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八条学園怪異譚

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最終話 最後の宴会その二

「駅からな」
「電車で来て、ですか」
「この学園に入っていたんですね」
「だから泉は、ですか」
「あそこに出たんですね」
「その様じゃな」
 博士も飲みつつ二人に話す。
「どうやらな」
「じゃあ駅も泉なんですね」
「そうなるんですね」
「駅もまた二つの世界を結ぶ場所じゃからな」
 八条学園にある泉になるというのだ。
「そうなるのう」
「何か最後に凄いことがわかりましたね」
「そうしたことだったんですか」
「そうじゃ、駅はな」
 八条駅だけでなくだ、駅自体がだというのだ。
「別の世界への出入り口なのじゃ」
「じゃあ妖怪さんや幽霊さんはですか」
「八条駅から泉まで来られてるんですか」
「そういうことですか??」
「あの駅は」
「あの駅だけではないがな」
 妖怪や幽霊といった存在がこの学園に辿り着く場所はというのだ。
「しかしあの駅は実際にな」
「そうした場所なんですね」
「出入り口でもあるんですね」
「そうなのじゃ。また駅は旅の始発点でもあり終着点でもある」
 博士は二人にこのことも話した。
「特別な場所なのじゃよ」
「ううん、駅といってもですか」
「馬鹿に出来ない場所なんですね」
「関所でもあるしのう」
 今度はこうした場所の話もした。
「あそこでチェックも行われるじゃろ」
「切符や定期ですね」
「そうしたものがないと入ることが出来ないからですね」
 もっと言えば出ることも出来ない、駅を利用するには絶対にそうしたものが必要であることは言うまでもない。だがその言うまでもないことがだというのだ。
「特別なんですね」
「そうなんですね」
「そうじゃ、駅はな」
 様々な意味がある場所だというのだ。
「このことは覚えておくと面白いぞ」
「ですね、何か駅っていう場所もですね」
「色々とあるんですね」
「別の世界の出入り口で旅行のはじまりと終わりの場所」
「それで関所でもあるんですね」
「駅は面白い場所じゃよ」
 博士から見てもだというのだ。
「民俗学の視点から見てもな」
「あれっ、博士ってまさか」
「民俗学も」
「無論じゃ。わしは文学博士でもある」
 日本では民俗学は文学の範疇に入る。これは歴史学もだ。
「民俗学と歴史学についても学んでおるのじゃよ」
「それでなんですか」
「民俗学から見てもですか」
「駅は面白い場所の一つじゃ」
 そうだというのだ。
「橋の様に別の世界へ行く場所ということに気付いたからのう」
「橋もなんですか」
「別の世界への」
「隔てておる二つの場所を結ぶものじゃからな」
「だから橋もですか」
「特別な場所ですか」
「二つの世界をつなぐ場所でもありはざかいの場所でもある」
 それが橋だというのだ。 
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