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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『三十三話』~歌姫を探せ 前編~

 夕日が沈み始めようとする時刻。

 海鳴市のとある公園で


「はぁ……」


 長い黒髪を後ろで束ねた少年――拓斗はため息をついた。





 木の上で。

 その理由は――





「おい! いたか!?」

「こっちにはいない!」

「本当にここにいるの!?」

「とにかくしらみつぶしに探すんだ!!」


 何かを必死に捜す多くの大人達と


「一体どこにいるのよ!?」

「見つからないね~」

「何処にいるのかな?」

「もう絶対に見つけてやるんだから!!」

「「「おぉー!!」」」


 同じく何かを捜すなのは、アリサ、すずかの三人。

 はぁ…もう本当に……


「なにがどうしてこうなった……」










 理由はその日のお昼時まで遡る。


 拓斗side

「ねぇ、なのは達はもうこれ見た?」


 邪の者事件と呼ばれる一件が終わって約二週間。

 昼食をとっている時にアリサがそんな事を言いながら取り出したのは一冊の雑誌。


「見た見た! まさか雑誌に載っちゃうほどに有名になっちゃったんだね!」

「すごいよね! 私去年からファンなんだ!」


 それに少し興奮した様子で答えるなのはとすずか。


「? 何の話だ?」

「何よ拓斗、アンタ知らないの? これよこれ!」


 そう言ってアリサが俺に突き出したのは『海鳴タイムズ』と書かれた週刊誌。


「どこだ?」

「ここよここ! 読んでみなさいよ!!」


 それを受け取ってページをめくりながら聞く俺にアリサも興奮した様子でとある一面を指差す。
 そこには、


「『発見! 海鳴の神秘! 月夜に響く歌姫のコンサート!!』? なんだこりゃ?」

「拓斗君知らないの? 結構前から有名だよ?」

「そんなに有名なのか?」

「本当に知らないんだ……えっと、簡単に言うとね」










 すずかの話によると事の始まりは今から約三年か四年前に遡る。

 夕日が沈んでいる時に綺麗な歌声が聞こえたらしい。

 それはその日だけでなくほぼ毎日夕日が沈み始めてから終わるまでの間に聞こえるとのこと。

 その歌声は聴く人々を魅了し虜にするようなものだそうだ。

 そのことから人々はその歌声を『月夜の歌姫』と呼ぶようになったとさ。










「わかったのいいが……何で月夜なんだ? 夕日が沈んでいる間なんだろ?」

「そんなのアタシが知るわけないじゃない」


 それもそうか。
 しかし、『月夜の歌姫』ねぇ~……もしかして『アレ』か?………


「で、アンタはどうするの?」

「は? どうするって何を?」


 考えている間に話が進んでいたみたいだな。
 まぁ、どうせどこかで遊ぶ話だろうが。


「アンタねぇ…話聞いてなさいよ。歌姫を捜すのよ」


 ……………はぁ?


「捜すって何を?」

「歌姫を捜すんだよ」

「いつ?」

「放課後にしようって話してたんだよ」

「なんで?」

「雑誌見てみなさい」

「雑誌?」


 アリサに言われて歌姫の記事を再度目を通す。

 現在、多くの芸能会社がスカウトしようと歌姫を捜しているのこと。
 一部は懸賞金まで出してい様だ『海鳴タイムズ』でも歌姫に関する情報を受け付けています。
 情報がございましたら掲載されている連絡先まで。
 見つけた方、または歌姫の正体の情報を提供された方には懸賞金がございます。










 『月夜の歌姫』

 懸賞金 見つけた方 50万円

     正体の情報提供者 200万









 ……何これ?


「指名手配犯でもないのに懸賞金なんてかけるなよ……」


 しかも正体の情報200万とかどんだけ正体知りたいんだよ……


「つまり、懸賞金の為に歌姫を探すと?」

「それもあるわね」

「一度歌姫さんに会って目の前で歌を聞かせてもらえないかなぁって思って」

「そっちが主な目的か」

「うん」

「で? どうするの? 一緒に捜すの? 捜さないの?」


 どうするって言われてもな……俺が一緒に捜したら永遠に見つからないぞ、いろんな意味で。

 ……まぁ、いいか。途中で抜け出せば。


「分かった。参加するよ」

「決まりね。じゃあ学校が終わり次第さっそく捜すわよ!!」

「「「おぉー!!」」」
















 時は過ぎ放課後。

 俺達4人は一度家に帰り、荷物を置いてから翠屋で再び集まった。


「それで、最初は何処に行くんだ? 捜すとか言ってるんだからあてはあるんだろ?」

「まずはこれを見て」


 そう言ってアリサが地図をとり出しテーブルに広げる。
 地図には所々に赤、青、緑それぞれのシールが貼ってあった。


「このシールは赤、青、緑の順に歌姫の出現率が高いとされる場所よ。始めはこの赤いシールが貼ってある地点を回ってみようと思ってるわ」

「歌姫さんは最初の頃は一ヶ所だけだったんだけど、今はいろんな所で聞こえるようになったらしいの」

「だから最初はその中でも聞こえることが多い場所を捜そうって」

「なるほどな……」


 思ってたよりもちゃんと考えられてるな。これなら見つかるかは分からないが、少なくとも情報は手に入るかもしれない。
 まぁ、絶対に見つからないと思うが。


「その赤いシールもいくつかあるが何処から行くんだ?」

「その中の海鳴公園は赤の中でも一番出現率が高いらしいの」

「だからまずはそこかな」





 だって





「じゃあさっそく行くか」





 『月夜の歌姫』って俺だからな。















 皆は 覚えているだろうか? 昔、俺が翠屋に初めて訪れた時、士郎との会話を。


『病室でも言ってたけど『あの子』ってなのはのことかい?』

『はい、ちょっと約束みたいなものをしましてね』


 月夜の歌姫はこの『約束』に関係する事だ。

 俺は初めてなのはに出会った時にある約束を交わしたのだが、今は話さなくてもいいだろう。















「いないわね……」


 現在地海鳴公園。

 あれから海鳴公園を始め赤シールの地点だけでなく、青や緑のシールが貼ってある地点も見て回ったり近くの人に聞いて回ったりしたが結局正体を掴めそうな情報は得られなかった。


「あまり信憑性のある情報もなかったの……」


 なのはの言うとおりだな。
 得られた情報と言えば、

 曰く、歌姫は昔に死んだ歌のうまい綺麗な女性の霊である。

 曰く、歌姫はどこかの新人歌手の練習をしているだけである。

 曰く、歌姫は女ではなく男である。

    などなど、ほとんど同じ様なことしか聞けなかった。

 まぁ、最後のはあっているんだが……何故ばれてんだ?


「人探しって、難しいね……」

「当たり前だろ。海鳴にどれだけ人がいると思ってる。それ以前に海鳴の人間じゃないかもしれないんだぞ?」

「「「うっ……」」」


 俺の言葉を引き金に三人が落ち込み始める。なんか打たれ弱くないか?

 その時、


「ねぇ君達、ちょっといいかな?」

「うん?」


 一人の女性が声をかけて来た。


「なんでしょう?」

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……いいかな?」


 女性は少しなのは達を見てから俺に向きなおって聞いてきた。
 たぶん今の状態のなのは達は聞く事は出来ないって考えたな。


「答えるのは構わないんですが、どちらさまでしょう?」

「あぁ、ごめんなさい。私こういう者なの」


 そう言って彼女が手渡してきた名刺には

 『海鳴ジャーナル 専門ジャーナリスト 風間絵里(かざまえり)』

 と書いてあった。
 海鳴ジャーナルと言えば大手の会社じゃないか。


「へぇ、記者なんですか。主にどんな記事を書いてるんですか?」

「色々よ。一概に括る事が出来ないくらいにね」


 絵里さんは、それで今回は今話題の事件を調べてるのよと語りだした。



「最近この海鳴市で不思議な事件が起きてるって知ってる? 夕方あたりから日が沈むまでの間に綺麗な歌声が聞こえるって話なんだけど……」


 まるで幼子が母親の化粧箱を始めて開けた時の様に、瞳を輝かせながら話す恵理さん。
 俺はその話を背中に大量の冷や汗を流しながら、表面上は平静を装いながら聞き続けた。
 間違いなく話題の正体は『月夜の歌姫』だ。
 しかもかなり調べられてる。


「あの…その話なんですが……」

「ん? 何?」

「それって「「「月の歌姫よ(だよ)(なの)!!」」」……おい」


 話に割って入るな。というかいつ復活した。


「月夜の歌姫?」


 オウム返しで聞き返した恵理さんになのは達は、自分の知っている月夜の歌姫についての説明を始めた。


「凄い、凄いわ。まさかあなた達がそんなに凄い情報を持ってるなんて思ってもいなかったわよ!」


 若干興奮気味の恵理さんはなのは達の話を聞いた後一枚の写真を俺達に見せた。


「実はね、一般の人が投稿してきた写真なんだけど、これに見覚えは無いかしら?」


 写真には夜の海鳴のビジネス街の風景が写されていた。
 パッと見ただの街の様子を写した風景写真なのだが、集中して見てみると、ある違和感に気付いた。
 風景の右端の上部分に映っている月に被さるように何かが映り込んでいるのだ。
 ぼやけていて良く分からないが、人影に見える。


「たぶんこの人影は歌姫なんじゃないかって話があってね」

「「「歌姫の!?」」」

「マジか……」


 確かに夜のビジネス街にある廃ビルで歌った事はある。まさか、写真に撮られてたなんて……


「あの……提案があるんですけど、いいですか?」


 なのはがいきなり話出した。


「提案? なにかな?」

「出来ればでいいんですけど……一緒に捜してもいいですか?」

「なのは!?」


 何言ってんだコイツ!?


「捜すって歌姫を?」

「はい。子供からしか見えない所もあると思って……」

「なるほど……一理あるかも………」

「絵里さん!?」


 考えないで! 頼むから断って!!


「確かにそれなら私達は情報がもらえるし、絵里さんの方には捜索の人出が増えるからお互いにメリットはあるわ!!」

「いい考えだよなのはちゃん!!」


 アリサにすずか!? 肯定するな!!


「契約成立! 今日はもう暗いから明日また会いましょ!!」

「「「はい!!」」」

「嘘だろ……」


 こうして、なのは達と海鳴ジャーナル記者の協力体制がここに決まった。
















「で、今に至ると……」


 簡単に言うと、今日は彼女達が協力した日から三日後。
 協力した次の日から俺は捜索に参加することは無く、今まで歌った事のない場所で好きな様に歌っていただけだ。
 それで今日、歌っていたら俺を捜している奴らが来たので歌うのを止め、木の上に隠れたというわけだ。


「ホント、良くやるね~」


 下を見ると絵里さんやなのは達だけでなく、他にも5、6人いた。
 聞こえた会話の内容によると海鳴芸能事務所とかいうところのスカウトマン達らしい。
 わざわざ本当にいるかどうかも分からない人間を探しに来るとはご苦労なこった。


「…今日はもう歌えそうにないな」


 帰るかと今いる木から近くにある建物の屋根に跳び移ろうとして










「キャアァァァァァァ!!」










 動きを止めた。


「これってなのはの?」


 声のした方を見降ろすと、


「イヤアァァァァ!!」

「ちょっと! はなしなさいよ!!」


 絵里さんは気を失っているのか地面に倒れ、なのは、アリサ、すずかの三人が先程のスカウトマン達に捕まって車に押し込められてるところだった。


「は!? ちょっと待て!!」


 急いで木を飛び降りて車に向かって走り出そうとするときには既に車が走り出してた後だった。
 車にはもう間に合わないと絵里さんに駆けよる。


「絵里さん! 起きてください! 絵里さん!!」


 体をゆすって声をかけるが一向に目を覚ます気配がない。


「マジかよ……」


 ほとんど日常じゃ遭遇してないから油断した。


「なのは達が……誘拐された」 
 

 
後書き
~お知らせ~

作「お知らせのコーナー!!」

拓「お知らせって、一体何の?」

作「A's編のことなんだけどね……全く思いつかない」

拓「おい……どうするんだよ! 話続かねぇのか!?」

作「つづけるよ! 勿論続けるよ!! でも思いつかないんだよ!!!」

拓「どっから思いつかないんだよ?」

作「一から」

拓「おい」

作「というわけで、生意気ですがアンケート取りまーす!
  内容はどちら側について戦うか!?
  選択肢は次の三つ!





  1 なのは・フェイト達アースラside

  2 ヴォルケンリッターside

  3 極力関わらず傍観side





  この三つです!!」

拓「三つ目の極力傍観って何だ?」

作「そのままだよ。事件には関わらないで傍観を貫く。ときどき両方に助言したり、鍛えたりはあるかもしれないけどね」

拓「なるほどな」

作「というわけで、アンケートはこのページを掲載する
  4月2日から4月16日まで!!」

拓「やけに長くないか?」

作「そうかな? できるだけ多く投票欲しいし」

拓「そっか」

作「ということで今日はここまで! 次回に向かって」

作・拓「「トリガー・オン!!」」





 後付けだけど、投票は感想にお願いします!!

 皆できるだけ投票してくれると嬉しい

 どうぞ、よろしくお願いします(よろしく頼む)<(_ _)><(_ _)> 
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