ。ナツ達を呆気なく倒してしまったほどの強者なのだ。
魔力も体力も使い果たしている事だろう。

「ん」
「ひっ!」
「わっ!」

すると、ボヨンとルーシィ達の足元が盛り上がる。
そこから穴が開き、現れた人影を見たルーシィとハッピーとルーは目を見開き、エルザは笑みを浮かべた。

「愛は仲間を救う・・・デスネ」
「んあ?」
「全員無事みたいね」

全員で探していたナツとティア、力なく抱えられるジェラール、そしてその3人を抱えるリチャードがいた。

「ナツさん!」
「ティアっ!」

その姿を見たウェンディとヴィーテルシアが声を弾ませる。

六魔将軍(オラシオンセイス)が何で!?」
「色々あってな・・・大丈夫・・・味方だ」
「リチャードはいい奴だ、気にすんな」

敵であるはずの六魔将軍(オラシオンセイス)がナツ達を助けた事にシャルルは頭に疑問符を浮かべる。
それにリチャードをよく知るジュラとアルカが簡単に答えた。
喜びの声を上げたウェンディは駆けだし―――

「ナツさん!」
「うお」

がばっとナツに飛びついた。
その目からは涙が流れている。

「本当に、約束守ってくれた・・・」

トロイアを掛けてくれたお礼にニルヴァーナを止める。
自分のギルドが狙われていると知ったウェンディ達に、ナツはそう言った。
大丈夫、ギルドはやらせないと。

「ありがとう!ギルドを助けてくれて」

有言実行。
必ず止めてやるとナツは言い、本当に止めた。
だが、それはナツ1人の力ではない。

「みんなの力があったからだろ?ウェンディの力もな」

連合軍全員の結果。
妖精の尻尾(フェアリーテイル)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)青い天馬(ブルーペガサス)、そして化け猫の宿(ケット・シェルター)の総力。
結果として、ウェンディ達は自分達のギルドを自分達の手で守ったのだ。

「今度は元気よくハイタッチだ」
「はい!」

パァァン!と。
言葉通りの元気のいいハイタッチの音が響いた。
そして、ナツは髪を耳にかけるティアに目を向ける。
視線を感じたのか、青い目がこっちを向いた。

「お疲れさん、ありがとな」
「偶然同じ選択をしただけよ」

言葉を交わす。
そして、コツリと拳を合わせた。
まるで、大きく長い戦いを終えた“戦友”のように。











「全員無事で何よりだね」
「みんな・・・本当によくやった」
「これにて作戦終了ですな」
「キモッ」

ハッピー、ジュラ、一夜が口を開く。
一夜の横にいたルーシィはマッチョな一夜を見て小さく呟いた。

「・・・で、あれは誰なんだ?」
「?」
「ほえ?」

グレイが振り返り、つられるようにルーシィとルーも振り返る。
そこには腕を組み視線を落とし俯くジェラールがいた。

「天馬のホストか?」
「ヒビキ達はホストじゃなくて魔導士だよう」
「あんな人いたっけ?」

魔導士のルーシィをキャバ嬢と呼んでいたルーが言うのもおかしいが。
首を傾げる3人に、エルザが口を開く。

「ジェラールだ」
「何!?」
「あの人が!?」
「えええっ!」
「・・・」

楽園の塔に関わってはいたものの、ジェラールの姿を直接見てはいない。
突然かつての敵が目の前に現れ、ルーシィ達は目を見開いて驚愕した。
その近くでその話を聞いていたナツは寝っ転がりながらムスッと顔をしかめる。

「だが、私達の知っているジェラールではない」
「記憶を失ってるらしいの」
「いや・・・そう言われてもよぅ・・・」
「大丈夫ですよ。ジェラールさんは本当はいい人ですから」
「私達を助けてくれた優しい人なんですよ」

どう言われてもジェラール=悪人のイメージが消せないグレイに、アランとココロが説明する。
そんな中、ティアは1人座り込んで何かを考えていた。

(ヴィーテルシア曰く、ウェンディ達は“7年前”ジェラールに助けられた。そしてエルザは“8年前”ジェラールによって楽園の塔を追放されている。ゼレフの亡霊に取り憑かれていたジェラールが、何でウェンディ達を助けたの?奴隷にしてしまえばよかったのに・・・)

頭を回転させる。
が、いくら考えても答えは出てこない。
すると、そんなティアにアルカが声を掛けた。

「ティア」
「・・・何」
「聞きてェ事があるんだ」
「手短に済ませて」
「何であの時、あの念話がリチャードからじゃねェって解った?」

その問いの答えはすぐに用意出来る。
ティアは立ち上がり、溜息をついた。

「あの念話の声はこう言った。『私デス、ホットアイデス』と」
「言ったな」
「でも私達はホットアイの本名がリチャードである事を知っていた、あの念話が来た時には既に。だったらこう言うのが正しいでしょ。『私デス、リチャードデス』」
「・・・なるほど」

聞き逃してしまえばそれでおしまいのたった一言を、ティアが聞き逃すはずがない。
いつだって冷静でいられる長所を持つ彼女にそんな簡単な罠は幼稚過ぎたのだ。
一方、エルザはジェラールに歩み寄っていた。

「とりあえず、力を貸してくれた事には感謝せねばな」
「エルザ・・・」

笑みを浮かべるエルザに目を向け、すぐに目を逸らす。

「いや・・・感謝されるような事は何も・・・」

謙遜しているが、ジェラールがいなければ勝利は不可能だった。
あの時ナツに咎の炎を、ティアに罪なる星空を与えたからドラゴンフォースと竜の双眼(リュウノメ)を発動させる事が出来、勝てたのだから。

「これからどうするつもりだ?」

エルザが問う。
その問いに、ジェラールは目線を逸らしたまま俯いた。

「わからない」

エルザの目に厳しさが戻る。
岩に2人で背中を預けて、2人は話す。
楽園の塔の再会では不可能だった会話を。

「そうだな・・・私とお前との答えも簡単には出そうにない」

俯くジェラールの体が、小刻みに震える。

「怖いんだ・・・記憶が戻るのが・・・」

今回の件でエルザやミッドナイト、ナツやティアは揃って似たような事を言った。
『悪党』、『罪』・・・他の言葉も含め、多くがジェラールを悪として捉える言葉だった。
記憶はない、でも自分は悪党だった・・・その想いを抱えてしまえば、記憶が戻る事に恐怖するのも当然だろう。
それを聞いたエルザは、ジェラールに目を向け―――




「私がついている」




優しい笑みを浮かべ、呟いた。
予想外の言葉に、ジェラールの目が大きく見開かれる。

「たとえ再び憎しみ合う事になろうが・・・今のお前は放っておけない・・・」

答えは出ない。長い間敵対していた相手との答えなんて、一瞬で出るものではない。
だけど、エルザはジェラールを放っておけなかった。
何故なら――――――

「私は・・・」

エルザが何かを言いかけ―――

「メェーン!」
『!』

ゴチィン!と。
何かに直撃するような音が響く。
同時に、一夜の奇妙な悲鳴も。

「どうしたオッサン!」
「トイレの香り(パルファム)をと思ったら何かにぶつかった~」
「何か地面に文字が・・・」
「こ・・・これは・・・」

連合軍を囲むように地面に描かれた文字。
それは―――――

「術式!?」

設置型の魔法、術式だった。
妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではフリードが扱う、クイックな戦闘には向かないが罠としては絶大な効果を発揮する魔法である。

「いつの間に!?」
「閉じ込められた!?」
「何でーっ!?」
「誰だコラァ!」

突然の事に驚きを隠せない連合軍メンバー。
すると、ザッザッザ・・・と音を立てて草叢から多くの男が姿を現す。

「な・・・何なの~?」
「はわわわ・・・」
「誰が・・・」
「もれる」

術式を囲むように立つ男達は、全員同じ服を着ていた。
同じ帽子を被り、上半身に十字架が描かれた制服。

「この服・・・」

見覚えがあるのか、ティアは小さく呟いた。
すると、その先頭に立つ1人の青年が口を開く。

「手荒な事をするつもりはありません。しばらくの間、そこを動かないでいただきたいのです」
「!」

黒髪を結い上げ眼鏡を駆けた青年は、はっきりとした口調で続ける。

「私は新生評議院第四強行検束部隊隊長、ラハールと申します」

その言葉に、その場にいた連合軍メンバー全員が目を見開いた。

「新生評議院!?」
「もう発足してたの!?」
「つーか、強行検束部隊ってよォ・・・」
「・・・部隊は違うけど、兄さんと同じ立場の人間って事ね」

ティアの異母兄弟の兄、クロノヴァイス=T=カトレーンは第一強行検束部隊の隊長だ。
その立場は新生評議院となっても変わっていないとティアが言っていた。

「我々は法と正義を守る為に生まれ変わった。いかなる悪も決して許さない」
「だったらおかしいんじゃないの?」
「!」

ラハールの言葉に早速ティアが噛みついた。
つかつかと歩み寄り、ラハールを正面から睨みつける。

「法と正義を守るなら、私達を術式の中に閉じ込めるのは筋違いだわ。どちらかといえば、私達はアンタ達が守るっていう法と正義を破ってる奴等を討伐したのよ?なのに何で閉じ込められないといけないのかしら。法を破るような事はしてないけど」
「存じております」

ティアはピクリと眉を上げた。
自分の皮肉が通じない。
苦手なタイプの出現に、ティアは苛立つように目を細めた。

「我々の目的は六魔将軍(オラシオンセイス)の捕縛。そこにいるコードネーム“ホットアイ”をこちらに渡してください」
「!」

ナツ達を閉じ込めたのは、リチャードを捕縛する為だった。
その言葉に本人であるリチャードはもちろん、ジュラとアルカも目を見開く。

「ま・・・待ってくれ!」
「オイ待てよっ!」

リチャードは悪い奴じゃないと異議を唱えようとする2人。
だが、その2人の肩にトンと手が置かれた。

「いいのデスネ。ジュラ、アルカ」
「リチャード殿」
「リチャード・・・」

止めたのは、リチャード本人だった。
笑みを浮かべて口を開く。

「善意に目覚めても過去の悪行は消えませんデス。私は1からやり直したい」

そう言うリチャードの決意は固かった。
それを察したジュラとアルカは少しの間顔を見合わせ、笑みを浮かべる。

「ならばワシ等が代わりに弟を探そう」
「本当デスか!?」
「任せとけって!んで、弟の名前は?」

ドン、と自分の胸を叩いてアルカは明るく笑う。
魔導士は仕事で様々な場所に向かう。リチャードの弟も探せるだろうと考えたのだ。
弟の名を聞かれ、リチャードは答える。

「名前はウォーリー。ウォーリー・ブキャナン」

どこかで聞いた事のある名前。
一体どこかと言うと―――

「ウォーリー!?」
「!」
「猫好き女と一緒にいた・・・」

そう、楽園の塔だ。
エルザの昔の仲間、ナツとティアが倒した男。
かくかくでダンディが口癖、猫好き少女ミリアーナと一緒にいた男がナツとハッピーの脳裏に浮かび、ティアは呟く。

「その男なら知っている」
「何と!?」
「マジかよ!」
「!」

アルカも一応会ってはいるのだが・・・覚えていなかったようだ。
エルザの言葉に、ジュラ達が目を見開く。

「私の友だ。今は元気に大陸中を旅している」

その言葉に、リチャードは目を見開いた。
エルザは優しい笑顔を浮かべてコクッと頷いて見せる。
リチャードの目から、涙が溢れた。

「グズ・・・ズズズ・・・これが光を信じる者だけに与えられた奇跡というものデスか。ありがとう、ありがとう・・・ありがとう!」

逮捕される前に、弟の無事を知れた。
それに対し、その事実を教えてくれたエルザに、弟を探そうとしてくれたジュラやアルカに感謝を述べ、リチャードは連行されていく。

「何かかわいそうだね」
「あい」
「仕方ねえさ」
「いつか弟に会えるといいね」

その大きな後ろ姿を見送りながら、ルーシィとハッピー、グレイとルーが呟く。
そして、一夜は全身にびっしりと汗をかいていた。

「もう良いだろ!術式を解いてくれ!もらすぞ!」
「いえ・・・私達の本当の目的は、六魔将軍(オラシオンセイス)ごときじゃありません」
「へ?」
「!」

六魔将軍(オラシオンセイス)はバラム同盟の一角を担う闇ギルドだ。
それを『ごとき』と片付けるラハールの言葉に一夜は目を点にし、他のメンバーも少なからず目を見開く。

「評議院への潜入・・・破壊、エーテリオンの投下。もっととんでもない大悪党がそこにいるでしょう」

ラハールが指さす先。
エルザの目が見開かれる。




「貴様だジェラール!来い!抵抗する場合は抹殺の許可も降りている!」




ラハールの本当の目的。
それは―――楽園の塔事件の罪を背負う、ジェラールだった。
確かに彼の前ではバラム同盟の闇ギルド1つは霞むだろう。
それほどの罪を犯したのだ。

「そんな・・・!」
「ちょっと待てよ!」

ウェンディとナツが叫ぶ。
ジェラールは何も言わない。

「その男は危険だ。2度とこの世界に放ってはいけない。絶対に!」

その言葉を聞いたエルザは、悲しそうな切なそうな表情を浮かべていた。 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
思った以上に時間がかかった・・・。
と言う訳で、後書き終了!

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