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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第十七話







 それから数ヶ月が過ぎた。

 黄巾軍は勢いを取り戻した官軍の猛攻に遭 い、徐々に勢力を縮小させていった。

 そして、遂に黄巾軍は劉表が治めている荊州の一部を占領している主力部隊以外は全滅をしてしまい、主力部隊は官軍との一大決戦の構えを取った。





―――玉座―――

「荊州の劉表から援軍を求めてきておるのじゃが、出すべきかの?」

 皆が集まった玉座で、美羽が皆に聞く。

「私としてはお嬢様を司令官にして出撃するのが最良かと思います。恐らくこれが黄巾軍との戦いになるのでお嬢様も出撃すれば士気も上がります」

 大将軍である七乃が美羽に言う。

「それに荊州の黄巾軍は主力部隊で、有力な軍が出撃してくるようです。今のところ判明しているのは、孫策、曹操、董卓、それと各地で人気が出ている天の御使いと劉備が率いる義勇軍です」

「麗羽姉様の軍は出ないのかや?」

「袁紹軍は黄巾軍に手痛い打撃を与えられてほぼ編成中です」

「ふむ。七乃の提案に何か意見はあるかの?」

『……………』

 俺達は何も言わなかった。

「では零を司令官とした攻略部隊を荊州に派遣するのじゃ。後の詳細は零に任せるのじゃ」

「分かりました美羽様」

 俺達は美羽に臣下の礼をした。





―――作戦室―――

 俺達は玉座から出ると、作戦室に行った。

 これは俺が作った部屋だな。

「では、攻略部隊に加わる武将だが儂を筆頭に長門、凪、真桜、クロエ、ロッタ、焔耶だ。沙和は悪いが今回は待機だ」

「分かったなの」

 沙和が頷く。

「攻略部隊の兵力は第一、第二、第三師団の三万六千じゃ。何か質問は?」

「いや俺は無いな」

「私も無い」

「ウチもや」

 皆は異論は無かった。

「よし。では準備が整い次第、荊州に出撃す る。解散ッ!!」

 俺達は作戦室を出た。





―――門前―――

 南陽の門の前に攻略部隊が集結していた。

 勿論、俺も鎧を着て整列してる。

「それではこれより荊州に向かうッ!! 総員、生きて帰るぞッ!!」

『ウオォォォーーーッ!!』

 兵士達が雄叫びをあげた。

 そして、攻略部隊は荊州にある黄巾軍の占領地へ向かった。

 攻略部隊は三日かけて、荊州に入り黄巾軍占領地へ進出した。

「前方に陣営じゃと? 旗は何処じゃ?」

「は。孫呉の旗です」

 斥候が零に報告する。

「ふむ。長門、どう見る?」

「多分、俺達と同じく劉表から援軍要請を受けたんだろ」

「敵同士だったのにのぅ……」

「国内の大規模反乱だから手を取るのもやむを得ないんだろう」

「零殿。使者でも放ちますか?」

「そうじゃのぅ」

 凪の言葉に零が腕を組む。

「なら俺と焔耶で行かしてくれないか?」

「二人か?」

「一応、孫堅とは面識があるからな」

「あぁ」

「なら使者をやってくれ」

「了解や」

 俺は零にニヤリと笑った。






「止まれッ!!」

 俺と焔耶が孫堅の陣営まで行くと兵士達に捕まった。

「何者だッ!!」

 兵士達が俺と焔耶に槍を向ける。

「俺は袁術軍の使者だ。我々は劉表の援軍要請に荊州に参ったが貴軍の行動を問いた いッ!!」

「暫し待たれよッ!!」

 兵士達は上に報告しに行った。

 それから直ぐに帰ってきた。

「孫堅様がお会いになられるとの事だ。こちらへ案内する」

「了承した」

 俺達は兵士の後について行った。






―――孫堅の天幕―――

「王双ッ!? 久しぶりだなッ!!」

「ちょ、孫堅ッ!?」

 孫堅の天幕に入ると、俺を見た孫堅が一目散に俺に抱き着いてきた。

「全く。中々見かけないから死んでいるのかと思ったぞ?」

「わ、分かったからとりあえず離れてくれないか?」

 貴女のむ、胸が……。

「はいはい。それで、此処にいる理由だった な。私らも劉表から要請が来たんだ。全く、黄巾の乱じゃなかったら攻めていたのにな……」

 サラっと言うなよサラっと。

「俺達も要請が来たから一緒に行かないか?」

「あらそれは良いわね」

 アッサリと了承してくれたな。

「焔耶、悪いけど零達を呼んできてくれ」

「分かった」

 焔耶が頷いて天幕を出た。

「王双、改めて礼を言いたい。私を助けてくれてありがとう」

 孫堅が急に俺に頭を下げた。

「お、おい……」

「本当に感謝しているんだからね。あ、御礼に私の真名を預けるわ」

「……分かった。預からせてもらうわ」

「私の真名は夏蓮よ」

「俺の真名は長門だ。よろしくな夏蓮」

「えぇこちらこそ」

 俺は右手で孫堅と握手をした。(孫堅は右手しかないため)

「今は袁術のところにいるのね」

「まぁな」

「うちのところに来たら良かったのに……」

「……お前のところに行ったら俺は死にそうなんすけど……」

 戦闘狂の貴女の娘がいるんだから……。





 
 

 
後書き
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